OODA Management(ウーダ・マネジメント): 現場判断で成果をあげる次世代型組織のつくり方

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492534298

感想・レビュー・書評

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  • ★本の評価
     ・OODAループの実践に向けたポイントを、各企業や国家や偉人の事例を基に解説しているところは、本書の狙いにあるようにビジネスの実践に向けていること。これを評価したい。一方で、内容は一部結論に弱く感じるところもあったので、個人的には3点とした。(本のページ数の問題か?)

    ★感想
     ・現在の世の中では、すべてを論理・管理で片付けられない状態。仮に可能であったとしても、それをしていては他社に後れをとり、ビジネスでは時代錯誤。
     ・不確実性を生き抜くには、OODAを合わせて活用する。
     ・OODAを一言でいうと、成功のイメージに内的裏付けされた戦略行動。(自分の解釈)
     ・OODA的な行動を持たせるためには、PDCA的な管理をすることと、OODA的な感性で動くことを一部分けて考えることと、共存すること。
     ・マネジメントの考え方としては、至極言われていることだが、ビジョンを示して取り組みを委譲すること。指摘と改善命令ではなく、支援と共感を対セルにすること。こうした考え方を日々のサイクルの仕組みに盛り込むことが重要。

    ★内容
    ビジネスの世界でも、ウーダループは有効

    【OODAループ】
    観察(他社や顧客の認識を外した観察)
    行動(得た情報で即座にアクション)

    【効果】
    他社に勝つ
    企業の競争力は、人材❌スピードという考え方
    決裁の速度が早ければそれだけ競争力があがる

    【課題と現状】
    個人のウーダループは良くある。だが組織は難しい。
    AIやビッグデータの活用により会社規模で行うところも出てきている

    今企業が着目するべきなのは、
    ウーダループの仕組み化
    →ほとんどの会社で実現されていない

    ウーダループを回すにはミッション経営が必要
    *タスクを命令するのではなく目標を与えてそこに至るプロセスを委譲する。失敗しても権限が足りていないとする
    *人が育たないのは失敗するとチャンス与えないから

    トヨタのチーフエンジニアがうまく行くのは、尊敬があるから。尊敬があると、上司や対立が複数あっても、部下は動く。

    まとめ ウーダループを回すマネジメントは…
    ①ミッション型の遵守
    ②上司と部下の信頼関係
    ③管理者へのリスペクト


    【求められる背景】
    不確実性の削減←ウーダループ
    →到達点はなく、進化し続ける行動をとる
    (例)情報的優位=心理的優位となるため、不確実性を情報のGIVEで埋めることが、優位を持ち続けるポイント


    【ループを回すマネジメントの考え方】
    ウーダループを現場が回すのであれば、上位者はPDCAを回す。
    方針管理がPDCA方針のやり方はOODA

    【OODAループマネジメントの手順】

    No1.観察

    ①スクリーニング
     シグナリングを起こして情報優位になること
     *合図を送って、知らない人に対して優位な状態を作る(潜在顧客に対してアクション、顕在顧客の関係づくり)(直接営業よりマーケティング)積水ハウスでは、家を売る人は、モデルハウスに複数回訪れたデータを顕在化として扱っている

    組織開発でいう、組織診断と自然なアプローチ(あ、助かる)の手段を持つこと。

    ②焦点
     観察するときの対象を限定することとその仕組み。

    組織開発でいう、観察する対象に狙いを定めることや、内容を絞ること

    ③起承完結
    起承転結ではない。起こした後に転じるのではなく、企画から結果までがつながりのあるプロセスとして仕組みが作られている。
    トヨタのチーフエンジニアは一人でやっている。チームの中で起承完結のシステムをつくることもある。

    ④ヴァーチャル
    ウーダループは、現実を示すものだが、仮想空間の情報をヴァーチャル空間に置くなどすれば、昨日カ価値として残り続ける

    従来のアナログな情報収集(アクチュアル化)
    先進のデジタルな情報収集(ヴァーチャル化)

    No.2 直観的判断~行動実践
    【直観力】
    経験を積んだ軍人の判断の95%は直観である。
    これは熟練の経営者における会議でも同様であり、
    フレームワークを求めるのは、判断力の稚拙さがもたらすやり方である。

    知識と智慧は違う。現場では多くの変化・問題が起こっている。これを知識としての糧とし、実際に扱えるようになることが智慧。 優秀なプログラマーは100回の失敗の上に、一つの成功を生み出せるかどうか。
    OODAを実現するマネジメントは、職場内に最終的には知識の実践が直観になるような目標の糧になる失敗をさせ続けることを認め、進めるシステムが無ければならない。

    【直観的判断能力の開発】
    ①内概念(暗黙知)
     熟練した製造ラインの作業者は、機械音を聞くだけで、不具合の予兆や、ライフサイクル、故障箇所が見いだせるという。長嶋茂雄も、松井のバット素振り音だけで、今の状態を判別できた。
     ➡卓越した感覚(暗黙知)重視の姿勢が超直感をもたらす。

    ②イメージ形成
    イメージの力を信じること。すべてが論理では示されない。アインシュタインも、まずは自分の頭の中でイメージができること、それを他人に示すときに、初めて言語や記号を使う。と述べている。

    ③原初的認識
    述語論理(pはqであるのqを活用した三段論法が例)論理的に破綻することもあるが、仮設を作るには良い

    イノベーション創出には述語(機能や形式・付加価値など)を類型化した適応が課題になることが多い。

    例:ウォークマン
    ラジカセ機能とポータブル機能を同一視したもの。


    ④概念的認識(形式知)
    これらのプロセスを形式として落としこむ

    【その他事例】

    ~組織メモリー~
    トヨタ自動車は、必ず部品を2社競争方式で発注する。
    リスクヘッジ・コスト独占の排除をしている。また、長期的な関係の保持を重点ポイントとしている。会社同士の信頼度になるが、これは選ばれなかった、短期的には利益を上げられない案件などを受けた場合にも、後々のいんせんてとして大きく利益になる価値である。

    組織における貢献度合いの保持機能は、日常の職場の人間関係にも信頼残高といった形で扱われていると感じる上、規定はされていないものの、意思決定においては重要なファクターであると考えられる。

    ~ポジティブデビアンスアプローチ~
    いい意味で常軌を逸する行動によって成果をもたらすもの。
    ベトナムの広範な栄養失調を解決したスータニン夫婦の6か月間のプロジェクトでは、従来の意識啓蒙型の研修や、緊急対策的な物品の配布ではなく、家庭の日常に根差した課題の原因と、対策を実践させる形で普及させる手法をとった。(pdアプローチと呼ばれるようになった)

    ビジネスの場では、あまりに華々しい外のテーマは社内では参考にはなっても、実践にはつながらないことが多い。
    ただし、社内事例は別で、多くがこぞってまねを使用とする。社内事例をうまく活用することが、こうした実践を浸透させるための大きな幹になることが考えられる。(社内事例であればよりリアルかつ直観的に実施したいと思える)

    社内でこうしたやり方を適応させるには、①凡人の逸脱行為を見つける ②行動特性として抽出する 2点を実施することが良い。
    (例えば、会議が終わったあとに席を立たないということがあったなど)

    ~GEの人材育成~
    GEの人事評価は、業績とバリューの二軸。
    両方もしくは片方が期待以上の従業員は、35%ほどであり、いかにこのゾーンに従業員をあげるかを重視しているが、単純な成果(コンピ)ではなく、バリューにのっとった行動をしているかどうか、人となりを見ていることがあげられる

    【組織におけるOODA実現へのポイント】

    ①ミッションの優先順位を持たせる
    ②権限を現場に委譲する
    ③現場に責任を取らせない
    ④PDCAとOODAのすみわけ

    以上

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著者プロフィール

原田 勉(ハラダ ツトム)
神戸大学大学院経営学研究科教授
神戸大学大学院経営学研究科教授。1967年京都府生まれ。リクルート組織活性化研究所を経て、スタンフォード大学Ph.D.(経済学博士号)、神戸大学博士(経営学)。神戸大学経営学部助教授、科学技術庁科学技術政策研究所客員研究官、INSEAD客員研究員、ハーバード大学フルブライト研究員を経て、2005年より現職。専攻は、経営戦略、イノベーション経済学、イノベーション・マネジメントなど。大学での研究・教育に加え、企業の研修プログラムの企画なども精力的に行っている。主な著書・訳書に、『OODA Management(ウーダ・マネジメント)』(東洋経済新報社)、『イノベーション戦略の論理』(中央公論新社)、『OODA LOOP(ウーダループ)』(訳・解説、東洋経済新報社)、Economics of an Innovation System(Routledge)などがある。

「2023年 『「価値」こそがすべて!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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