- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492371350
作品紹介・あらすじ
「戦争」と「財政」によって形成された現代社会。防衛費倍増の財源として増税や国債発行が議論される今、その歴史的背景を探る。現在、日本では5年間で防衛費を現在の2倍まで引き上げることが検討されている。その財源として、増税と国債発行という2つの方法が考えられる。増税をすると、通常、経済は成長しない。しかし、その根底にあるのは、増税しても、やがて経済は成長するという一種の信仰ではないか。増税論者には、一時的に増税をしてもやがて日本経済は復活するという前提がある。それに対し国債を発行すべきだと主張する人々は、増税で経済成長がストップすると考えている。経済は常に成長すべきであり、それを妨げるような政策はすべきではないと考えているように思われる。一見すると矛盾しているように思われるこれらの考え方の基底には、持続的経済成長は当然のことだという前提がある。しかし、この前提自体が間違っているかもしれないのだ。近世以降の世界で国債を大量に発行できたのは、経済成長が前提となっていたからであるが、現在の日本では人口が減少しており、さらに近い将来世界で人口が減少するかもしれず、経済成長が期待できるかどうかはあやうい。本書では、日本をはじめとする世界経済の債務超過が招く危機の可能性までを問う。
感想・レビュー・書評
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戦費を大量の公債によって賄い、平時に償還するという近代国家を育んできた財政システムは経済成長が前提だったが、そも成長は永久的なのか、その歯車が止まった時どうなるのか。社会保障費という固定費が歳出の割合を大きく占める今日、その問題は今後の国家のあり方を問うものになっている。本書では金融機能の発達で一時世界経済をリードしたオランダが、分権的だったがゆえに、それを国家統制で行った大英帝国に取って代わられた概略が詳述される。がそこにスポットを当て過ぎの感も。個人的にはその辺の世界史講義よりは、現代なお戦争が行われる必然性や、福祉をどこまで国家が担うかの課題、(副題が言うところの)成長が終わった後具体的にどうなる等が気になったが、それもまた歴史からヒントを得ていくしかないのだろう。
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序章 国の借金はなぜ減らないのか
第1章 「戦争国家」オランダの財政革命
第2章 財政=軍事国家イギリスの興隆
第3章 商人がつくった「帝国」システムーーハンブルクとロンドン
第4章 ディアスポラの民が世界を縮めた
第5章 手数料と電信の世界帝国
第6章 恒常化する国家の財政赤字
終章 成長の世界システムが終わるとき -
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東2法経図・6F開架:342A/Ta78s//K