- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488578039
作品紹介・あらすじ
本邦初訳5作を含む全18編を収める、英国怪談の名手ウェイクフィールドの傑作選
感想・レビュー・書評
-
図書館より
怪奇小説18作品を収録した短編集。
収録作品はどれも正当派のゴーストストーリー。ドストレートすぎてもはや書かれなくなった、という表現が正しいのかどうか分かりませんが、それだけゴシックな雰囲気が漂っています。
個人的な問題として文体との相性が良くなかったです…。展開はどれも面白そうだったのですが、海外の古い作品となるとどうしても、そういう問題が出てきてしまうなあ。
印象的なのは表題作の「ゴースト・ハント」ラジオのリポーターが幽霊屋敷のリポートを実況中継する短編。
これはリポーターが実況のようにずっとしゃべり続けているので、地の文がないので読みやすかったです。
そして徐々に一貫性がなくなり、人間性が変化していくリポーターの実況の恐ろしさたるや…。宮部みゆきさんがホラー系のアンソロジーで選んでいた作品なのですが、今回改めて読んでもやっぱり怖かったです。
「目隠し遊び」も数ページの掌編で読みやすく怖かったです。農夫が頑なに一つの言葉を繰り返すラストは、下手な恐怖シーンの描写よりよっぽど想像力が喚起され、怖くなります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
H. R. Wakefieldの怪奇小説の短篇集。"ゴースト・ハント"や"赤い館"など幽霊屋敷にまつわる話が多かったです。作品は少し古くさい感じがありますが、それでもゾクゾクきました。怪奇の内容は、具体的な内容が書かれておらず、読者の想像に委ねている部分があり、最近の怪奇小説やホラー小説になれていると面白みが感じられないかもしれません。ただ、ゴシックの雰囲気はかなり良いです。これはどう頑張っても真似できないものです。いい意味においても悪い意味においても、古き良き英国の雰囲気を伝えている作品だと思います。
-
ラジオアナウンサーが喋り続け、正気から狂気に移行する様が格別で、思わず朗読したくなる・・・というワタクシゴトはどうでもいいけど、ホントにどこかでドラマ化してくれませんか。激希望です。
-
気づいたら10年積読していた……。後書を読むと短編のあちらこちらに著者の姿が写り込んでいるようで(編集者、牧師など)面白い。
「赤い館」などはゴシック・ホラーものだが、ホラーの枠に収まらない作品や現代的な筆致も見られる。「赤い館」、「チャレルの谷」が印象に残った。 -
↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00180372 -
表題作の『ゴースト・ハント』はラジオ番組で幽霊屋敷に入っていく実況モノのという体の短篇。POV系映画、youtubeなどの構成を20世紀初頭で先取りしていた傑作ゴシックホラーです。
-
怪奇小説黄金時代”最後の名手”による18篇(1920年代から60年代の作品)。表題作は、過去に何十人も自殺者を出したという幽霊屋敷から「ラジオをお聴きのみなさん、」と実況が始まる。レポーターの軽いお喋りは徐々にタガがはずれてゆき、最後は突然ふっきれたかの如く変調する。強烈な禍々しさに「ひっ!」となった。ほかに「赤い館」「最初の一束」など説明しすぎない分、怖さがあとを引くし、繰り返し現れる“わらわらと走る人々”のイメージも妙に頭から離れず、夢に見そうだ。都会の人々が閉鎖的な田舎で怪異に襲われるパターンが多い中、被植民地人の視点から描かれる「チャレルの谷」の切れ味が面白かった
-
2012-7-6
-
2017/02/27-03/10