孤島の来訪者 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488499228

作品紹介・あらすじ

謀殺された幼馴染みの復讐のため、テレビ局のADとなった竜泉佑樹。ターゲットの3名を含む9名で曰くつき無人島のロケに参加した佑樹だったが、初日からターゲットの一人が殺されているのを発見する。自らが手を下すはずが、一体何者の仕業なのか? しかも、その犯行には人ではない何かが絡み、佑樹たちの中に紛れ込んでしまった!? 疑心暗鬼の中、またしても佑樹のターゲットが殺害され……。『時空旅行者の砂時計』で話題を浚った著者が贈る〈竜泉家の一族〉三部作第二弾、予測不能な孤島本格ミステリ長編。

感想・レビュー・書評

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  • これは好き嫌いが分かれる作品かも知れません。
    本作『孤島の来訪者』は竜泉家シリーズ2作目となる特殊設定ミステリになります。

    前作との関連性はほぼない独立した作品ですので、クローズド・サークルが好きな方は楽しめると思いますが特殊設定ミステリの「特殊」が前作以上に奇抜過ぎて、今村昌弘さんの剣崎比留子シリーズと印象が被りました。とは言え、竜泉家シリーズの3作目の文庫化も私個人は楽しみにしています。

    概要です。
    竜泉佑樹は復讐のために1つの計画を実行に移すべく、テレビ制作会社のADとして孤島へ旅立つ。しかし同行していた復讐相手を殺害する計画は孤島の伝説によって阻まられ、竜泉佑樹は阻害要因の排除のために名推理を繰り広げていく。果たして竜泉佑樹は伝説に打ち勝ち、無事に島を脱出できるのか?

  • 竜泉佑樹は殺された幼馴染の復讐を誓い、標的に近づくべくテレビ番組制作会社のADとなった。標的の三人と無人島のロケに参加し、そこで復讐を狙うが、何者かによって標的の一人が殺されて──。

    『竜泉家の一族』三部作の第二弾!とは言っても、この作品単体でも楽しめる内容になっている。第一弾『時空旅行者の砂時計』とは全く違った特殊設定ミステリで出迎えてくれる。もちろん読者への挑戦状もあり、フェアに開示された特殊設定を前提にした謎をいかに解くかという味わいは格別。ぼくの正解率は30%くらいだったかな…。ここだけは間違いないってところだけ見抜けてよかった。

    民間伝承が残り、過去に惨劇があった孤島×主人公の復讐劇!序盤は金田一少年の事件簿の犯人視点みたいな雰囲気で進む。佑樹は何食わぬ顔でADの仕事をしつつ、10か月かけて入念に計画した復讐実行の時を待っていた。すると、ターゲットの一人が先に殺されてしまう!

    「復讐しに来たと思ったら、ターゲットがいつの間にか死んでいた。な…何を言ってるのかわからねーと思うが(略)」

    まさにジョジョのポルナレフ状態!しかも、その殺され方は45年前にこの島で起きた大量殺人事件と同じだった!復讐は果たしたい!だが、この犯人を先に捕まえなければ危険だ。ということで、佑樹は不本意ながらターゲットを含めた仲間たちを守るために探偵をする羽目に。ここから、犯人と今回の特殊設定とは何かを推理していくのも面白い。解説にもあったように、特殊設定を説明的に羅列するのではなく、解明させることでミステリ要素に組み込むのは上手い。

    事件を追うことによって、45年前の惨劇『幽世島(かくりよじま)の獣』事件の真相にも迫っていく。秘祭を司ってきた血筋の末裔・三雲絵千花の祖母・英子(えいこ)は45年前に何を見たのか?!ミステリを読んでたはずだよな?ってなるぶっ飛んだ大胆な展開ながら、違和感を丁寧に拾い上げていく繊細さも持ち合わせたミステリだった。ラストも潮風を感じる爽やかさがある幕引きでよかった。

  • 時空旅行者の砂時計に次ぎ、竜泉家の一族三部作の2冊目。題名から推測するに、無人島で起きる事件の解決だろうか?いずれにしてもクローズドサークルだろう。

    三部作というくらいだから、竜泉家が関係する。そしてマイスター・ホラが案内役を務めると序文で書かれている。その後プロローグがある。
    序文からすでに始まっている。

    1974年無人島の「幽世島(かくりょじま)」で惨事があった。時はそれから45年後の2019年。
    竜泉佑樹が幼馴染の続木菜穂子とその父親が不審死した事件の復讐を画策する。ターゲットは3人。しかし1人目が何者かに殺害される。

    ここから少し予想外の展開が始まった。SFミステリーの様相となった。マレヒトとは何者か?それが犯人なのか?そしてそれは・・・
    私は本格ミステリーマニアでもないし、SFミステリーマニアでもないが、マレヒトについての謎を解くことが、解答に繋がると読み取ることはできる。

    また、本作も終盤にマイスター・ホラから読者への挑戦がある。佑樹の復讐は何処へ行ったのかと忘れてしまう場面が続く。この設定に意味があるのか?最後に全て回収された。

  • 竜前家シリーズ第二作とのことで、前回のタイムトラベルの話がとても良かったのでこちらも読んでみました。特殊設定ミステリーですが、設定の特殊さが前作と全く異なります。

    個人的には前作の方が好きでした。主人公のキャラが好きだったのと特殊設定とはいえタイムトラベルという割とメジャーな設定だったからかもしれないです。逆に今回は主人公のキャラに感情移入出来ないのと幼馴染(大切な人ではあったと思うがここ数年交流もあまりなく恋愛感情があった訳でもない)の復讐のために人生棒に振れるものなのか?というのが腑に落ちないからかもしれません.

    ネタバレになるので書きませんが、設定が特殊すぎてキチンと読み込まないと推理が出来ないです。わたしはテキトーに読んでしまい、あれ??それ出来るんだっけ??となりました。今、改めて2周目読んでます。

    ただ流石は方丈先生なので読みやすいですし、ストーリーは楽しいです。三作目も楽しみです。

  • 正直、エピローグまでは★3〜4でした。

    3人を幼馴染の復讐の対象とし、幽世島へロケにきた主人公と一行。しかし、マレヒトと呼ばれるこの地に伝わる異形の存在に対象が先取りされてしまう。復讐を自分の手で成し遂げるため、マレヒトの犯行をとめ、マレヒトは誰に化けているのかを追究していくストーリー。マレヒトという存在を扱った特殊設定ミステリで、その設定も緻密になされているため、本格ミステリとして十分楽しめる本作である。しかし、エピローグまで異形の存在の本能的な動機がミステリ好きとしては刺さらず、またマレヒトの蛮行というだけでは物足りなかった。

    エピローグ、特殊設定を用いたミステリだけで終わらず余韻を味わえる最期は救われました。

  • 設定を受け入れるのに若干時間を要しました…というか登場人物たち特殊設定に順応するの早すぎない?特に主人公!なんてツッコミを入れつつ読みましたが、まあ竜泉家の一族は不思議な事への耐性が強いんでしょう。 

    暗号を解読して発見した文書により、マレヒトの能力が開示されていくシーンはワクワクしましたし、一見単純に見えた暗号がマレヒトには解読不可能なものだったこと、それが犯人当てに直結する点は非常に巧みだと思いました。

    読者への挑戦付きの本格ミステリとのことで、論理によって犯人を導き出すことが十分に可能であり、フェアなミステリだと思います。私はマレヒトの仮死状態にするという能力を誤解していたせいで、見当違いの推理をしてしまい、犯人当ては失敗しましたが…

    マレヒトが2人いる可能性も考えはしたのですが、わざわざ島に戻る理由なんてないよなぁと思っていました。しかし、生殖を目的に島へ戻ってきたという事実にゾッとしました。マレヒトの雄と雌が揃うことで、指数関数的に増殖してしまう未来は想像しただけで恐ろしいです。しかし、泳げないという弱点さえ知っていれば対処のしようはあると思います。竜泉家の財力を用いて、時空の裂け目をなんとかして封印して欲しいです。

  • おもしれ~~~~~!!!!!

    前作のタイムトラベルものとは違い、今度は人間に擬態できるバケモノが誰かに化けているかを突き止めるお話。
    は?って思うでしょ。
    最初黒猫が犯人ですってなったとき、こっからどうなるんだよと思ってハラハラドキドキしたけど、そんな心配杞憂でした。面白すぎる!!!!寝る前に読み始めて結局一気読みした。読み終わったあと思わず「おもしれ~~~」ってつぶやいちゃったもんな。夜中二時に。

    二転三転する展開に翻弄されっぱなし!竜泉の推理力がすごすぎる。あと加茂の名前が出たのも嬉しかった。
    最後のオチも面白すぎて脱帽。あーそういうことか!ってちょっとにやけちゃった。人間とは業が深い生き物ですね。
    早く三作目が読みたい!明日にでも発売してくれ!

  • 上手く特殊設定をとミステリーが融合
    していて読み応えがあった

  • 「遊星からの物体X」のクライマックスに、血と熱した針金で誰が怪物かを判定しようする悪夢めいた場面がある。この場に名探偵が現れて、「誰それは物体Xでは有り得ない、なんとなれば……故におまえが怪物だッ!」とやったとしたらというようなお話。怪物のできること/できないことについて厳密なルールブックを定めて、それに基づく論理で怪物を追い詰める。これもコロンブスの卵的な快作。前作との比較で言うと、良さを引き継いだ上で、前作にあった無理矢理感を解消している。ただホラーから設定を借りてるのに、すっきりしたハッピーエンドなので、ホラー好きは複雑かも知れない。

  • 特殊設定だと知らずに読み始めたので途中で「あっ、そっち!?」となった。思ってたものとは違ってたけどこれはこれで面白かったです。

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