- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488715069
作品紹介・あらすじ
SFの本道ともいえる宇宙SFの秀作を、有名だが入手困難な作品を中心に集成。60年代に活躍した、いまやクラシック作家とされる人々の名作を中心にした。本邦初訳が2編(セイバーヘーゲン、マッスン)、既訳再録が2編(ハリスン、ローマー)、ほか5編を新訳(ブリッシュ、セント・クレア、ブラッドリー、キャップ、ディクスン)。
感想・レビュー・書評
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SF。宇宙探査SF。短編集。
これはハッキリと自分好みのテーマ。
「埋もれた秀作をふたたび世に出す」ということも本書の目的ということで、貴重な作品ばかりで、作家の顔触れも新鮮。
「表面張力」を中心に、好きな作品ばかり。大満足。
以下、特に好きな作品
フレッド・セイバーヘーゲン「故郷への長い道」
冥王星の彼方で遭遇した物体の正体は。壮大な目標に向かって地道に生きる人々の姿が美しい。
マリオン・ジマー・ブラッドリー「風の民」
とある惑星に残された母子の物語。ファンタジー感が強め。世界観が好み。
マーガレット・セント・クレア「鉄壁の砦」
砦の管理を任された軍人。何から砦を守っているのか。静かで冷たい作品だが、結末はなかなか怖い。
ハリー・ハリスン「異星の十字架」
宗教SF。ブラックな結末がとても好き。かなりの良作。
ジェイムズ・ブリッシュ「表面張力」
本書の中心となる中編。小さな水場で生きる、更に小さな人類。魅力的な世界をつくり、独自の社会を構築し、神秘的な冒険も描く。傑作。1967年にシリーズが一冊の本になっているとのこと。新訳での復刊をお願いします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宇宙に進出した人類をリアルに描く
九つの作品はどれも新鮮。異星人か全く登場しない作品、当たり前のように存在している作品、人類自らが異星人となる作品等、どれもアイデアあふれる古典的SFだ。
編者は人類の遠い遠い未来を描く「表面張力」推しのようだけど、私は見えない敵にいつの間にか…という「鉄壁の砦」かな。 -
一言で言えば「古き良き」。昔の「面白かった」SF的な言い方には同意しないが(今のSFだって面白いからね)、面白さの質が変わってきているのも事実で、こうした変化する以前のSFを読むと、別種の楽しさがあったりする。まあ、古いSF、殊にアメリカ産のそれを読むと、あまりに独善的な価値観の押し付けに鼻白むことも多いのだが、その手の作は避けられているようだ。個人的な感想としてはレティーフものの短編がツボだった。
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SFを読み始めたころに感じた「古き良きSF」の短編集。
「タズー惑星の地下鉄」は絵が脳裏に浮かぶような凄いイメージ。
物語として面白かったのは「総花的解決」 あとがきで「アメリカ宇宙SF版「エロイカより愛をこめて」みたいなものと思ってもらえば話は早い」ほんとにそう!このシリーズをもっと読んでみたい。あるのかしら? -
宇宙探査SFのアンソロジー。宇宙の深淵へ旅立った人類を待ち受けていたものを、さまざまな切り口で描いた9篇の短篇が収められている。
いずれも数十年前に書かれた古い作品ばかりだが、編者が「埋もれた秀作をふたたび世に出したい」という動機で集めただけあって、SFが勃興したときの熱量や手さぐり感を感じさせて面白い。昨今のとんがったSFには無い、読んでいて疲れない安心感と懐かしさ、それでいてワクワク感を感じる。
未知の環境や生物に直面したときに人類はどう対処しようとするのか。生存戦略、テラフォーミング、宗教、倫理観、異星人との共存・戦いなど、作品によってテーマはまったく異なるが、いずれもあきらめずに先を進もうとする人類の挑戦を感じさせた。
なかでも、遠い宇宙で出会った宇宙船の『故郷への長い道』、異星人への布教活動の『異星の十字架』、帰還するすべを失った播種船クルーの末裔を描いた『表面張力』が印象に残った。 -
故郷への長い道は読了。遠い宇宙で出会った生物が人間だったら?
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かなり古いSFだがあまり古くさく感じない。
表面張力はちょっと『法治の獣』を思い出した。