資本主義の思想史: 市場をめぐる近代ヨーロッパ300年の知の系譜
- 東洋経済新報社 (2018年1月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (612ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492371176
作品紹介・あらすじ
人々は市場とどう向き合ってきたのか? 資本主義の勃興期、1700年代から今日に至る、300年にわたる膨大な知の歩みを時代背景と当時の最良の言説とともに描き出す。取り上げるのは、経済学者にとどまらず、文学者、哲学者、政治家など幅広い。取り上げる人物:ボルテール、アダム・スミス、ユストゥス・メーザー、エドマンド・バーク、ヘーゲル、カール・マルクス、マシュー・アーノルド、マックス・ウェーバー,ゲオルク・ジンメル,ヴェルナー・ゾンバルト、ルカーチ・ジェルジ、ハンス・フライヤー、ヨゼフ・シュンペーター、ジョン・メイナード・ケインズ、ヘルベルト・マルクーゼ、フリードリッヒ・ハイエク。
感想・レビュー・書評
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資本主義の思想史
はじめに
第1章 歴史的背景 権利、正義、徳
第2章 ヴォルテール 「高貴な出自の商人」
知識人の興隆
交換と寛容についての政治的議論
知的な投機
奢侈の擁護
貪欲とユダヤ人 啓蒙の限界
第3章 アダム・スミス 道徳哲学と経済学
スミスの生涯と境遇
消費者革命
市場についての説明
立法者と商人
商業社会の道徳上のバランスシート
国家の見える手
下級・上級の徳
第4章 ユストゥス・メーザー 文化の破壊者としての市場
各人の居場所を知ることの徳
地方文化を破壊する
貧民を創出する
商業と徳のかげり
第5章 エドマンド・バーク 商業、保守主義、知識人
政治における知識人
「知性」と「世論」の市場
抽象的理性の批判
商業の支持者としてのバーク
バークとイギリス東インド会社
フランス革命についての分析
商業社会の非契約的基盤
第6章 ヘーゲル 選択するに値する人生
近代世界で安住の地を見出す
「法哲学」の背景
個別性と普遍性
市民社会とそれに対する反対論
市民社会を超えて
総合的階級と哲学者の役割
第7章 カール・マルクス ユダヤ人高利貸しから普遍的搾取に至るまで
マルクスのユダヤ人問題と労働問題
社会問題への対応
ヘーゲル哲学から共産主義へ
エンゲルスの経済学批判
ユダヤ人問題の克服
特定の帰属意識を超えて 「共産党宣言」
高利貸しから吸血行為に至るまで 「資本論」
マルクス後
第8章 マシュー・アーノルド 俗物にビジネスというドラッグを断たせる
俗物とヘブライ人の間での生活
アーノルドの批評
知識人の役割
第9章 ウェーバー、ジンメル、ゾンバルト 共同体、個人、合理性
用語を提供する
商業的な転換
ウェーバー 能率と脱魔術化
ジンメル 貨幣と個性
手段と目的の弁証法
ゾンバルト ユダヤ人のせいにする
転換点としての世界大戦
第10章 ルカーチとフライヤー 共同体の探求から、全体性の誘惑に至るまで
知識人から革命家に
幻想の体制としての資本主義
革命の教育者
共同体としての党
フライヤー 疎外と共同体の探究
排他主義者による市場批判
戦争、国家、そして文化的特殊性の維持
右からの革命?
第11章 シュンペーター 技術革新と怨恨
初期の著作に見られる創造性と怨恨
破局からの皮肉の誕生
繁栄から不況へ
大恐慌とニューディールについての分析
「資本主義・社会主義・民主主義」
知識人の役割
第12章 ケインズからマルクーゼへ 豊かさとそれに対する不満
ケインズの逆説
新たな豊かさとイデオロギーの終焉
マルクーゼ思想のヨーロッパ的源泉
抑圧として圧政を再定義する
セックスと豊かさによる支配
マルクーゼの遺産
第13章 フリードリヒ・ハイエク 早過ぎた自由主義者
自由主義者の成長過程
ウィーンの自由主義、ユダヤ人、そして創造的な少数派の擁護
賃貸料の統制と国家介入の危険
社会主義、計画、市場の機能
「社会的正義」に対する批判と福祉国家の危険
再び知識人について
ハイエク的契機
ハイエク思想の緊張と限界
結論
市場の重要性
知識人の役割
分析上の緊張関係
自利心とその限界
市場に対抗する制度の必要性
意味を欠いた選択
波及効果の恐れ
「市場価値」なるものはあるのか
市場でない制度というものはあるのだろうか
共同体と個性
多元主義と多様性
資本主義と平等性
資本主義は人々にとって良い制度なのか
決定的な緊張関係
Alfred A Knopf「The Mind and the Market: Capitalism in Modern European Thought」 2002年11月
訳者解題 池田幸弘詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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【書誌情報】
『資本主義の思想史――市場をめぐる近代ヨーロッパ300年の知の系譜』
原題:The Mind and the Market: Capitalism in Western Thought(2002)
著者:Jerry Z. Muller(1954-) 歴史学。
〈https://mobile.twitter.com/jerryzmuller〉
訳者:池田幸弘(1959-) 経済思想史。
装幀:橋爪朋世
本文デザイン:米谷 豪(orange_noiz)
DTP:鈴本康弘(群企画)
ISBN:9784492371176
サイズ:A5判 上製 612頁 C3033
発行日:2018年01月12日
定価6,480円(税込)
人々は資本主義をどう捉えてきたか。スミスからハイエクまで、各時代の思想家の言説を丹念にたどった壮大な思想史。
〈https://store.toyokeizai.net/books/9784492371176/〉
【メモ】
・二段組でこの厚さなので分量は多いが、(経済学的なモデルや数式が出てくるわけでもないので)平易で、高校生でも読み通せる。
・ウィキペディア(ポーランド語)
〈https://pl.m.wikipedia.org/wiki/Jerry_Z._Muller〉
・記事。ただし登録しないと読めない。
〈https://www.foreignaffairsj.co.jp/articles/201304_muller/〉
【簡易目次】
はじめに
第1章 歴史的背景――権利、正義、徳
第2章 ヴォルテール ――「高貴な出自の商人」
第3章 アダム・スミス ――道徳哲学と経済学
第4章 ユストゥス・メーザー ――文化の破壊者としての市場
第5章 エドマンド・バーク ――商業、保守主義、知識人
第6章 ヘーゲル ――選択するに値する人生
第7章 カール・マルクス ――ユダヤ人高利貸しから普遍的搾取に至るまで
第8章 マシュー・アーノルド ――俗物にビジネスというドラッグを断たせる
第9章 ウェーバー、ジンメル、ゾンバルト ――共同体、個人、合理性
第10章 ルカーチとフライヤー ――共同体の探求から、全体性の誘惑に至るまで
第11章 シュンペーター ――技術革新と怨恨
第12章 ケインズからマルクーゼへ――豊かさとそれに対する不満
第13章 フリードリヒ・ハイエク ――早過ぎた自由主義者
結論
【目次】
献辞・コロフォン
はじめに [i-xii]
目次 [xiii-xix]
第1章 歴史的背景――権利、正義、徳 002
第2章 ヴォルテール ――「高貴な出自の商人」 024
知識人の興隆
交換と寛容についての政治的議論
知的な投機
奢侈の擁護
貪欲とユダヤ人――啓蒙の限界
第3章 アダム・スミス ――道徳哲学と経済学 064
スミスの生涯と境遇
消費者革命
市場についての説明
立法者と商人
商業社会の道徳上のバランスシート
国家の見える手
下級・上級の徳
第4章 ユストゥス・メーザー ――文化の破壊者としての市場 104
各人の居場所を知ることの徳
地方文化を破壊する
貧民を創出する
商業と徳のかげり
第5章 エドマンド・バーク ――商業、保守主義、知識人 130
政治における知識人
「知性」と「世論」の市場
抽象的理性の批判
商業の支持者としてのバーク
バークとイギリス東インド会社
フランス革命についての分析
商業社会の非契約的基盤
第6章 ヘーゲル ――選択するに値する人生 172
近代世界で安住の地を見出す
『法哲学』の背景
個別性と普遍性
市民社会とそれに対する反対論
市民社会を超えて
総合的階級と哲学者の役割
第7章 カール・マルクス ――ユダヤ人高利貸しから普遍的搾取に至るまで 204
マルクスのユダヤ人問題と労働問題
社会問題への対応
ヘーゲル哲学から共産主義へ
エンゲルスの経済学批判
ユダヤ人問題の克服
特定の帰属意識を超えて――『共産党宣言」
高利貸しから吸血行為に至るまで――『資本論』
マルクス後
第8章 マシュー・アーノルド ――俗物にビジネスというドラッグを断たせる 256
俗物とヘブライ人の間での生活
アーノルドの批評
知識人の役割
第9章 ウェーバー、ジンメル、ゾンバルト ――共同体、個人、合理性 282
用語を提供する
商業的な転換
ウェーバー ――能率と脱魔術化
ジンメル ――貨幣と個性
手段と目的の弁証法
ゾンバルト ――ユダヤ人のせいにする
転換点としての世界大戦
第10章 ルカーチとフライヤー ――共同体の探求から、全体性の誘惑に至るまで 318
知識人から革命家に
幻想の体制としての資本主義
革命の教育者
共同体としての党
フライヤー ――疎外と共同体の探究
排他主義者による市場批判
戦争、国家、そして文化的特殊性の維持
右からの革命
第11章 シュンペーター ――技術革新と怨恨 356
初期の著作に見られる創造性と怨恨
破局からの皮肉の誕生
繁栄から不況へ
大恐慌とニューディールについての分析
『資本主義・社会主義・民主主義』
知識人の役割
第12章 ケインズからマルクーゼへ――豊かさとそれに対する不満 392
ケインズの逆説
新たな豊かさとイデオロギーの終焉
マルクーゼ思想のヨーロッパ的源泉
抑圧として圧政を再定義する
セックスと豊かさによる支配
マルクーゼの遺産
第13章 フリードリヒ・ハイエク ――早過ぎた自由主義者 428
自由主義者の成長過程
ウィーンの自由主義、ユダヤ人、そして創造的な少数派の擁護
賃貸料の統制と国家介入の危険
社会主義、計画、市場の機能
「社会的正義」に対する批判と福祉国家の危険
再び知識人について
ハイエク的契機
ハイエク思想の緊張と限界
結論 478
市場の重要性
知識人の役割
分析上の緊張関係
自利心とその限界
市場に対抗する制度の必要性
意味を欠いた選択
波及効果の恐れ
「市場価値」なるものはあるのか
市場でない制度というものはあるのだろうか
共同体と個性
多元主義と多様性
資本主義は人々にとって良い制度なのか
資本主義と平等性
決定的な緊張関係
謝辞 [501-503]
訳者解題(三田山上にて記す 池田幸弘) [504-514]
注 [076-005]
索引 [004-001]