暴力は親に向かう―いま明かされる家庭内暴力の実態

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492222768

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  • 優しいけど、厳しい。
    格差社会が進む中、子どもの将来の多様性を親も受け入れないとな。

    友だちとうまく遊べてるか、そんなところまでも
    勝ち組教育が自分に浸透しているとは思わなかったなぁ。

  • いろいろ役に立つアドバイスが 盛りだくさんだった。
    ニート、暴力に立ち向かうには 親が 毅然とした態度を示さなければならない。

  • 家庭内暴力の実態とその原因を分析したのもの。
    著者は長年、教育に携わり、引きこもりや不登校、ニートなどの再出発を手助けするNPO法人の代表をしている。


    家庭内暴力を分析することで現代の問題が浮き彫りになる。

    家庭内暴力の実態として
    普通の家庭で起きている。

    暴力をふるうのは普通の子供

    そんな彼らの特徴として
    『先が見えない』
    『自分ではどうしようもない』
    『おまえたちのせいだ』
    という言葉がある。彼らには言いようのない不安があるようだ。

    親側の原因としては
    『勝ち組教育』

    『友達親子』がある。

    子供も親も被害者でも加害者でもあるという実態がある。

    家庭内暴力との向き合い方
    �現実逃避しない
    �もう過去の話をしない
    �いたずらに悲観しない
    �『特効薬』を求めない
    �リスクのない解決策はないことを知る

    そして大事なのは家庭内暴力を『密室』にするのではなく、第3者に助けを求めることだ。

    本書には様々なケースが紹介されているが、10年以上も誰にも相談もせずに暴力をふるわれ続ける親達の姿があった。中には耐えきれずに自殺未遂をした親もいた。

    解決に向けた3つのステップ
    �家庭内暴力を休戦する
    �多様な体験
    �自分の道探し

    子供の育て方
    3歳まで王様
    5から12歳まで召使い
    15歳から自主性に任せる



    『勝ち組教育』の問題点が大きく取り上げられていたのが興味深い。
    今は小学生のうちから受験などをしてよい学校、よい会社へ行かなければならないという風潮がある。
    親も子供にそれを望む傾向は間違いなくあるだろう。
    しかし、そこには落とし穴がある。本当に勝ち組になれるのはほんの一握りの人間だけだからだ。

    必ずどこかでドロップアウトする人間がでるのは必然なのだ。(勝ちがいる以上、負けもいなくてはならないから)
    そんな時に、このような問題が発生するのだろう。
    それが、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人なのかはもちろん個人差はあるだろう。
    ドロップアウトしたら終わりという価値観のみが流れることは非常に恐ろしいことだと思う。それを実感するのが早いほど、家庭内暴力へと向かうのかもしれない。

    自分自身も最近、大学の研究という場では周りとの差を感じることも多々ある。だが、それだけが自分を計る物差しではないことを知っているから毎日楽しく過ごせるのだろう。
    いい意味で適当になることで気持ちはずいぶんと楽になる。

    本書を読んで感じたこととしてもう一つ、
    『自分だけは絶対に~にならない、しない』ということを言うことの危険性を感じる。
    自分自身、高校生の時はそんな発現があったと思う。
    宗教にははまらない、精神疾患にはならないなどいろいろあるだろう。だが、本当にそうだろうか?

    本書で紹介された家庭内暴力もその実態を見るに、普通の家庭で普通の子供が起こしているだ。自分には関係ないというスタンスでいれば、いずれこれらの二の舞にになるのではないだろうか?

    むしろ、自分もいつ同じようなことが起きるか分からない、明日は我が身くらいの気持ちでいた方が、いざという時のことも考えられるのではないかと感じる。

    以前、ある人と教育について話したことがあったのだが、自分も気づけば『勝ち組教育』の思考になっているのではないかと感じる節があった。
    親になるのはまだ先だろうが、こういうことも考える日がいつかくるのだろうか…

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著者プロフィール

1943年生まれ。早稲田大学卒。愛媛県松山市での中学受験塾、幼稚園経営などを経て、99年、ニート支援のNPO法人「ニュースタート事務局」を千葉県に設立。幼児からニートまで、40年にわたって育成に携わった親子は4000組を超える。早稲田大学講師、千葉県・内閣府等の委員を歴任。21世紀の子育てを支援する「安心親子応援団」事務局長。

「2012年 『ニートがひらく幸福社会ニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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