空に浮かぶ子供 (創元推理文庫 547-4)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488547042

感想・レビュー・書評

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  • 元映画監督のウェーバー・グレグストンは親友のフィリップ・ストレイホーンから電話をもらった。その電話から一時間後にフィリップはライフル銃で自殺した。親指の話をしてきたのに。何故だ。ウェーバーは散歩に出た。一時間強のところにいるカレン・ジェイムズに会いに行きたくなったのだ。カレンは旦那のダニーと住んでいる。「月の骨」をカレンが書いたのだ。ロンデュアという世界で月の骨というものを探す旅の話だ…。現実世界に向こうの世界が染み出してくる。不思議な話だ。でも一気に読めた。

  • 最初は面白かったけど、途中飽きてしまった。現実と悪趣味な幻想。ジョナサン・キャロルは何冊か読んだけど女性が主人公の方が面白く感じます。

  • 決して悪くないのだろう。
    ホラー映画の監督(兼脚本家兼主演)の話であり、
    世界に偏在する悪の話でもあり。
    「月の骨」ではキーマンたりえなかったグレグストンが主役でもあり。
    設定やテーマなどは間違いなくいいのだが、
    なぜか「とっちらかっている」という印象。
    もちろん自分の理解力が……という可能性もあるが。

    「天使」ではなく「死の天使」という発想はすばらしい。

  • 途中まで凄く良かったのに、後半失速してしまって残念。
    結局何が言いたいのかイマイチ伝わり辛いです。

  • 引退した映画監督、ウェーバー・グレグストンは、親友フィルの突然の自殺に際し、三本のビデオテープを受け取った。
    再生したテープに入っていたのは、当の親友の姿と謎めいた言葉、そして幼い頃ウェーバーが飛行機事故で亡くした母親の、墜落して死ぬまでの、最期の数分間の映像。

    “ここで見ることのいくつかが切り抜ける手助けになることを願ってる。
    どうしてわかるって? わかるんだよ、ウェーバー、それだけさ。それも、おまえがこいつを見る時ぼくがもう死んでる理由の一つなんだ。ぼくにはとても耐えられない。けどおまえなら大丈夫”

    そうして全てが始まった。

    ------------------------------
    キャロルの作品には‘恐怖’の形が繰り返し、姿を変えて登場しますが、今作で示されるのは倫理と天秤にかけられた創造性。
    超えてはいけない一線を踏みこえた時、それによって開かれる地平がこんなにも完璧で満たされたものなのだとしたら、芸術の名においてそれに手を触れんと差し伸ばすのは許されざる行為か、それとも踏みとどまることこそが罪なのか。
    たどり着くことを許された人間だけが投げかけられる、永遠の問答の終着地点。現行のキャロル作品の中で私はこれが一番好きです。

  • 「月の骨」、「炎の眠り」で登場していた映画監督ウェーバーが今回の主人公。死んだ映画監督仲間で親友の残したビデオメッセージを見たことで幻想世界に足を踏み入れていきます。その境目の描き方も見事ですが、登場人物たちの会話が楽しいです。そしてタイトルの意味がわかり全てが明らかになるラスト、寝ぼけて読んでいた為すぐには意味がわからなかったのでしたが、理解できた瞬間には眠さが吹き飛びました。伏線の張り方が素晴らしい作品でした。これだから読書はやめられません。

  • 最初の一行から魔法がかかっている。無駄な部分がひとつもない。絶望的なまでに完璧な一冊。キャロルの、そしてオイラにとっても至上の物語。美しいものがみたかったらこれを見てくれ。

  • 「月の骨」からキャロル作品に登場していたウェーバー・グレグストンを主人公に据えた、ダーク・ファンタジー三部作の第三弾。キャロル作品のテーマの一つ、“「利己的」という「罪」”が、ここでは無意識ではなくほぼ意識的に(ただし「芸術のため」という「大義」のもとで)実行され、これまでの作品では容赦なく主人公を襲っていたそれに対する「罰」というものはここでははっきりとは描かれない。「意義のあるもの」を生み出したい、その願いを代償と引き換えに引き受けるのは、天使か悪魔か。踏みとどまることができず、自分の目が焦点を合わせてしまった到達点まで進まずにはいられない“本性”は、善とか悪とかの意味合いをもはや気にしない。神の被創造物である人間が与えられた才能を駆使して創造する芸術、それらがモラルというくびきから解き放たれる時、純粋な芸術的価値が高まる一方でひとは何を失うのか。踏みとどまるべき、というモラルの警告を受け入れる時、芸術は何を失うのか。キャロルがこれまでも描き続けてきた“罪”というテーマを、知恵の実の誘惑に負けた人間の原罪としてもう一度くっきりと描き上げた作品。

  •  J・キャロルは「死者の書」を、以前に読んでたけど、やはりわかんない(笑)
    ジャンルとしては、SF・ファンタジー、だけど雰囲気に騙される感じだ。
    死者の書が、夕暮れに明るいかったのに気がついたら
    真っ暗になってた感じがあったのに対して、
    空に…は、ずっと黄昏にいるようだ。
    人には、求めてはいけないものがある。
    それを求め、かつ手にしてしまった者の戸惑い?を描いているが
    畏れも通り越して、切なく虚無的だ。

    上手く言えないけど、いい作品です。
    死者の書の方が好きだけど(笑)

  • ラストがいまいち。

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