図解 シェールガス革命

著者 :
  • 東洋経済新報社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492093078

作品紹介・あらすじ

100年に一度の超弩級の革命で、世界情勢・経済・産業のパワーバランスが激変!
あなたは、日本の重厚長大産業の大復活を目の当たりにすることになる!!!

◎アメリカは製造業の復活により、ブッチギリの最強国に復活する

◎ガスを採掘し、運搬し、実際に使用するまでの全工程で日本企業の技術が「不可欠」

◎日本からの高級素材、高機能部品がアメリカに激流のように輸出される

◎航空機産業が自動車産業並みの規模に成長し、B787関連の受注だけで
日本には5兆円以上のマネーが落ちる

◎燃料電池車が一気にテイクオフ。最先端を行く日本勢は覇権を握る

◎シェールガスによりとくに恩恵をこうむるのは重化学工業。
昭和30年代に大活躍した企業の「三丁目の夕日」革命が起きる、他

停滞するIT産業、盛り返す造船、鉄鋼、航空、鉄道、素材産業・・・・・・
「勝ち組」と「負け組」が入れ替わる次世代のシナリオを見誤らないための
「シェールガス革命」の全貌を図解方式で徹底解説。

*シェールガス関連・お宝銘柄110社がひと目で分かるリスト付き

感想・レビュー・書評

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  • ものすごくアップビートで驚きました。シェールガスが何なのかを知りたくて読んだけれど、シェールガスが日本企業にもたらす夢のようなビジネスチャンスに主眼が置かれていた内容。ここに書かれていることが実現するのなら、明るいニュースだけれど、どうしてもすべてを信じることができない。でも飛行運賃が劇的に安くなることや、燃料エンジン車の一般商用化がすぐそこまで来ているというのは元気を与えてくれました。

  • PR通り1時間で読める内容。初心者にはわかりやすく、関係している日本企業名がたくさん書かれている。投資先検討の参考になるかな?

  • ここのところ、発電とかエネルギーに関する本を多く読んでいるが、この本が一番面白かった。シェールガスとはなんぞやから始まって、シェールガスの取り出し方、埋蔵量世界一のはずの中国での生産が難しく、アメリカが独り勝ちになる理由、シェールガスの生産において必要な技術が日本にはたくさんあること、格安の燃料で自動車や鉄道、航空にも好影響をもたらしそれがまた日本の会社を潤す要因になることなど、読んでいて日本の未来は明るいなと思った反面、全てがこの本のように楽観的には行かないだろうなとも思った。

  • 従来のエネルギーが抱える①埋蔵量、②コスト、③CO2といった問題すべてを解決してしまうシェールガス。100年に1度のエネルギー革命に今、アメリカは沸きに沸いている。製造ラインが中国から再び本国に移り新規雇用は200万。デスタウンと化したデトロイトさえ復活するとも。シェールガス革命を後押しする技術排出国である日本もこの恩恵にあずかる。素材、プラント、船舶、汚染処理システムに至るまで、日本の技術が縦横無尽に活用されている。本書では具体的会社名をあげ、それぞれの強みが詳細に解説されている。終章では日本の切り札メタンハイドレードについても触れられている。実用化の壁はまだまだ厚いが将来への期待はいやがうえにも膨らむ。表記は幾分大仰な感じもあるがいい夢を見せてもらった。

  • 夏休みのお勉強1 日本復活できるか?

  • シェールガスが何たるかをいまいち理解していなかったので読破。
    確かに一気にわかった気がする。

  • シェールガスという言葉を初めて聞いてそろそろ1年が過ぎようとしています。多くの本で主に米国で生産されるであろうシェールガスを生産するのに、日本企業の技術は欠かせないと書かれています。所々に企業の名前が出てきますが、この本は、それらを分野別にまとめて整理してくれているので頭が整理されて、私としては重宝しました。今後、株を買うことがあればそれを選ぶときにも参考にできると思いました。

    私が社会人になった平成元年から、つい最近までは軽薄短小産業がもてはやされてきましたが、いよいよ日陰の存在だった重厚長大産業が復活するようですね。日本はこれらの技術を捨てなくて本当に良かったと思います。また、物心ついた時からずっと成長してきた IT産業は 2010年をピークに落ちる一方であると言い切った本に初めてであった気がしました。

    以下は気になったポイントです。

    ・アメリカがシェールガスの採取に関する知財権を固め、どこの国よりも早く技術を確立し、あらゆるインフラが有利に作用して独占状態にあることがポイント(p3)

    ・シェールガスの凄いのは、エネルギーとして安いだけでなく、エタン・メタン・プロパンも取りだせて、エチレン(プラスチック、自動車材料、繊維、電子材料の素材)がつくれること、これが石油由来の20~30分の1、これによりアメリカは最強国に復帰する(p4)

    ・シェールガスの流通により、電気自動車はトーンダウンして、シェールガスハイブリッドエンジン車が本命となる、一方でかなり先と見られていた水素エネルギーの燃料電池車が前倒し(p5)

    ・日本には430カ所のメガソーラーの建設計画があるが、すべて稼働しても40万戸分、日本には4400万戸あるので1%分しか供給できない、石油400兆円、石炭600兆円のマーケットで5兆円程度の太陽電池で代替するのは難しい(p20)

    ・2005年にミッチェルエナジーは、フラクチャリング(圧力抗体として水、プロパント:砂、化学物質:界面活性剤の混合水)による垂直水平掘削破砕法に成功した(p40、41、43)

    ・エクソンモービル、ダウ、シェブロンケミカルは、エチレン生産能力150万トンの工場を計画していて、2016-17年に稼働予定、石油化学製品コストはアメリカの場合、30分の1になる(p46、65、73)

    ・スリックウォータ(汲み上げ水)を減らす技術として有力視されているのが、窒素ガス(太陽日酸)を混ぜることで排水量を半減する、排水処理の技術力は、オルガノ・栗田工業が強い、半透膜技術は、東レ・日東電工・旭化成(p50、101、103)

    ・コマツの建機は遠隔で建機の健康診断を実施して、部品交換時期を事前把握するので作業がストップすることがない(p54)

    ・シェールガスにはベンゼンがないので、フェノール、トルエン等の芳香族化合物を合成できないので、この分野では脱石油は難しく、石油とガスの最適組み合わせが求められる(p57)

    ・アメリカはシェールガスの実用化で、化石燃料で中東に、石炭で中国に、天然ガスでロシアに大きく依存していた従来のエネルギー勢力分布図が変わった(p62)

    ・USスチールは、ガスを使って純度の高い鉄を取り出す「直接還元鉄」と呼ばれる方法を採用、還元剤の石炭のかわりに、ガスを使う方式(p66)

    ・2013年には日本の対米輸出は国別断トツ1位になった、1)鉱山向け機械、2)自動車部品、3)ケミカル系の素材(p74)

    ・GDPあたりの一次エネルギー供給は、日本=1とすると、ロシア16.8、中国・インド・インドネシアが 7-8、世界平均3.1、アメリカ:2である(p79)

    ・巨大な地圧に耐えられる鋼管パイプは、新日鉄住金の和歌山製作所のみでしかつくれない(p98)

    ・化学製品の原料は、原油に由来するナフサ(粗製ガソリン)と、天然ガス由来のエタンに大別、ナフサは日本が得意、アメリカはエタンを原料としている(p103)

    ・出光興産は、三井物産およびダウと連携して、テキサス州のシェールガスからエチレンをつくる工場の横に製造プラントを建設、2016年稼働予定、そこからアルファオレフィンを製造していると、ナフサベースのものと比較して、原料コストは3分の1から、半分になる(p106)

    ・シェールガスから、ベンゼンもとれないが、ブタンも少ししかとれない、なのでブタジエン(合成ゴムの原料)を大量に作れない、旭化成ケミカルズは、エチレンを出発原料とする次世代ブタジエン製造拠点を探している、三井化学も検討中(p118)

    ・世界の自動車保有台数、10億台のうち、天然ガス自動車は 1600万台、2035年までに700万台増える予定(p141)

    ・1回の充電でガソリンスタンドに落ちる金額は、EVが数百円、燃料電池車は数千円とガソリン並み(p143)

    ・日産はルノーと燃料電池車の開発を急いでいる、このほか、ダイムラー・フォードと組んでいる、トヨタ(リチウム空気電池)はBMWと連携(p147)

    ・渥美半島のメタンハイドレードは10年分の埋蔵量があり、水深1000メートルの海底を 330メートル掘削したところで見つかった(p198)

    ・日本の重化学工業が復活する一方で、IT業界は深刻な事態となる、ノートPC、液晶テレビも 2010年がピーク、あとは落ちる一方(p206)

    2013年7月7日作成

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著者プロフィール

神奈川県横浜市生まれ。中央大学法学部政治学科卒業後、産業タイムズ社に入社。半導体・マテリアルを中心にさまざまな企業を取材。記者歴32年、その対象はのべ5万社に及ぶ。現在、専務取締役編集局長。旺盛な執筆活動のほかに、大型カンファレンス、各種研究会などで講師を務める。著書に『100年企業、だけど最先端、しかも世界一』(亜紀書房)、『ニッポンの素材力』(東洋経済新報社)などがある。

「2009年 『こころから感動する会社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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