第五の季節 (創元SF文庫)

制作 : 渡邊 利道 
  • 東京創元社
3.71
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本棚登録 : 456
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (617ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488784010

作品紹介・あらすじ

数百年ごとに〈第五の季節〉と呼ばれる破滅的な天変地異が勃発し、文明を滅ぼす歴史が繰り返されてきた超大陸。この世界には、地球と通じる能力を持つがゆえに差別される“ロガ”と呼ばれる人々がいた。そしてまた、“石喰い”と呼ばれる、人間の姿をした謎の存在も。そんな中、新たな〈季節〉がまさに到来しようとしていた……。前人未踏、三年連続で三部作すべてがヒューゴー賞受賞のまったく新しい破滅SF、開幕編。

感想・レビュー・書評

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  • これは読みごたえがありましたよ・・・。

    三部作の第一部でありながら、細かい文字でびっしりの600ページ越え。

    僕的には、若干でも文字の大きいハヤカワSF文庫で出版してほしかったかったのですが、そうも贅沢はいっていられません。
    はい。
    創元SF文庫さま、日本語版を出版していただきましてありがとうございました。
    僕が愛用している個別にあつらえたリーディンググラスを駆使して読破しました。
    あ、すみません。カッコつけました。ただの老眼鏡です(笑)。

    馬鹿なことを言ってないで、レビューですね。

    いや、面白かったです。
    3部作の全作品がヒューゴー賞を受賞しているという本作品。しかも3年連続という快挙。
    これは読むしかないでしょう。

    ジャンル的にはSFなんだけど、細かくカテゴライズするならば
      終末系ファンタジーSF
    とでもなるのでしょうか。

    本作の舞台は未来の地球。
    人間の開発により荒廃した地球が人類に反旗を翻し、数十年数百年ごとに超絶な環境変化を起こし、人間の文明をその都度全滅させるという世界が舞台です。

    この世界観は嫌いじゃないですね。
    並大抵の想像力でこの小説を読み進めていくのは難しいです。
    まあ、中世の世界に映画『マッドマックス』とコーマック・マッカシーの『ザ・ロード』の世界観をぶち込んで、そこに人類を救うであろう特殊能力をもった人間をひとつかみ放り込んだような感じといえば分かりやすいでしょうか。←全然わからないよねwww

    まあ、まだ第一部ですのではっきり言って謎だらけです。
    でも、3つの視点から本作は進んでいき、それがやがて統合されている手法はお見事としか言えません。

    本作の著者は、女性なので女性視点で描かれた描写が多いです。非常にフェミニンな感じで男女の愛憎も描かれます。
    このあたりの好みは人それぞれでしょうか。

    600ページ越えでまだ物語は始まったばかり、人類は地球上で生き残ることができるのか。
    手に汗握ります。
    続巻はいつ発売なのだろう?
    待ち遠しいですね。

  • なぜ、時代はいつもSFを求めるのか!? 『DUNE/デューン 砂の惑星』や芥川賞受賞作『彼岸花が咲く島』、SFプロトタイピングまで。【SFカルチャー最前線!vol.1】 | Vogue Japan
    https://www.vogue.co.jp/lifestyle/article/for-the-love-of-sci-fi-talk

    史上初のヒューゴー賞長編小説部門3連覇! 黒人女性SF作家 N・K・ジェミシンとは誰か | VG+ (バゴプラ)
    https://virtualgorillaplus.com/nobel/hugo-award-three-times-who-is-jemisin/

    Webミステリーズ! : 前人未踏、3年連続で三部作すべてがヒューゴー賞受賞! N・K・ジェミシン『第五の季節』(小野田和子訳、創元SF文庫)6月上旬刊行!
    http://www.webmysteries.jp/archives/22993751.html

    第五の季節 - N・K・ジェミシン/小野田和子 訳|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488784010

  • 〈第五の季節〉…文明が滅びるレベルの天変地異が数百年ごとに繰り返される世界は過酷。過去の季節に名前が付いているけれど、その名前の天変地異が起こったのかな…悲惨。。
    オロジェン。ロギア系みたいなやつか?と思っていたけれど、様々な天変地異そのものというより、地殻変動とかの地球の活動を増幅するみたいな感じかな。
    3つのお話が同時進行かと思いきや、どうも違うっぽい…少なくともエッスンとサイアナイトは同時ではない、と思っていたら。エッスンパート以外は回想シーン、しかもダマヤとサイアナイトとエッスンは同一人物とは。それ以上にビノフとトンキー。やられました。
    文章が第三者視点だな、と思っていたのにもちゃんと理由がありました。ホアは何なのだろう。
    オベリスクや石喰いも謎だし、ナッスンも行方知れずのまま。続きが気になります。

  • 最初は分かりにくい部分があったが、段々とこの世界が見えてくると読みやすくなった。
    思わずおぉっと声を上げる箇所が何箇所かあり、楽しめた。
    第二部が楽しみである

  • 図書館で。
    いや、コレ面白い!まだ話は途中だけど!
    どうなっちゃうの?という感じで続きが読みたい。早く読みたい。続巻買おうかしらん?(と言いつつ、図書館で予約した(笑))

    地殻やマントルの動きを感知できるだけでなく、ある程度それを意のままに操れる能力というのが面白いし、熱量の転換で力を発動させるのも面白い。三つに分かれた話だと思ったら実は一本だった、というのも面白かったし。
    とは言え石食いとは?オベリスクの力は?とか色々謎だらけなので次を読むのが楽しみです。

  • ヒューゴー賞受賞のSF長編。出だしはとにかく読みづらい、というか、とっつきにくすぎる。が、1/3くらい読むと、俄然面白くなってきて、半分過ぎると止まらなくなる。その世界はダークで突拍子もないくイカれていて、あらすじや世界観についてちょこっとでも語ることは不可能レベル。とりあえず最初だけ我慢して読んで損なし。

  • 物語が進むに連れオロジェンというオロジェニー特殊能力をもつ人種がどのくらいすごい力を持っているのがわかっていきます。そして、第五の季節という文明を滅ぼす災害が起きるのを防いだり遅らせている仕事をさせられているのにもかかわらず、彼らが生まれながら差別され、監視されているのも。オロジェンは多くを語らないというか必要なことも話さない。それは常に緊張状態にいるのもあるし、だれにも理解されない孤独のなかに存在しているからだ。彼らの心のなかに隠し持っている悲しみがものすごく伝わってきます。その対比として登場する海賊イノンの明るさ、アライアの役人アザエルのずるさのなんと人間臭いことか。

    物語は娘をさがす中年の女性エッスン、フルクラムの指示でオロジェニーを使って各地で業務を行う女性サイアナイト、フルクラムでオロジェニーを制御できるように訓練を受ける少女ダマヤの話が順に語られていきます。その3つの物語が徐々に繋がっていく展開がおもしろい、ミステリー要素というほど大げさではないですが納得・腑に落ちるというかとにかくおみごとな語り方です。

    そして、驚愕のラスト。都市を一瞬にして消滅させるオロジェンのちからを見せつけられる戦闘シーン。それまで静かに語られていたため余分にその力の大きさを思い知らされます。

    ホアやトンキーといった魅力ある人物の謎が徐々に溶けていきます、そしてまだ残っている石喰いについての謎。フルクラムという組織がどのような意志をもっているのか。オロジェンと守護者の戦いは始まったばかりですし、隠れているオロジェンの中にはもっと巨大なオロジェニーを持っているものもいるのではないか。残り2作を読むのが本当に楽しみです。

    たくさん出てくる鉱石の名前。黒曜石のナイフ。珊瑚の障害物。マシシというアクアマリンの最高級品。ガーネットのオベリスク。赤ダイヤのかけら。アレキサンドリアの原石。閃長石サイアナイト。雪花石膏アラバスター。巨大な水晶をくりぬいた地下室。翡翠と真珠貝の指輪。アメシストのオベリスク。尖晶石スピネルのオベリスク。鉱石にくわしいとより面白くかんじるかも知れません。

  • 旅のパートはロード・オブ・ザ・リングのイメージ。このスケールで三部作全てヒューゴー賞とか、続きも期待しかないや

  • 最近もドラマ化された『日本沈没』という傑作SFがあったが、それがちっぽけな作品に思えてしまうほどにケタ違いにスケールが大きいファンタジーな地殻変動もの。まったく不案内な未知の世界であるにもかかわらず、読み始めた途端に引きずり込まれるようにストーリーに没頭してしまう。絡みあっていた三つ編みの髪の毛が解かれて拡がるように物語が展開した先には主人公が追い求める娘の話がくるようである。

  • 三つの物語が並行して進んでいく。
    最初は少し読みにくいが、統合されてくると主人公がわかる。
    不思議な能力があるのに、差別をされている人たちがいる。その差別に疑問を持たせないために集めて教育するが、その中でも疑問を持つ人たちが現れる。差別や拘束から逃れようとしても、なかなか逃げ切れない。
    第二部が楽しみ。

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