使える経営学

著者 :
  • 東洋経済新報社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492502624

作品紹介・あらすじ

「役割」「選択肢」「条件」「関係性」=アンラーニングの4つの型、
吸収能力(absorptive capacity)、粘着する知識(sticky knowledge)、
ソーシャルサイド・クリエイティビティ、ユーザーイノベーション、
ダイバーシティの罠・・・・・・

固定観念をリセットし、考え抜く力を身をつける

「コア事業への集中と選択が必要だ・・・・・・」
「ダイバーシティは高めるべきだ・・・・・・」
「ベストプラクティスは万能だ・・・・・」
その通説は本当に正しいのか?

アンラーニングによって、「固定観念=思い込み」をリセットできると、
問題の解決策に辿り着くための「思考持久力=考え抜く力」が高まります。

<主な内容>
第1章 「経営学は役に立たない」と言われている
 MBA修了者の平均年俸は高い
 経営学でノーベル賞を与えられた「限定合理性」
第2章 なぜ「経営学は役に立たない」と言われるのか
 第一の理由:抽象的である
 第二の理由:現実に当てはまらない
第3章 経営学は役に立つ
 和光堂:粉ミルクでトップシェア獲得の大逆転劇
 経営学はアンラーニングを助ける
第4章 経営学による「役割」のアンラーニング:吸収能力(absorptive capacity)とは何か
 成果を生み出さない研究開発部門は潰すべきか
 ドコモの吸収能力にまつわる失敗と成功
 インテルのシナリオプランニングの凄さ
 ダイバーシティの罠に囚われてはいけない
 オリジン弁当の出店戦略の着眼
 イノベーターのジレンマによるアンラーニング
第5章 経営学による「選択肢」のアンラーニング:粘着する知識(sticky knowledge)とは何か
 ベストプラクティスは万能薬か
 ユーザーイノベーションの論理とは何か
 DJ用ターンテーブルと無印良品の共通点
第6章 経営学による「条件」のアンラーニング:ソーシャルサイド・クリエイティビティ(social side of creativity)とは何か
 アイディア出しを社内エリートに任せるべきか
 「探検系ラーニング」と「改善系ラーニング」
 モデレーター変数を使えるツールもある
第7章 経営学による「関係性」のアンラーニング:多角化(diversification)は業績を悪化させるか
 コア事業への集中は業績を高めるか
 擬似相関という論理の落とし穴
 ドコモの多角化は間違いだったのか
 CSRは業績向上につながるのか
第8章 経営学は使い方次第 
 アンラーニングは「思考持久力」を鍛える
 経営学は「問題」を提供できない
 実務家と経営学者のまじわり

感想・レビュー・書評

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  • 新宿紀伊國屋書店の1Fで赤い表紙で目立っているので自己啓発本かと思ったら、最近興味がある経営学本だったので購入。外資系コンサルタントで経営学の博士の著者が経営実務と学術研究の双方の視点から経営学を議論している。結論を言えばとても珍しい本でとても面白い本だった。そのテーマはひとことで言えば、経営学は本当に使えるのか?だろう。これは珍しいテーマだと思った。これは経営学に否定的な実務家はハナから使えないと切り捨て、肯定的な実務家は経営学を権威として否定が許されない宗教のように扱う。どちらも建設的な態度ではない。そして、研究者も経営学が使えると言っててもなぜ使えるのかを説明できていないポジショントークが多い。そのように、経営学は本当に使えるのか?という論点は、あまり中立的に議論されていなかったところを、本書は切り込んでいてユニークだ。そして、中身は経営学の理論と実務の事例のバランスがよく、とても読みやすい。アンラーニングというコンセプトはこれまでに聞いたことがなかったけど、とても気に入った。

  • 経営学ってじつはどう役に立つのかわかりにくい。というか、権威主義のかたまりみたいで、抵抗感がある人も多い。
    この本はそんな経営学を外資系コンサルが議論していて面白い。
    で、結論も、経営学は役に立たないと批判するのかと思ったら、経営学は役に立つというから意外で面白い。

    経営学は実務家の固定観念を打ち砕くのに使うべきというのが本書の提案。
    だから、経営の常識に逆説的な研究成果が、外資系コンサルの実務家視点で選ばれて紹介されている。

    実務とアカデミックのバランスがよく、読んでいてページが進んであっという間に読み終わった。

  • モヤモヤが晴れる。G型だとかL型だとかで、学問が実務家からバカにされているが、こういう論はあるよなという感じ。経営学を勉強したくなる。

  • アカデミックな世界における経営学者としての顔と、実務の世界における経営コンサルタントとしての顔を併せ持つ著者が、一般に「実務では使えない」とされる経営学の理論について、既存のフレームや世界観に囚われることなく、新たな観点から問題を深く考えることができる「アンラーニング」という効果こそが、実務における経営学のメリットであるということを提示する。

    著者によれば、実務における経営学の利用方法としては、新しい問題を解決する側面において、大きく3つの手法が存在するとされる。

    ①既存の問題解決方法が有効でない場合、経営学の理論が新たな問題解決の仮説の一部やその仮説構築の観点を提供してくれる
    ②既存の問題解決方法を短絡的に引っ張り出してきて、強引な問題解決をしようとしてしまう傾向にストップをかけ、他の解決策やその仮説に目を向けさせてくれる
    ③既存の問題解決方法と経営学の理論による問題解決方法の両方を、いつでも引き出せるストックとして頭の中に蓄積し、自由に問題解決の仮説を検討することができる

    いわば①の状態は経営学の理論が直接的に役に立つのに対して、②と③の状態は、短絡的な思考を食い止める、もしくは新たな思考の手がかりとなるという点で間接的に役に立つ方法論である。この②・③こそが、経営学の「アンラーニング」という概念に該当する。

    では、具体的にどのような場面でこの「アンラーニング」、つまり固定観念のリセットと問題にゼロベースで向かい合う力が身につくのか。
    その観点として、著者が提示するのは4つの「アンラーニング」である。

    1.役割のアンラーニング:ある手段が、事前に想定されている目的に対する役割とは別に、見落としてしまっている別の目的に対する役割を実は果たしているということに気づくことができる
    2.選択肢のアンラーニング:ある目的を果たすための役割が、事前に想定されているある役割とは別に複数存在していることに気づくことができる
    3.条件のアンラーニング:ある手段と目的との関係において、実はそのセットが機能するための条件が隠れていることに気づくことができる
    4.関係性のアンラーニング:ある手段と目的との関係において、「隠れた第三因子」がその論理の前提になっていることに気づくことができる

    これら4つの「アンラーニング」のそれぞれについて、企業活動においてよく陥りがちな通説的思考(例:特許や新製品開発に役立つ技術を生み出せない研究開発部門は無意味である、受け手のやる気さえあればベストプラクティスの組織間移転は成功する、企業内部の社員の活動こそがイノベーションを生み出す、経営陣のコミュニケーションは多くあるべきである、等)を明らかにした上で、どのような最新経営学の理論が、これらの「アンラーニング」を促進するのかを、豊富な事例と共に解説される。

    なかなかなじみのない最新の経営学研究の一端に触れることができると共に、それらを実務に生かす方法論が明確にまとめられており、経営学に興味のある実務家にとっては有益な一冊。

  • Amazonでもブクログでも評価は高めだが個人的にはそんなに。

    「アンラーニングしろ!」と繰り返してる部分が非常に多く、読み飛ばしたところが多かった。

    アンラーニング
    自分の経験からくる持論を捨てて、新たな視点で物事を見ましょう。
    というのはわかるけど、

    その主張を除けば、ありがちな事例紹介で、事例自体もそんなに印象に残るものがなかった。

  • 経営学が使えるというよりも、経営持論にとらわれて、誤った選択を取らないように、経営学で言われる論理を使ってunlearningしようといった本。
    役割のアンラーニング
    ある手段が目的Aに対するものという経営持論で見落とす、その手段でできる別な目的Bに気づく
    選択肢のアンラーニング
    手段Aである目的を達成するという経営持論で見落とすべつな手段Bに気づく
    条件のアンラーニング
    ある手段がある目的をかなえる条件を特定のものに固執せず考える。
    関係性のアンラーニング
    ある手段が目的をかなえることを固執せず考える意味のない関係性による誤った判断を避ける

    本の中で使われる経営学の論理や説明に使われた事例をいくつか
    ダイバシティーは諸刃のヤイバ、多様性に伴い、摩擦も増える(当たり前だけど)
    吸収能力、研究開発をすることで、ふくさんぶつとして、他から学ぶ能力もます。

    オリジン弁当の出店戦略(コンビニの近所、市場調査はコンビニに任せて、惣菜弁当を、コンビニから奪う)

    組織の距離の論理 文化的な距離で
    粘着する知識の論理
    ユーザーイノベーション(DJターンテーブルの例)
    統計分析で、因果関係を明確化
    擬似相関

    結局、思い込んじゃいけないという事かな

  • あっという間に読み切った。経営学部出身者として、恥ずかしながら、「経営学って本当に学ぶ価値があるの?」「経営学って役に立つの?」という問いに答えられない自分がいた。就職活動をしていた数年前からその問いに自信をもって答えている理系出身者が少し羨ましかった。この本は、経営学部出身者にこそ、読んでほしい。経営学は経営における思い込みを防いでゼロベースで考えて働けるようになるためにあるというのが、この本の主張。その点からこれまでのキャリアを考えると、びっくりするほど腹落ちする。なんか自分のキャリアを冷静に見つめなおせた。

  • 経営学ってきっと必要だけど、でも本当に必要なんだろうか?という素朴な疑問に答えてくれる本。この本読んだら、経営学についてもっと知りたいと思えた。

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著者プロフィール

杉野 幹人(スギノ ミキト)
A.T. カーニー マネージャー、東京農工大学工学部特任教授
東京工業大学工学部卒業。INSEAD MBA修了。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。NTTドコモを経て、A.T. カーニーに参画。経営戦略、マーケティング戦略、新規事業、経営会議運営支援等の幅広い経営コンサルティングプロジェクトを手掛けている。著書に『会社を変える会議の力』(講談社現代新書)、『コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術』(共著、東洋経済新報社)がある。

「2014年 『使える経営学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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