金木犀と彼女の時間 (創元推理文庫)

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488413217

作品紹介・あらすじ

拓未に告白されたとき、菜月の人生三度目のタイムリープが始まった。この状態に陥ると、菜月は同じ一時間を五回繰り返す。つまり菜月は、このあと拓未に五回告白されるはずだった。しかし一回目、告白の場所に向かおうとした菜月の目の前で、拓未は屋上から墜死する。一体何が起きたのか? チャンスはあと四回、それまでに彼の死を止める方法を、絶対に見つけなければ。女子高生が文化祭中の校舎を駆け巡る、鮮やかな学園ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『これから何が起きるのかを知ってい』ると思う体験をしたことはあるでしょうか?

    何かをしている時に、これはかつて経験したことがある、というように感じる瞬間。それは、”デ・ジャブ”とも呼ばれ、恩田陸さんがとても好まれ、恩田さんの作品には必ず登場するものでもあります。その真否のほどは分かりませんが言葉が生まれるくらいですから、それなりに経験された方もいらっしゃるのだと思います。

    一方で、目の前でかつて見たのと全く同じ光景が繰り広げられている、と感じたことはあるでしょうか?

    『私は、これから何が起きるのかを知っていた』。

    そんな感覚です。これに、はい!と答える方がいたとしたらそれは衝撃的な事態だと思います。危険人物として取り扱われかねない発言でもあります。しかし、そんな発言も小説の中であれば大歓迎です。それは『タイムリープ』とも呼ばれるファンタジーな世界だからです。『レコードの針飛びという現象』に比喩されるこの現象は、『傷が付いた箇所に差しかかると何度も同じフレーズが反復される』のと同じように、ある人の目の前で同じ時間が繰り返されてしまうことを意味もします。

    さてここに、そんな『タイムリープ』を取り上げた物語があります。『高校最後の文化祭当日、菜月は屋上でクラスメイトの拓未に告白された直後、人生3度目のタイムリープに巻き込まれた』。そんな瞬間を描くこの作品。『クラスメイトを救うために校舎を駆けめぐる』主人公の姿を見るこの作品。そしてそれは、彩坂美月さんが描く『鮮やかな学園タイムリープ・ミステリ』な物語です。

    『私が』『初めてそれを経験したのは、七歳のときだ』と語るのは主人公の上原菜月。『できることなら全部忘れてしまいたい』という菜月の記憶は『母に連れられ、駅前のデパートにやってきた』時のことでした。当時、『物忘れが、めっきり多くなった』ことをきっかけに『祖母を引き取る』という選択をした際に父が母に相談なく進めたことで『夫婦間にしこり』が残ります。そんな中に母と出かけた菜月は『噴水が見たい』と駄々をこねます。『飾り時計』が『ちょうど午後二時を指』す中、『ほら行くわよ』と催事場へと移動した母娘。そして、『母の買い物が終わるのを』ベンチで待つ菜月に『あらあら。お嬢ちゃん、一人で待ってて偉いわねえ』と『優しそうなおばあさんが声をかけ』ました。『やがて退屈した』菜月が『母の元へ歩き出そう』とすると『目の前を若い男が走り抜け』ます。そして、『さっきのおばあさんに近付』き、『ハンドバッグをいきなり乱暴に引っ張』ります。そして、次の瞬間、『体勢を崩し』転倒した『おばあさんの後頭部から血が流れ出』しました。『どうしよう、おばあさんが死んじゃう』と思う菜月が『ママ!』と助けを呼んだ次の瞬間、菜月は噴水が目の前にある景色の中にいました。『飾り時計の針が、午後二時を指している』という光景に混乱する菜月は、先ほど見た光景を母に話すも『怖い夢を見たのよ』と言われてしまいます。そんな中、『ほら行くわよ』と催事場へ移動する母娘。そんな中におばあさんが現れ同じように声をかけてきます。『同じだ。さっきと全く同じ状況』と菜月が思う中に目の前を男が横ぎります。再び見る血溜まりに泣き出す菜月。そんな次の瞬間、噴水が目の前にある中に、『午後二時を指』す『飾り時計』という時間に戻った菜月。『これからまた、私の目の前で同じ出来事が起こる』と思う菜月の前で、先ほどと同じ光景が繰り返されます。なんとか展開を変えたいと思うも最後にはおばあさんが血を流す展開を変えられないことに『誰か助けて、心の中で叫んだ』菜月。そして、五回目の展開の中、横を通り過ぎた男に向かって『泥棒!』、『あの人、泥棒だよ!』、『おばあさんが転んで怪我して、血がいっぱい出るの…』と叫ぶ菜月に慌ててその場を後にした男。『私は、不幸な事件を止めることができた』と思う中、『午後二時』へと戻る現象は起こりませんでした。そして、『安堵と喜びの混じり合った感情が突き上げ』るも、右頬に『はじけるような衝撃を感じ』た菜月は、激しく怒っている母の姿を目にします。『なんて恐ろしい噓をつく子なの…』と吐き捨てて場を後にするおばあさん。菜月は『嘘じゃないもん』と『懸命に母に訴え』るも『どうしてそんな、おかしな作り話をするの?』と非難の目を向ける母。『私の体験した出来事は明らかに特殊だった』と七歳の時の経験を思う菜月は、やがて再び『時間の反復現象』を体験することになります。そんな菜月の身に起こる『タイムリープ』な体験を描くファンタジーな物語が始まりました。

    “「向日葵を手祈る」の著者による、瑞々しい学園ミステリ。私を見つけてくれた人を、絶対に助けて見せる。タイムリープが招いた不可解な事件。他人に心を開けなかった女子高生が、クラスメイトの死を回避するため謎を解く”という本の帯のセリフにときめく気持ちを抑えられなくなるこの作品。彩坂美月さんが綴るファンタジーな物語です。そんな物語の一番の目玉は『タイムリープ』という仕掛けを用いたファンタジーな物語ですが、この作品の魅力はそれだけに留まりません。それこそが物語の舞台となる主人公・菜月が『高校最後の文化祭』を迎える日々を描くど真ん中の”学園モノ”としての物語展開です。では、まずはこの点を見てみましょう。『十月五日』から始まる『文化祭』までの流れを描いていく場面です。

    『東條高校は文化祭に力を入れており、実行委員だけでなく一般生徒も夏休みに入る前から準備を始めるところが珍しくない』という中、『模擬店やお化け屋敷といった企画を催すか、総合フェスティバルに参加して演劇や合唱などの演目を行うか』の二択の中に菜月のクラスは『被服ショー』で『総合フェスに参加すること』が決まります。そんな『文化祭』へ向けた構内の様子がこんな風に描写されます。

    『文化祭が近付くにつれて、催しに使われると思しき製作物の置き場が校内を占領していく。うさぎの着ぐるみの頭だの、大きなトランプのオブジェだのがそこら辺に転がっている。異空間と化した校内を歩くと、調理室から甘い匂いが漂ってきた。文化祭で出す菓子を焼いているのだろう』。

    『文化祭』は誰もが経験する高校時代の重要イベントの一つです。それぞれのクラスがそれぞれに準備を進めていくのを感じる景色を見事に描く彩坂さん。頭の中に鮮やかにそんな景色が浮かび上がってきます。しかし、よく読むとこの場面には、生徒たちの取り組みの結果は描かれているものの肝心の生徒自身が登場しません。人のいない光景だけで雰囲気感を上手くまとめる彩坂さんの上手さを感じます。一方で、今度は生徒に焦点を当てたものです。『文化祭』の前日の光景を見てみましょう。

    『午前中で授業は終わり、校内のあちこちで作業の仕上げに向けてラストスパートをかける生徒の姿が見られる。展示品や機材などを手にした生徒たちが廊下を駆け回り、各教室で熱心な声が飛び交っていた』。

    今度は生徒の姿、しかも忙しく動き回る生徒の姿が浮かび上がります。いよいよ『文化祭』という前日にあたって盛り上がっていく校内を二つの文章だけで切り取った絶妙な表現だと思います。そして、『十月五日。東條高校の文化祭が、幕を開けた』という当日の光景です。

    『校内は朝から賑やかな熱気に包まれていた。風船が飾られた巨大なアーチが正門に設置され、敷地内には模擬店がひしめき合っている。屋上から垂れ幕が吊り下げられ、校舎のあちこちに看板や展示物が見られた。抜けるような青空に、色付いた木々が美しい』。

    ついに幕を開けた『文化祭』を第三者的立場で淡々と描写するこの文章。いかにも『文化祭』的な光景、読者がイメージするまさに『文化祭』そのものの光景だと思います。そんな最後に『抜けるような青空に、色付いた木々が美しい』とさりげなく季節の描写を入れるところが、自然描写に定評のある彩坂さんらしいところです。そんな”学園モノ”感満載に描かれる物語の中に、ついにこの作品最大の事件が起こります。それこそが、菜月が告白を受けるはずだった屋上から、クラスメイトの拓未が墜死するという事件です。…という書き方をしても意味不明ですが、これこそがこの作品最大の読みどころとなる『タイムリープ』です。ネタバレするわけにはいきませんので内容紹介から見てみましょう。この作品の内容紹介には以下の記述があります。

    “拓未に告白されたとき、菜月の人生三度目のタイムリープが始まった。この状態に陥ると、菜月は同じ一時間を五回繰り返す。つまり菜月は、このあと拓未に五回告白されるはずだった。しかし一回目、告白の場所に向かおうとした菜月の目の前で、拓未は屋上から墜死する。一体何が起きたのか?チャンスはあと四回、それまでに彼の死を止める方法を、絶対に見つけなければ”

    いかがでしょうか?おおよそのイメージは掴んでいただけたかと思います。『タイムリープ』を扱った小説は数多あります。この作品同様に同じ時間を繰り返す=『反復』を描く小説には、まさかの二・二六事件を『反復』する恩田陸さん「ねじの回転」、『反復』する度に死者が増えていく乾くるみさん「リピート」などがあります。両作ともそれぞれの方法によって同じ時間を何度も繰り返す中に希望する結末へと未来を変化させていく様が描かれています。一方のこの作品でも、意図せず起こる時間の『反復』の中に希望する結末へと未来を変化させていこうとする主人公の姿が描かれます。上記で冒頭をご紹介した通り、この作品の冒頭では窃盗被害から死を招く結末を迎えるおばあさんをなんとか助けたいと奮闘する菜月の姿が描かれています。そんな菜月は自らに起こる『反復現象』をこんな風に分析します。

    ・『反復される時間はおそらく、一時間。毎回同じ一時間が、きっちり【五回】繰り返される』

    ・『本来の時間と併せると、合計六回、私は同じ時間を体験することになる』

    ・『繰り返される出来事は最後の回に起こったことが確定事項となる』

    イメージできるでしょうか?普通に流れていた主人公の時間が、ある時突然過去に引き戻され、同じ光景を繰り返す、また、過去に戻る…ということを五回繰り返したらもう元には戻らず、時が流れ、その結果が確定する…という経緯を辿ります。なんとも不思議な現象ですが、その理由が説明されることはありません。また、いつこの現象が起こるかもわからないというのが特徴でもあります。

    『私にはそれがいつ起こるのか全くわからない上、自身の意思でどうにかできるわけでもない。いわば病気で発作が起こるのに近い』

    そんな風に理解していく主人公の菜月。しかし、そんな菜月が持つ『特殊な体質』がパターン通りに進まない展開が訪れます。それこそが、上記内容紹介に記されたものです。元の時間の流れの中で校舎の屋上に呼ばれた菜月は拓未から告白を受けます。そんな中に『タイムリープ』が起こった菜月。

    『せっかく与えられた時間を有効に使ってみたらどうだろう?』

    そんな風に思う菜月は『彼の告白に対して心の準備をするための時間を得ることができた』と考え、『ターンごとに違う返答をして、彼の反応を試すことだってできる』と当初考えます。しかし、上記の通り、そこに待っていた『反復』では拓未の屋上からの墜死という展開が待っていました。ここに何が起こったのか?菜月は拓未を助けることができるのか?と展開する物語は、『タイムリープ』ものの醍醐味を存分に味わわせてくれます。

    そんな物語は、”学園モノ”の雰囲気感満載の中にミステリーな物語へと突き進んでいきます。この作品は〈プロローグ〉とそれに続く五つの章から構成されていますが、〈第二章 文化祭の幕開け〉の後半に起こる『人生で三度目の、リプレイが起こったのだ!』というまさかの瞬間からその核心となる物語が始まっていきます。七歳と中二で経験した『リプライ』は菜月の自らの行動によって結末に変化が生まれていくものでした。それに対して、この三度目の『リプライ』は大きな異なりを見せます。

    『なぜ、本来の時間では起こらなかったはずの出来事が発生したのか?』

    この摩訶不思議な状況の中、自らが変化させた細かい行動の差異にも目を向けていく菜月。

    『蝶の羽ばたきが天気を変えることもある。些細な出来事が大事件を引き起こす』

    些細な差異を追い求めていく菜月は、ただ一人でこの事態に立ち向かっていく必要があります。

    『しっかりして、怯えている場合じゃない。今からあんな出来事が起こるのを、絶対に防がなくては。それは、これからの私の行動にかかっている』

    そんな思いの中に、”拓未は屋上から墜死する”という最悪な結末をなんとか食い止めるべく奮闘する菜月の姿が描かれていくこの作品。『タイムリープ』× ”学園モノ”の面白さをミックスする中に、ぐいぐい読ませてくれる作品でした。

    『怖い。自分の身に起こっているのは明らかに異常な事態なのに、私以外の誰も、それを知らない』。

    誰にも気づかれず同じ時間が5回も繰り返す中に、最適解な結末を探し求める主人公・菜月の姿が描かれるこの作品。そこには、『タイムリープ』の面白さを上手く引き出したミステリーな物語が描かれていました。”学園モノ”の雰囲気感を存分に味わえるこの作品。『タイムリープ』の面白さにページを捲る手が止まらなくなるこの作品。

    象徴的に使われる『金木犀の香り』が物語を強く印象づける、そんな作品でした。

  • 上原菜月は七歳の時にタイムリープを経験して、自分がリプレイヤーだということを知っています。
    同じ一時間を五回繰り返すのです。

    そんな菜月が高校生になり文化祭の十月五日に人生三度目のタイムリープが始ります。
    その日はクラスメイトの天野拓未に告白をされた直後でした。本当は菜月は拓未に五回告白されるはずが、一回目に屋上に向かおうとした菜月の目の前で拓未は墜落死してしまいます。
    なぜタイムスリープ中の出来事が変更されてしまったのか…。
    あと四回タイムスリープを繰り返すと拓未は本当に死んでしまいます。
    菜月は拓未の死を食い止めようと拓未を屋上から落とした犯人を一人で学校中探し回ります。

    怪しい人物が何人もいてミステリー部分は楽しめました。あとは拓未の性格がいいと思いました。あんなストレートな告白をされたり周りに対する気遣い。なんでこんな性格のいい男の子が殺されるのか全くわかりませんでした。

    そしてちょっとネタバレになってしまいますが、友情の大切さですね。菜月は初め親友だと思っていた千佳と愛美から仲間外れにされたと思い込んでいますが、思い切ってタイムスリープのことを打ち明けたら応援してもらえるとは…。タイムスリープなんて、ただでさえ信じがたいことを受け入れて、協力してくれる友だちがいて、菜月は本当に良かった。

  • 心理表現や人間関係の描き方が瑞々しく、一方でミステリとしても鮮烈な印象を残す、青春タイムリープミステリ。
    彩坂美月さんは最近注目を集めつつある作家さんのイメージでしたが、ミステリの書き手としても、青春小説の書き手としても、その実力がいかんなく現れた秀作だったと思います。

    これまでの人生で2回、同じ1時間を5回繰り返すタイムリープを体験した高校生の菜月。文化祭当日、菜月はクラスメートの拓未から告白された直後、再びタイムリープに巻き込まれ、時間を1時間さかのぼってしまう。そしてその1時間後、拓未は菜月に告白する前に転落死してしまい……

    拓未を突き落としたのは誰か? というのがメインの謎としてあるのはもちろんのこと、もう一方見落とせないのが、なぜ最初の1時間と違う未来が訪れてしまったのか、という謎。菜月が行動を変えたことに原因があるのか。それならば菜月が行動を変えたことによって、何が変化したのか。

    犯人の謎。
    未来が変わってしまった謎。

    この二つが大きな謎の両軸として機能し続けて、とても面白かった。そして5回という回数制限があることもサスペンスを盛り上げる。タイムリープが回数を重ねるごとに、謎は混沌として先が読めなくなる。追い込まれた菜月が最後に取った手段とは……

    そうしたミステリー、サスペンスの面白さもさることながら、菜月の心理描写や人間関係の描き方も非常に上手い。友人関係の悩み、告白されて心躍る菜月の描写はもちろんのこと、話が本編である文化祭の章に入る前に、菜月の幼少時代のタイムリープの経験が描かれるのですが、これが単なる設定の説明で終わらないのがすごい。

    このリープの経験が、菜月の人格形成に大きく影響を及ぼしたことが分かるエピソードとして描かれているので、単なる特殊ミステリの設定説明で終わらず、菜月の内面の変化、成長をめぐる物語の出発点としても機能している。
    だからこそこの『金木星と彼女の時間』は、タイムリープを扱った特殊設定ミステリとしてだけでなく、青春小説としてもとても良くできているのです。

    何年か前に本格ミステリ大賞にノミネートされた『夏の王国で目覚めない』を読んで、「これは実力のある作家さんだ」と思ったのを覚えています。
    近作の『向日葵を手折る』の評判の良さ。そしてこの『金木星と彼女の時間』の完成度の高さに触れ、改めて彩坂美月さんの実力の高さを身をもって感じました。

  • 爽やかで少し甘酸っぱい青春ストーリーと、タイムリープの焦燥感の相乗効果で、わーっと駆け足で読んだ。
    高校時代の思い出なんてそんなにないのに、文化祭とか出てくるとなんで無条件に愛おしく懐かしい気持ちになるんだろう。笑


    菜月の気持ちも聞かず、あっさり無視したちかと愛美が最後にすんなり協力してくれたことが少し引っかかった。(緊急事態ってことが伝わったからかな?)
    個性的なクラスメイトが魅力的に描かれていたからこそ、彼女たちの気持ちの流れが引っかかったんだと思う。すごく楽しかった。

  • タイムリープ学園ミステリ。同じ1時間を5回繰り返し最後のターンが確定事項となるんやけど、とにかく面白い。タイムリープ中に成長していく主人公をめっちゃ応援するし、同級生達もどんどん好きになるし、皆で幸せになってくれと思いながらノンストップで読み切った。

  • タイプリープって過去に戻ってやり直しが出来て羨ましいなって思っていたけれど。このお話を読んでとても怖いことなんだって改めて認識しました。
    その中でも困難を打破しようともがき苦しみながらも最後まで諦めない菜月はすごくかっこよかった。ハラハラドキドキで一気読みしてしまいましたー。
    青春の甘酸っぱさもミステリーもバッチリ味わえる作品です(*´ω`*)

  • とりあえず主人公がつらい。救いもあまりない。ただただ未来を変えたければ頑張りたまえとあがかされていて、しかも助けても何の見返りもないどころかえらい目にあう。
    読んでいて続きは気になるものの辛いです。いつか幸せになってくれるんじゃないかという一縷の望みをこめて読んでました。
    最後のあたりはちょっとだけよかったとは思いましたが、そこまでの過程がひどすぎます。ちゃんと報われてほしい、死んだらノーベル平和賞みたいなものちゃんとあげて下さい神様

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764339

    楽しい文化祭のはずが…。
    告白してきた男子が屋上から転落死!?
    彼の死を止めるチャンスはあと4回!
    学園タイムリープミステリー。

  • 起こるはずのない事件が発生する後半以降は、気になってページを繰る手が止まらない。前半の様々な出来事が伏線として登場する面白さも。
    その上で友情や人生への希望といった感情もうまく盛り込んでいる。

  • タイムリープ物が好きなら読んで損はなし。
    高校3年生。最後の文化祭の日に、人生3度目のタイムリープが。
    しかし、最初の経験と全く違う展開が。
    5度目のリープで確定してしまうこのタイムリープ。何としても最善の結果にしたいのだか。
    青春ものとしてもまた楽しい。

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著者プロフィール

山形県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。『未成年儀式』で富士見ヤングミステリー大賞に準入選し、2009年にデビュー(文庫化にあたり『少女は夏に閉ざされる』に改題)。他の著作に『ひぐらしふる』『夏の王国で目覚めない』『僕らの世界が終わる頃』『サクラオト』『思い出リバイバル』などがある。本作『向日葵を手折る』が第74回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門にノミネート。

「2023年 『向日葵を手折る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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