- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488467036
感想・レビュー・書評
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面白かった。読み始めてすぐに「雪の断章」とよく似た設定なのに気がついたけれど、「夢館」の方がかなり面白い。きっと輪廻転生や占星術といった超常現象や、時間や空間の流れについての哲学的な考えが前面に出ているからかな。韻を踏むような美文調のリリカルな文体も一層強調されて、幻想的な雰囲気が楽しめた。
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これから読むとかなりわからないけど三部通して読むと味わい深いものに。三島由紀夫の遺作への肩慣らしにも良さそう。印象的な読書だったと思う。
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三部作の最終巻。
ここまで来るとミステリ部分はオマケのようなもので、輪廻転生を主軸としたラブストーリーになっている。 -
ほんとに生まれ変わりありだったのかい!というツッコミは置いといて。千波の考え方は好きになれなかったけど、静かな美しさが彩る世界観が好きでした。<館>三部作を読み終えてみて前の巻までの不満が帳消しにされた感じがするのは良いことなんだけど釈然としない気もします。収録されている短編も好きです。
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「館」三部作完結。幻想小説。輪廻転生を通した恋。
「諦めて暮らす長い一生よりも、つかの間の恋に焼けて死にたい。」 -
叙情小説とでも言えばいいのか、するすると流されているように読んだ。
前作・前々作で涼子の視点から千波ちゃんと吹原氏が描かれていたわけですが、今作でそのふたりがついに出会う。
女の子目線でひたすら恋心が語られるこのシリーズ、お相手はけっこう冷たかったりするんですけど… それがまた恋しいという、もうもう乙女心なんですよねえ。 -
「崖の館」「水に描かれた館」と続いた館三部作の最後。
両親をなくした4歳の千波は、運命に導かれるように青年学者吹原にひきとられる。彼女には、崖にそびえるガラスの館の記憶があった。
前2作は確実につながっているのだけど、「夢館」はまず千波って死んじゃったんじゃないの? これは前日譚? いや、吹原って「水に描かれた館」ででてきてたし…と、混乱します。
ま、ある意味ミステリーというより、ファンタジー、もしくはSF。
文体は、佐々木丸美ならではの耽美っぷりなので、ありないだろうって展開も不思議とありえる感じがするのであった。
うん、これが一番読みやすかったな。…単にあの文体になれただけ??
にしても、きっと発表当時はポエム文化全盛で、それに乗ることができたけど、ミステリーとしては扱われてなかった。が、今、ポエム文化が衰退しミステリーも様々な手法や様式が入り込んできて、ミステリーとしてカテゴライズされるようになったというのは、なんか因果な感じがする。
つか、佐々木丸美に「あなたはこの作品と通して何をみるのか?」と問われている気がする。
多分、これは胸の奥底の何かを見出すための物語なのだろう。
同時収録に「肖像」
秀作だけど、つめが甘いかなww