福家警部補の報告 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.86
  • (19)
  • (47)
  • (33)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 313
感想 : 46
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488470074

作品紹介・あらすじ

天才的技倆を持った漫画家と彼女を潰しにかかる出版社の辣腕営業部長、もとは同人誌で合作していた二人が不幸な結末を迎える「禁断の筋書」、ヤクザが仲間割れのあげく相討ちしたように偽装された殺害現場に佇んでいた栗山比奈が目撃証言を拒む理由とは……「少女の沈黙」、息子なきあと一見穏やかな日々を過ごしている老夫婦が悪党どもを爆弾で吹き飛ばし、官憲の捕縛を逃れて痛快なメッセージをよこす「女神の微笑」、以上三編を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 福家警部補シリーズ第三弾。3編を収録。少女の沈黙では、ヤクザ者の悲哀が描かれており、犯人を応援したくなった。今回も冴え渡った福家警部補の推理。犯人がジタバタしないのがいいと思ってたら、後藤夫婦は逃亡ですか。

  • 福家警部補シリーズ第三弾。
    どうしても下の名前を明かすつもりはないらしい。
    今回は3本立てで、一編が長め。
    犯行の動機・理由がそれぞれ方向性が違って、別の味わい。
    「倒叙ミステリ」なので、犯行そのものは最初に見せられるけれど、それにまつわるストーリーは、徐々に明かされていく形になる。

    二編目の、組が解散したヤクザの話が良かった。
    想像もつかない世界だが、ヤクザから堅気になるというのは大変なことらしい。
    特に若者は、多分家庭に事情などあり、居場所が無くなって行き着く先の一つが暴力団だったのだろう。
    若いから、ヤクザ気質は根元まで染み込み、なかなか消えない。
    カタギになっても、周りは前科者を見るような色眼鏡である。
    彼らの行く先を先代から託された菅原は、その使命を達成するまでは捕まるわけにはいかないと思う。
    任侠、だなあ・・・

    『禁断の筋書(プロット)』
    元は漫画同人誌を一緒に出し「大手」だった二人、河出みどりと三浦真理子。
    河出だけが大手出版社にスカウトされ、人気漫画家になる。
    真理子はみどりに復習するために出版社に入り、潰しにかかるが・・・

    『少女の沈黙』
    先代の意向で解散した「栗山組」
    解散に反対だった先代の次男・栗山次郎が、嫡子の栗山邦孝の娘を誘拐し、元構成員を動かそうとする。
    菅原さんは・・・刑務所でも模範囚になるんじゃないかな。

    『女神の微笑(ほほえみ)』
    意外な幕引き。
    法の目をかいくぐった悪人に制裁を。
    それを痛快に思うこともあるけれど、それは相手が到底手が出せない巨悪とかで、別の方法で手を回して、みたいな場合かなあ・・・個人的に。
    細かい個人の事件に仕返し代行して殺して終わりとか、なんだかこの老女は鼻につく。

  • 今回は3つの事件を収録。
    ほんと…コロンボさんと一緒で
    犯人に感情移入して読んでいると
    福家警部補の行動にイラッとするわ( ̄▽ ̄)

    組を解散したヤクザの若頭が
    手下を守るためにとった行動の話では
    犯人を追い詰めつつも
    どこか温かみが感じられたり
    単純に正義を振りかざすだけでは
    ないようなところも。

  • 久しぶりに福家警部補シリーズを読了、言わずもがな倒叙モノであり、犯人視点で物語は語られ、周到に計画実行された完全犯罪が、いかにして綻び、福家警部補がいかにして犯人を追い詰めていくのか?こここそがこのシリーズの醍醐味である。


    作者大倉氏の元々の「コロンボ」愛が、このシリーズを生み出す根源であったのは周知の事実であろうが、シリーズが進むにつれて、物語としての完成度、福家警部補のキャラ造詣、読者目線から感じる犯人への思い入れ、いずれも益々のレベルアップを遂げている。もはや本家、亜流、いずれとも比肩しうる最強の探偵(警官)と呼べるまでの成長を遂げていると思う。以下作品ごとにダラダラと…ネタバレあると思われます、ご注意してお進みください。


    「禁断のプロット」
    女性マンガ家が、かつては志を共にしていた女性編集者を殺害、計画性はないものの、物語を紡ぐことを生業とする彼女だからこその隠蔽工作。事故にしか見えない現場から、微かな違和感を発見し犯人を追い詰めていく福家警部補。パターン通りに進んでいくが、福家警部補のオタク趣味が十二分に発発現されて楽しい。シリーズの共通項として、犯人はいずれも頭脳明晰であり、殺害に至る動機も同情に足るものであり、犯人目線でストーリーは進む。読者にとっても犯人を追い詰める福家警部補は恐怖なのだ。その恐怖感の盛り上げがシリーズを重ねる毎にますます巧みになっている。そんなところから突っ込むのか?福家警部補の観察眼、推理力の成せる技なのだが、終幕においては犯人を追い詰めての逮捕となるものの、寂しげな横顔を見せる福家警部補に、ちょっと安心する。彼女もツライ気持ちを抱えての捜査なのかな?福家警部補の心象描写は一切描かれないため、想像でしかないが、そうであって欲しい。


    「少女の沈黙」
    今作の犯人は元ヤクザ、組の解散に伴いかつての組員達の自立を見守りつつ社会復帰
    の手助けに奔走している最中に…どうしてもヤクザを抜け切ることができない者が引き起こした誘拐事件を、犯人を殺害することで揉み消し、かつての敵対組織との軋轢を交わしつつも、恩人への義理を忘れることなく、ヤクザならではの地頭の良さ、人脈、ハッタリと度胸、全てを駆使して、かつての仲間達の社会復帰へ向けて動き続けていく。この犯人をヒーローにしてちょっとした中編が完成してしまいそうなキャラ造詣であった。しかしながらその前に福家警部補が立ちふさがる。
    毎回福家警部補の多様性には驚くのだが、ヤクザとの人脈まであろうとは!またこのシリーズでは異質な警察内部での縄張り争いまで散見され、その象徴たるイヤらしい警官も登場する。その犯人より悪役な警官をやり込める福家警部補、底の知れない恐ろしさを読者に見せつけてくるのだが、犯罪者たるヤクザを相手にする以上、このような背景作りが必要だったのかもしれない。
    殺害事件に関わる最も重要な事案「誘拐された少女は犯人の顔を見ていたのか?否か?」この問題は終幕になっても明かされないのだが、だからこそタイトル「少女の沈黙」が光る。終幕において、犯人と福家警部補が並んで歩きだすシーンはとても映像的に映え、清々しいものであった。今回の短編集では白眉であった。


    「女神の微笑」
    今作の犯人は老夫婦である、実行役は夫、頭脳は車椅子の妻、なんと現代の必殺仕事人夫婦である。法で裁ききれない悪人を密かに罰して命を奪ってきた老夫婦。ひょんなことから銀行強盗犯の犯行を予見してしまい、その犯行を未然に防ぐために犯人を爆殺する。お見事な手腕である。しかしまたしても福家警部補の嗅覚が老夫婦を捉える。
    福家警部補の宿敵となるような人物を想像する時、やはり性別は女だろうと思う。非常に魅力的な犯人であった。そして予想外の結末である。今シリーズにおいて予想しえない展開であるが、期待値は爆上がりであった。この作風の中で再登場するのだろうか?いやして欲しい!ファンならば必ず思うことであろう。

  • 誰か別の人で
    またドラマ化しないかなぁ…

  • 福家警部補が活躍する『倒叙ミステリ』の傑作、第3弾。
    今回は、中短編3編のシリーズもの。

    かつては元同人誌仲間で、今は雑誌社の営業部長に力を握られる漫画家。
    先代組長の遺言により、組解散後も組員の面倒を見る元幹部。
    決行直前の銀行強盗計画を知り、それを阻止するエンジニア夫婦。

    それぞれ味のあるストーリーで、どれも興味深い内容になっています。

    倒叙ミステリゆえ、犯人は最初から分かっていますが、なぜ福家警部補が、そこに至ったのかが読みどころ。
    至る所に伏線があり、振り返って『なるほど』と、うなずかされます。
    次回作にも期待。

  • 「再訪」に続く第三集。

    今回収録されている三作品は全て中編ということもあり、前回より少し読み応えがあります。

    ”元同人仲間に干される漫画家”、”先代組長の遺志を重んじる元ヤクザ”、”法に変わって犯罪者に鉄槌を下すエンジニア”。程度の差こそあれ、それぞれに手を汚す理由があり、読んでいると切なくもなってきます。

    パズル要素は少なめで、どちらかというと人間ドラマに主眼を置いているのですが、福家警部補の飄々とした様子を思い浮かべながら読むと面白い作品です。

    収録されている作品のうち、個人的には”少女の沈黙”が好きです。

    この物語は、元ヤクザが、元組員に誘拐された2代目の娘を救うために行動します。完全犯罪を目論むというものでもなく、偽装といってもそれほど強くはないのですが、それがかえって潔く映り、ミステリとは違う面白さがあるんですね。ヤクザ相手に一歩も引かない福家警部補の振る舞いも良いですね。

    一方で、”女神の微笑み”というお話の結末はちょっと、腕を組んでしまいます。

    巻末の解説には、警部補のライバル登場、というような書き方がされているのですが、何というか自分の中で物語が解決しないんですよね。
    ライバルといっても、福家警部補の裏をかいて逃れたというわけじゃないですし。

    また、全体的に犯人を追い込むのが少し雑かな、という印象も受けました。
    それだけ犯人側の工作が甘いということなんでしょうけど、ミステリですし、もう少し手順を踏んでもいいのかな、と。

    とはいえ、今回も面白い作品でした。
    前回より少し長いので、これまで短編を読んできた方にとっては変化があって良いのではないでしょうか。

    オススメです。

  • ★やっと終わったよ。(p.330)
    ・中編くらいのが三話/プロにはなれず今は編集者になっているかつての仲間三浦真理子に仕事を妨害されていると思った漫画家河出みどりは。/組解散を認めず暴走し少女を誘拐した栗山次郎を力づくで止めた菅原巽は仲間たちの生活を必死に守ろうとしていた。尊敬に値する相手ではありました。/銀行強盗を企んでいた三人組を爆死させた老夫婦、後藤喜子と後藤秀治。喜子は福家との対戦を楽しんでいた。/こういう倒叙系ミステリは犯人をいかに魅力的に描けるかが勝負だと思いますが、今回の三編は皆充分でした。

    ■福家警部補についての簡単なメモ(全巻通して/★は重要語)

    【設定】倒叙系ミステリ短編集。それぞれのジャンルを極めたような人物による事件が起こり、刑事に見えない頼りなさそうな福家登場。その時点でたぐいまれなる観察眼である程度犯人の目算がついているようでもある。その後福家による様々な人物への聞き込みがあり犯人にじわじわ近寄っていく。容疑者に対して情報と疑問を小出しに開示し圧力をかけ心を折る。

    【麻生孝史/あそう・たかし】爆弾事件の被害者にして、宝石店強盗未遂事件の容疑者。三十歳。
    【阿東/あとう】菅原巽の元の舎弟。組解散後は黒柳印刷で働いていた。二十一歳。
    【天宮祥子/あまみや・さちこ】江波戸図書館館長。先代オーナーを尊敬し宏久が売却しようとしていたのを止めた。
    【網山聡/あみやま・さとし】爆弾事件の被害者にして、宝石店強盗未遂事件の容疑者。三十一歳。
    【新井信宏/あらい・のぶひろ】玩具の企画専門会社「スワンプ・インプ」社長。過去に丸吉のソフビ人形の複製をしていたことを西村に嗅ぎ付けられ殺した。
    【安藤安吉/あんどう・やすきち】禁酒して一年ほどたったが。断酒道場で麻生孝史といっしょだった。
    【池内国雄/いけうち・くにお】城北大学医学部教授。犯罪学の研究チームでカービングの研究をしていた。ヘビースモーカー。柳田に殺された。
    【池尻】飯森組の組員。病的なまでに痩せた身体に長い手足、青白い顔。解散した栗山組の構成員を取り込もうとしている。とりあえず阿東、今池(いまいけ)、梅園(うめぞの)に接触した。
    【石松和夫★】福家の同僚。捜査一課警部補。中年警部補で最近疲れが取れにくい。
    【板垣★】昨年配属された機動捜査隊員。柔道の元国体選手で大きい。強度の下戸。
    【市田珠子/いちだ・たまこ】江波戸図書館の事務員。死体の第一発見者。
    【井上】新人巡査。
    【今井圭造】腕のいい強盗犯。殺しはしない。
    【岩澤ゆかり】柿沼恵美の行きつけペットショップニノミヤのアルバイト。
    【岩島/いわしま】漫画月刊誌「ルル」を発行している出版社、湧泉社のカメラマン。
    【薄/うすき】福家と須藤両警部補の会話に生枝だけ出てきた。ムササビの親子を連れてきたとか言ってるので未読だがたぶん「いきもの係」の登場人物かと。同じ世界のようだ。とすると須藤友三はあっちの話でペアになってる人物かと。
    【内海珠雄/うつみ・たまお】漫才師。山の手のぼり・くだりの一人。天才肌。大洋芸能所属。
    【映画】レンタルビデオショップ「タダヤ」で福家が興味を示した映画は、頓田十絽兵衛監督の「偽金万歳」、小柳信二郎監督の「借金地獄は蜜の味」、近田三角主演の「沈黙の合気道」。うーん、B級っぼさいっぱいや。
    【江波戸康祐/えなみと・こうすけ】ミナト製紙創業者。江波戸図書館設立者。本を愛していた。故人。
    【江波戸宏久/えなみと・ひろひさ】江波戸図書館の現在のオーナー。売りたがっている。天宮祥子に殺された。
    【榎木牧夫/えのき・まきお】金沢の競馬仲間。
    【遠藤孝司/えんどう・たかし】火の玉タクシー運転手。内海=山の手くだりを死ぬ直前に運んだ。
    【大城加奈子/おおしろ・かなこ】藤堂の秘書で愛人。
    【大友哲/おおとも・てつ】燭台コレクター。商社勤務で世界中飛び回っている。
    【大野育子】クリーニング店「コメット」店主。歴史は長い。トラブルを起こさない、が社是。
    【岡山勝己/おかやま・かつみ】ニコニコローン社員。スキンヘッド。ドクロマークのジャンパー。
    【奥村紀之/おくむら・のりゆき】マックスジャパンパーサー。
    【オッカムの剃刀】オッカムの言葉《実在物は必要以上に増殖されるべきではない。》p.81。乱暴な言い方をすると《物事は単純に見ろということだ》p.82
    【小野木マリ子】女優。柿沼恵美を殺す。
    【カービング】復顔術。
    【柿沼恵美/かきぬま・えみ】女優。四十七歳。デビュー作は「女怪盗六〇四」は福家も繰り返し観ていた。オーディションのライバル小野木マリのスキャンダルを探しだしおどす。
    【金沢肇/かなざわ・はじめ】菅原巽の元舎弟。今は竹内組所属。クスリをやっている。
    【川上直巳/かわかみ・なおみ】元フリーの調査員。かつて原田明博と組んで探偵と強請屋で稼いだ。
    【川崎吉光】両国演芸場オーナー。パッとしない芸人たちのために赤字続きの昼の部を続けている。夜の部はメジャー芸人たちが登場するので常に大入り。一世を風靡した山の手のぼり・くだりも今は昼の部芸人。オールナイト興行もあり福家はその常連さん。
    【河出みどり/かわで・みどり】漫画家。かつていっしょに津谷芥子野黒(つやけしのくろ)というペンネームで同人誌活動していたがプロにはなれなかった三浦真理子が湧泉社コミック部門営業部長となり自分の生殺与奪権を握ってしまった。福家いわく傑作『大きな犬と太い犬』『四十二歳の犬』『アメリカ帰りの犬』『茶色くなった犬』『つぎはぎだらけのぬいぐるみ』、三浦真理子との同人誌時代の共著『犬猿の猫』などの作品がある。《福家に対しては、無言こそ最大の武器だ。》ということに気がついた。第三巻p.120。
    【川本典明】城北大学の学生。池内に教わっていた。
    【熊本敏/くまもと・びん】熊本酒店の社長。谷元酒造の製品販売を打ち切った。
    【栗山邦孝/くりやま・くにたか】比奈の父。組の解散を決めた先代組長の息子。百キロを超える巨漢だが太っているわけではないド迫力。その彼が福家からは恐怖に似た感覚を受けた。次郎は異母弟。
    【栗山啓三郎/くりやま・けいざぶろう】栗山組三代目。組解散を決めた。菅原巽はその右腕とと言われた。
    【栗山次郎/くりやま・じろう】栗山邦孝の異母兄弟。組解散に不満を抱いており飯森組に抗争をしかけようとしていた。そのために邦孝の娘比奈を誘拐して脅した。
    【栗山比奈/くりやま・ひな】邦孝の娘。次郎に誘拐された。
    【黒柳/くろやなぎ】黒柳印刷の社長。解散した組の組員に働く場を与えてくれていた。
    【計画】喜子《そう。完璧な計画は、カンペキゆえに失敗するわ》第三巻p.339
    【警察官】福家《警察官は結果がすべてです。》第三巻p.188
    【拳銃トリオ】両国演芸場に出ている芸人。婦人警官ネタばかりやる。福家よりも警官らしい。
    【江部優/こうべ・ゆう】人気のあるベテラン漫画家。手島寅雄のことを気に入っている。『サラリーマン犬蔵』やそのスピンオフ『ボンクラ先生』などがある。
    【小寺浩二/こでら・こうじ】模型塗料メーカー「クレオ」の営業マン。新井に商品サンプルを持ってきた。
    【後藤三吉】段ボールハウス住人。今井や田所の知人。
    【後藤秀治/ごとう・しゅうじ】爆破事件の実行犯。《年を取ると、簡単に気配を消せる。社会の主流たり得ない者は、存在自体を軽んじられるようになるのだ。》第三巻p.334
    【後藤秀夫/ごとう・ひでお】秀治、喜子の息子。二十五年前の交通事故で亡くなっている。
    【後藤喜子/ごとう・よしこ】秀治の妻。爆弾をつくった。頭脳明晰。二十五年前の交通事故で車椅子生活に。福家のことが気に入ったようだ。対戦相手として? 再登場はあるか? 《楽しかったわ。また会いましょう》第三巻p.430
    【小堀秀雄/こぼり・ひでお】ミナト製紙総務部。
    【鷺山良一/さぎやま・りょういち】闇金「ニコニコローン」社員。威圧感がある。
    【佐藤一成/さとう・かずなり】「剛腕佐藤」と呼ばれる東京酒造組合副理事。五十一歳。佐藤酒造は機械頼りの粗悪品しか作っていない。谷元酒造を買収しようとして谷元吉郎に殺された。
    【島田ハナ】マニア向け玩具専門店「島田商店」の店主。お茶の水にある。
    【志茂/しも】組織犯罪対策課の刑事。階級は巡査部長。なぜか栗山組を目の敵にしている節がある。
    【ジャイガー2000】河出みどりが愛飲している栄養ドリンク。一本二千円とお高い。福家たちが飲むのはジャイガー500がせいぜい。
    【上司★】福家がしつこく質問するときなどにときどき使う言い訳。「うちの上司は細かいもんで」とか。実際はどんな人物か不明。
    【城北大学】犯罪学の特別課程がある。
    【白石滋記/しらいし・しげき】バー「リッジ」勤務。アルバイトから始めて三年でようやくカウンターを任された。二回出演したので準レギュラー。
    【新開栄/しんかい・さかえ】京都の古物商。辻の能力を買っていた。二回出演したので準レギュラー。
    【菅原巽/すがわら・たつみ】栗山組元組員だが福家の対戦相手の中でももっとも尊敬に値する人物かもしれない。三代目栗山啓三郎の右腕と呼ばれていた。足を洗うが組解散後も舎弟だった者たちには影響力が強い。皆が更生するために働き口を探すなど苦労している。《菅原が挑んでいるのは、およそ勝ち目のない戦いだ。だが、負けるわけにはいかない。》第三巻p.245。もともと勝ち目が薄いうえに相手が福家やからなあ・・・。《ヤクザの度量は虚勢の張り方で測られる。》第三巻p.283
    【須崎知彦/すざき・ともひこ】小野木マリ子のマネージャー。
    【須藤友三/すどう・ともぞう】警部補。元は捜査一課だったが負傷して現在は総務課所属。二岡が駆け出しの頃可愛がってもらった。栗山邦孝が格闘を挑んだが手も足も出なかった強さ。読んでないですがどうやら「いきもの係」の主要登場人物のようです。
    【外山菊男/そとやま・きくお】映画監督。
    【曾根卓夫】駐車場経営。五年前、蔵に所蔵されているものを辻に売った。二十歳で亡くなった息子の誠は藤堂と友人だった。
    【染谷初美/そめや・はつみ】三浦真理子の部下。死体の第一発見者。
    【高橋孝雄/たかはし・たかお】カメラマンを十五年やってるベテラン。喫煙者。自己紹介の前に福家が自分に用があり、かつ刑事だとわかった数少ない人物。福家をモデルにして写真を撮りたいと思った。
    【高山】マックスのサービススタッフ。
    【多々見正一/たたみ・しょういち】福家を刑事だと見抜いた数少ない人物の一人だが捜査一課とまではわからなかった。特撮ヒーローもの「マスターレンジャー」の人気キャラであるマスターピンクの制服を倉庫から盗み出した。
    【立石浩二/たていし・こうじ】漫才師。山の手のぼり・くだりの一人。大洋芸能所属。努力型。
    【田所均/たどころ・ひとし】とあるマンションの住人。
    【田村拓郎/たむら・たくろう】谷元酒造の蔵人。
    【谷元吉郎/たにもと・よしお】谷元酒造の社長。採算よりも、よい酒を作りたいタイプで自他ともに対し厳しい。
    【月の雫】谷元酒造のつくる名酒。
    【辻伸彦/つじ・のぶひこ】美術骨董の世界では知られており全国を駆け回り掘り出し物を見つけ出してくる目利き。藤堂の原稿(盗作だった)を手に入れ強請に使ってきた。《いまど携帯もパソコンも持たず、メモだけを頼りに日本中を飛び回っている》第二巻p.53。このやり方もいいかもしれません。
    【筒井】城北大学心理学科教授。
    【津村栄吉】警察を退職して十年。ヒマだ。
    【手島寅雄/てじま・とらお】漫画月刊誌「ルル」編集者。身長百九十三センチ、体重九十二キロの巨漢だがメンタルは弱い。
    【手帳】福家は大事なときには手帳を取り出してメモを取る。記憶力よさそうやし必要ない気もするけどなんかの儀式かもしれない。
    【寺口豊彦/てらぐち・とよひこ】巡査長。
    【寺沢透/てらさわ・とおる】漫画月刊誌「ルル」を発行している出版社、湧泉社のカメラマン。
    【土井昭輔/どい・あきよし】柿沼恵美のマネージャー。
    【藤堂昌也/とうどう・まさや】脚本家。
    【遠山/とおやま】菅原巽の元の舎弟。組解散後は黒柳印刷で働いていた。三十二歳。
    【特急こだま・ひかり】山の手のぼり・くだりの師匠。
    【殿山大五郎】殿山書店店主。江波戸康祐を尊敬していたようだ。ランドール・コルスコ作品集の第七巻を入手し天宮に連絡してくれた。
    【鳥島秀/とりしま・しゅう】爆弾事件の被害者にして、宝石店強盗未遂事件の容疑者。二十三歳。
    【永田】マックスの乗員。
    【中谷良平/なかたに】マックスの船長。
    【中西友也/なかにし・ともや】谷元酒造の見習いだったがクビになった。
    【中野茂】マックスの乗員。
    【鍋谷五郎】全国八十店舗を展開する「リカーショップ ウェアハウス」の社長。
    【二岡友成★/におか・ともなり】機動鑑識班刑事。福家が来るまで誰にも現場を触れさせないよう目を光らせている。
    【ニコニコローン】街金と思われる。社員は鷺山とか岡山とか出てきた。
    【西村浩】新井信宏を恐喝し殺された。
    【日塔/にっとう】警部補らしい。
    【野田平三/のだ・へいぞう】三浦真理子の住むマンションの下の階の住人。
    【則武太郎/のりたけ・たろう】佐藤酒造の警備員。
    【畠山茂/はたけやま・しげる】カメラマン。
    【初田昌子/はつた・まさこ】文具店店主。山の手のぼり・くだりの漫才が好きだった。
    【花園】マックスの三等航海士で衛生管理者の資格を持つ。
    【浜田晴彦/はまだ・はるひこ】菅原が面倒をみた栗田組構成員の最年長。五十九歳。
    【原田明博/はらだ・あきひろ】ハラダ警備保障の社長。かつて探偵事務所が経営不振だった頃川上直巳と組んで探偵と強請屋で稼いでいた。
    【ピナクル】池内がすっていたたばこの銘柄。比較的珍しい。
    【檜原剛/ひのはら・ごう】飯森組の実質的なナンバー3。組に入って十三年め。今年四十歳になった。身長百九十二センチ金髪。誰もが道を開けるおそろしさだがなぜか福家には頭が上がらない。
    【広川太郎】交番巡査。昇進試験勉強中。
    【福家★/ふくいえ】警部補。女性。縁なし眼鏡。ショートカット。身長百五十二センチと小柄。三十歳超だが二十代のうっかりすると就活生くらいに見える。鈴のような声。おっとりとして頼りなさそうでパッとせず油断を誘いがちな外観。だが、頭の回転が速く言動が次々に切り替わってゆき犯人や周囲はなかなか追いつけない状態で煙に巻かれている間にしつこくじりじり真相へと近寄ってくる、犯人にとってホラー的な刑事。完徹数日も平気なタフさも持つ。ボディブローやジャブだけで勝負に勝ってしまうタイプ。酒に強いことが判明。病院は苦手。映画はかなり好きなようだ。テレビ番組も意外に観ている。漫才にも詳しく一家言ある。特撮系にも詳しいらしい。オタク的な嗜好があるようだ。《あんた、面白い刑事やな》第二巻p.119。《どこか人を安心させる力を持っているようだ。》第二巻p.189。《やれやれ、あんなんに狙われたら、犯人もたまらんで。》第二巻p.228。《いったい何なんだ、あいつは。》p.204
    【富士宮/ふじのみや】菅原巽の元の舎弟。組解散後は黒柳印刷で働いていた。
    【藤本路子/ふじもと・みちこ】河出みどりのアシスタント。
    【藤山照子/ふじやま・てるこ】最近編み物にこっている。公園で爆弾事件の被害者三人を見かけていた。
    【ブルーマン】特撮もののようだ。来期の造形を新井が中心になって進めている。
    【細田理恵子】河出みどりが信奉しているベテラン漫画家。
    【マスターレンジャー】特撮ヒーローもの。
    【マックス】豪華客船をイメージしたフェリー。
    【松中】ニコニコローン社長。いまだ姿はみせていない。
    【三浦真理子/みうら・まりこ】湧泉社コミック部門営業部長。元は漫画家志望で津谷芥子野黒(つやけしのくろ)というペンネームで河出みどりといっしょに同人誌活動していたがみどりしかプロになれず編集者になった。営業畑だけに売り上げ第一主義で良作も平気で切り捨てるが辣腕でどんどん出世していまや河出みどりの生殺与奪権は真理子が握っている。「ヘビ女」と呼ばれている。
    【右田謙三/みぎた・けんぞう】俳優。
    【三室勘司/みむろ・かんじ】俳優。身長一八〇センチ。暗がりでは恐怖を与えるタイプ。
    【森藤サブロウ】レンタルショップ「タダヤ」店主。
    【矢崎良太郎/やざき・りょうたろう】大手量販店アルバイト店員。高い偽造技術を持っている。
    【柳田嘉文/やなぎだ・よしふみ】城北大学講師。通称「教授」。担当している「犯罪学総論」はとても人気が高い。五年前まで科警研科学捜査部主任。
    【山の手くだり】→内海珠緒
    【山の手のぼり】→立石浩二
    【吉田瓜男/よしだ・うりお】爆弾事件のあった東側の通りでレストランを経営している。佐藤さんからの予約がキャンセルされた。
    【吉野利香/よしの・りか】女優?
    【ランドール・コルスコ作品集】江波戸康祐が生前集めようとしていたが第七巻だけ手に入れられなかった。
    【リッジ】バー。ピナクルという銘柄のたばこを店の前の自販機に入れており、店にも置いている。池内、辻とお得意さんが殺された。
    【レンタルビデオショップ「タダヤ」】→タダヤ
    【渡辺良進/わたなべ・よしずみ】漫画月刊誌「ルル」編集長。編集畑出身でえいぎょうばた出身の三浦真理子とは折り合いが悪かった。

  • 福家警部補三作目。

    ちょっと長めの短編集。
    漫画家の話、ヤクザの話に、犯人に逃げられた話。
    漫画家の話では福家警部補のオタクっぷり全開で面白かったが、
    ヤクザの話は犯人の男らしい感じが良かったかな。

    ちらりちらりと、見えそうで見えない福家警部補の過去が気になる。
    ヤクザの若頭や、仲間の警部補と何があったのだろう。
    いや、それよりも、福家警部補が捜査で出会う目撃者や証言者たちの人生を
    ほんの少し変えていくのが気になる、というか楽しい。

    しかし、財布を忘れたり、部下の携帯電話をバッグに入れてしまったり、
    警察手帳を食堂のトレイにのせて返してしまったり、
    ボケ具合が増してないだろうか?

  • シリーズ第3弾。

    「禁断の筋書(プロット)」
    衝動的な犯行にしては上手く偽装したなという程度では、福家警部補の目は誤魔化せないよなあと、ニヤニヤしながら読んでしまった。

    「少女の沈黙」
    元組員の男も福家警部補の足元には遠く及ぼないという清々しささえ感じてしまう攻防戦と結末。

    「女神の微笑」
    後藤喜子。好敵手現るって感じ。

    犯人当てだけがミステリーの醍醐味じゃない。ということが胸に沁みいる作品。

全46件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

大倉崇裕(おおくら たかひろ)
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年、「三人目の幽霊」で第四回創元推理短編賞佳作を受賞。98年、「ツール&ストール」で第二十回小説推理新人賞を受賞。2001年、『三人目の幽霊』でデビュー。代表作である白戸修シリーズ、福家警部補シリーズ、警視庁いきもの係シリーズは、いずれのシリーズもTVドラマ化されている。

「2022年 『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大倉崇裕の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×