資本主義・社会主義・民主主義 上巻

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492370469

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  • 「近代」と向き合い資本主義の本質を問い続けた経済学者シュンペーターの代表的な著書である。

    シュンペーターは第一部においてマルクスの考察を行い、マルクスの「資本主義はその欠陥により崩壊する」という結論ではなく第二部において「資本主義は成功するがゆえに崩壊する」という考えを示した。
    それは①資本主義が発展するにつれて次第に組織化され、合理化され専門化されてゆく。この官僚制化はナポレオンのような一人の英雄の個性を殺す時代となる。これを「経済進歩は非人格化され、自動化される傾きがある」と説いている。
    ②また知識人や教育、新聞のようなメディアの発達が労働者の不満足な賃金や雇用、失業に対して批判を加えるようになる。しかし、ファシスト政府でもない限り政府が個人的自由を制限するために私企業に手を出すことはもはや不可能と断じ、資本主義の土台を揺るがすようになると考えた。
    ③さらに俸給生活者、つまりサラリーマンとなることで彼は自分の一生のことにしか視野を考えなくなり、労働立法といった経済政策の攻撃を加えても資本家は本気で抵抗しなくなり、むしろ妥協や弁明をすることで敵対するものを許容するようになる と考えた。

    資本主義が進歩したがゆえに我々の手の届かない存在になるかもしれない。シュンペーターは資本主義の将来に対しての疑問を「ある医者が自分の患者はもうすぐ死ぬだろうと予言したとしても、それはなにも医者がそうなるのを願っていることを意味しない」という一言で結んでいる。

    我々は一度立ち止まって資本主義に対して向き合うことが必要なのかもしれない

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