銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫) (創元SF文庫 た 1-5)

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488725051

感想・レビュー・書評

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  •  とうとうやってきた直接対決。バーミリオン会戦。
     戦争ものでこんなテンポで読んだのは『坂の上の雲』以来だ。
     「戦術」があるのはもちろんだが、そこに登場人物たちのこころ、パーソナリティーがからんで話が進行していく様がすごい。
     ストーリー本編としての大きなうねりもありつつ、それと同時に起こるサイドストーリーがまた見逃せない厚さ。熱さでもある。これでまだ五巻っていったいどういうことだ!という本編折り返し地点。

  • フェザーンを制圧下に置いた帝国軍は、今や同盟首都の目前にまで迫っていた。ヤンはイゼルローン要塞放棄を決断、民間人を保護しつつ首都へ急行する。圧倒的な優勢を誇る敵軍に対し、ヤンは奇策を用いて帝国の智将たちを破っていくが、ラインハルトの大胆な行動により、彼との正面決戦を余儀なくされる。再び戦火を交える“常勝”と“不敗”。勝者となるのははたしてどちらか?
    (1985年)
    — 目次 —
    第一章 寒波到る
    第二章 ヤン提督の箱舟隊
    第三章 自由の宇宙を求めて
    第四章 双頭の蛇
    第五章 暁闇
    第六章 連戦
    第七章 バーミリオン
    第八章 死闘
    第九章 急転
    第十章 「皇帝ばんざい!」
    解説/日下三蔵

  • ラインハルトとヤン・ウェンリーの直接対決と、物語の一旦の区切りとなった本巻。
    まったく予想出来なかった展開に驚きの連続でした。いくつかの伏線を残しつつ、次巻からどう物語が進むのか、全然読めない...

  • ユリアンが無事ヤンのもとに戻れて一安心だ。
    「提督が地獄へいらっしゃるなら、ほくもおともします」とユリアンが冗談めかして言った時
    ヤンが「お前には天国へ行ってもらって、釣糸で私を地獄からつりあげてもらうつもりなんだ。せいぜい善行をつんでおいてほしいな」
    と返すところが好きだ。

    フレデリカへのプロポーズのシーンはとても素敵。
    こんな風に言われたら、自分も本当に嬉しくて
    イエスの返事すら忘れてしまいそうだ。

  • ヤンはまさしく青年であった…
    いいことだけど、ちょっとがっかりもしたかな

  • 本書は、帝国の大侵攻(作戦名「神々の黄昏(ラグナロック)」)の後半戦、ラインハルトとヤンの死闘を描く。

    帝国のフェザーン占拠の報を受けた、イゼルローン要塞でロイエンタール上級大将との攻防を演じていたヤンは、最早イゼルローン要塞は死守する価値を失ったと判断し、要塞を放棄、艦隊を率いて首都ハイネセンの防衛に行動を移した。

    圧倒的不利な状況下を打開する唯一の方策は、「ラインハルト自身を打倒する」ことであると考えたヤンは、ラインハルトを前線に誘い出すために、ゾンバルト少将指揮する輸送船団への襲撃を始めとして、帝国軍の艦隊と連戦、勝利を重ねていく。シュタインメッツ、レンネンカンプ、ワーレンと、帝国軍の名立たる大将が指揮する艦隊を次々と打ち破るヤンに対して、苛立ちを隠せないラインハルトは、ヤンの作戦がラインハルトを前線に誘い出して打倒するものであると知りつつも、自身を囮にした、ヤンと直接対決する作戦を決行する。

    再び合い見える両雄。一点集中の陣形で帝国軍の艦隊を貫くヤンに対して、ラインハルトは薄い防御陣を何重にも敷く縦深陣形で迎え撃つことで、ヤンの艦隊を物理・精神の両面で消耗させていく。しかし、この作戦の全容に気が付いたユリアン中尉の発言により一転攻勢、ヤンはラインハルトの艦隊を包囲する。途中、ミュラー大将の救援があったものの、不利な状況を覆すことはできず、絶体絶命の状況下に置かれたラインハルト。勝利が目前と迫ったヤン。

    その時、同盟首都ハイネセンより超高速通信(FTL)がヤンの元に届く。それは、同盟最高評議会議長ヨブ・トリューニヒトからの無条件停戦の命令であった。ラインハルトの敗戦を悟った副官ヒルダが、ミッターマイヤー、ロイエンタールの両上級大将に提案し、ラインハルトの敗戦目前に、ハイネセンを攻略・降伏させたのであった。勝利を目前にしながらも停戦命令に従い、艦隊を後退させるヤン。こうして両雄による死闘の幕は閉じられた―――。

    正史は全10巻なので、本巻が折り返し地点となる。ラインハルトとヤンの死闘は、本シリーズ最上と思われる盛り上がりで、これ以上にない最高のターニングポイントだった。また、戦後のラインハルトとヤンの初会合シーンには、並の作品では味わえない感動や緊張感があり、本巻がいかに特別であるかを認識させられた。

    皇帝となったラインハルト、退役してフレデリカと結婚したヤン、謎に包まれた「地球教団」を探ろうと動き出すユリアン...etc。大きなターニングポイントを迎えた本作。次巻以降、どのような展開が待っているのか非常に楽しみである。

  • ついに自由惑星同盟は帝国軍にではなく民衆自らが選んだ愚劣な指導者によって滅びた。
    振り返ってみれば、大日本帝国も軍部の暴走と強大化を民衆を支持して、戦争を日本人が選んだ。
    日中戦争に対して消極的だった一部軍部を押し流したのは、つまるところ暴支膺懲を支持した日本人とそれに乗った政権。
    ベトナム戦争だって、赤化を警戒したアメリカの介入をアメリカ議会は支持し、それを国民も支持した。

    日本国憲法にあるように国民の不断の努力がなければ。平和はいとも簡単に破られるのだろう・・・

  • 双頭の蛇~バーミリオン~「皇帝ばんざい!」

  • 「私は真理など必要としなかった。自分ののぞむところのものを自由にする力だけが必要だった。逆にいえば、きらいな奴の命令をきかずにすむだけの力がな。卿はそう思ったことはないか。きらいな奴はいないのか」
    「私がきらいなのは、自分だけが安全な場所に隠れて戦争を賛美し、愛国心を強調し、他人を戦場にかりたてて後方で安楽な生活を送るような輩です。こういう連中とおなじ旗のものにいるのは、たえがたい苦痛です」

  • この先どうなる?

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著者プロフィール

1952年熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年「緑の草原に……」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。1988年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞(日本長編部門)を受賞。2006年『ラインの虜囚』で第22回うつのみやこども賞を受賞した。壮大なスケールと緻密な構成で、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』『創竜伝』『アルスラーン戦記』など大人気シリーズを多数執筆している。本書ほか、『岳飛伝』『新・水滸後伝』『天竺熱風録』などの中国歴史小説も絶大な支持を得ている。

「2023年 『残照』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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