一歩先のクラウド戦略

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492580882

感想・レビュー・書評

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  • ITCの有効な活用のために、どういうコンセプトで使用するかコンセプトを決める部門が必要、オペレーションの効率化、各種クラウドサービスの特徴と効果を発揮する状況要件、CIOの機能

  • 題名に戦略とあるとおり、経営よりの視点から書かれた一冊。

    第一部は戦略編。1章ではイントロダクションとしての戦略論、2章では、クラウドを選定するにあたってのメリット、リスクも説明されており、ユーザ側に検討する材料を多く与えています。

    第二部は事例集。4社の事例について紹介されています。

    最後の第三部は経営編。これまでのITの取り組みを反省したり整理する材料を与えたうえで、どう取り組むべきかの助言を多く与えています。

    ITのメリットだけを強調するのではなく、不良資産となったITやデメリットの視点も多くあるので、考えさせられる一冊でした。

  • 2011年12月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号:336.17//O67

  • クラウドという言葉の曖昧さに対して違和感を覚えるIT技術者もいるだろうが、商売向けの用語だと割り切って上手に付き合ったほうがよいと思う。同書もタイトルに「クラウド」と銘打ってはいるが、内容はクラウドと直接関係しているわけではない。最初と最後とで全般的なIT戦略を述べつつ、あいだの数章では各ベンダーのクラウド製品を紹介しているだけだ。

    同書では、新興国の工業化によって、従来は機能的価値で勝負できた日本製品が情緒的価値を帯びないと戦えないという。情緒的価値を支えるものは(1)ストーリー、(2)サプライコントロール(あえて品切れさせるなど)、(3)サービスの3点だと述べている。ここで言われている情緒的価値とは、『トレードオフ』に出てくる「オーラ」に比較的近いものだろう。

    クラウドについては、大企業がSaaSを利用することは困難であると主張する。なぜなら、SaaSの導入は情報の分断をもたらす危険があるためだ。また、米国パトリオット法によってFBIが令状不要で米国データセンター内の情報を取得できる点にも警告を発している。この点については扱う情報にもよるのだが、危険についてはそのとおりだ。問題はその危険を冒すかどうかで、それは経営判断である。

    なお、「情報の治水」(p.80)という単語が出てきて、私は気に入った。要素としては、(1)大量データの処理の仕組み、(2)情報共有の仕組み、(3)拠点間での情報の授受をさばく仕組みが挙げられるという。

  • クラウド導入事例集だった。

  • 久々に文字通りの意味で投げ捨てたくなった本。240ページのうちクラウドについて筆者が書いているのは僅か10ページほどしかない。100ページ近くが富士通やマイクロソフトなどによる自社の宣伝になっており、残りはクラウドではなく一般的なITマネジメントについて書かれている。
    また、書かれていることが全般的に論拠に乏しい。富士通など4社を選定した理由も、「○○の重要なポイントは次の5つ」などと書くときも同じで、理由の説明がほとんどなされていない。おそらく紹介した4社を選定した理由は仕事上の付き合いか何かなのだろう。そういう意味で、単に宣伝のために書かれた本だと思う。読む価値はまったくない。ローランドベルガーも、よくこの本の出版を許したなと思う。それともこの程度の会社になっちゃったんだろうか。

  • 使う側の視点では、気づきあり。従来型のIT活用の視点から、マイニングの使いこなしまで、さまざまな点で、考慮すべき点があると感じた。

  • 一応の章立てはあるものの雑多な知識・方針の羅列というような印象なので、箇条書きの形をとる。

    ○企業が目指すべきIT運用
    ・現場の知識の見える化 知識の移転~企業で果たすITの基本的な役割
    現場の技能や知識・経験を経営側が共有すれば、現場への指示に際した意思決定に役立つであろう。組織の上を流れるのは業務プロセスであり、業務プロセスによって区切られている人間を結ぶために必要不可欠なのが情報基盤である。
    ・「手触り感のある情報」と「情報の治水」
    例えば顧客からのクレームを受けた現場が文書化し経営側に渡したとき、ときにその情報はサマリーされすぎていて情報の「手触り感」を損なってしまうことがある。このことは動画や映像を用いることで解決できる。クラウドの出現により動画を情報として利用することは技術的にもコスト的にも容易になった。しかし情報が生であればあるほど「情報の洪水」が起きやすい。それを防ぐためには情報の共有についての仕組み、大量な情報の処理の仕組みについて考えなければならない。
    ・人知を超えた解析
    大量のデータを解析して規則性や因果関係を見出すようなITソリューションのことをデータマイニングという。当初は数字の解析のみであったが近年では文書の解析を行うテキストマイニングという手法も実用に足るレベルとなってきた。

    ○企業が目指すべきクラウド運用
    ・クラウドの利点
    システム構築が不要なため速やかにサービスを開始できる。また処理能力など小規模の利用から始められ利用規模に合わせたスケールアップが可能であるため余剰を持つ必要がない。更に維持管理も自らで行う必要がない。よって予算に余裕のない中小やベンチャーに適していて、大企業でも汎用性の高い業務なら適応可能である。
    ・クラウドの注意点
    パブリッククラウドのSaas導入の際には、外部サービスを用いることになるので部分最適である一方で当然他業務との連携が分断される可能性を孕んでいる。また後述する差別化の困難さも難点である。
    ・システムの移行・選択は可能か
    パブリック・クラウドのサービスを利用するということなんらかの画一化や制限を受けることとなる。システム開発・運用のシステム環境の汎用性が低い場合も多く、その場合移行のコストは大きい。事業の成長にあわせて、例えば事業が安定化したのちはオンプレミスへの移行を図るといったような戦略も場合によっては必要である。
    また上記の画一性から差別化、競争優位の創出には結び付きにくい。(競争劣位を防ぐ術としては有用)
    ・データセンターの信頼性
    米国では米国のストレージシステムにある情報については政府がアクセスできる権利があるので、企業はデータセンターがアメリカにあるクラウドサービスを避けるべきと著者は主張している。


    ○特化事例
    メディアが報じるクラウドのベンダーは北米数社に偏りがちな傾向があるが、国内でも特定の分野に特化したクラウドベンダーは存在する。本著では富士通、日本マイクロソフト、ドリーム・アーツ、プラスアルファ・コンサルティングが提供するクラウドサービスについて紹介しているので一部を取り上げる。
    ・富士通
    データセンタ運営の方針(国内運用、保管先明記)などIaaSにおいて高い信頼性を置ける。また農業部門でGPSやセンシングによる生育状況・収量などのデータに合わせた業務補助サービスなどから、社会インフラ構築への姿勢という点、統合的な技術提供という点で評価できる。
    ・日本マイクロソフト
    広く普及しているWindows環境上でのシステム環境で開発ができるということの大きく、Paas分野での優位性が期待できる。
    Saas分野でもExchange OnlineやSharepoint Onlineなどが現在広く用いられている。
    ・ドリーム・アーツ
    「パソコンからひとを引き離す、パソコンと向き合う時間を減らす」「良質なアナログの時間の増加が付加価値を生み出す」という独自の信念がユニクロ、全日本空輸、ベネッセ、UFJ銀行をはじめとする多くの企業から賛同を得ている。
    上記の考えに基づいた様々なアイデアを実装した「Shopらん」という小売業に特化したSaaSがメイン。
    ・プラスアルファ・コンサルティング
    日本初となるSaaS型のテキストマイニングサービスの「アルファスコープ」を提供している。「顧客の声の声の見える化」を目標としており、コールセンターの顧客情報はもとよりTwitterなどネット上の顧客の評判の動向をデータマイニングにより分析できる種々のツールを提供している。データマイニングサービスは市場全体として割高であるがアルファスコープで価格も抑えられている。

  • 経営戦略視点からのクラウド戦略の基本的な考え方の一つが良く理解できた。一方で、(著者の方々には少し失礼な言い方だが)文系の方が執筆された本だが、SaaS/PaaS/IaaS、パブリック・クラウド/プライベート・クラウド、等が判り易く書かれており、理系の我々も見習わなければとも感じた。
    実践編は、富士通、マイクロソフト、ドリーム・アーツ、プラスアルファ・コンサルティングの各クラウドビジネスの専門家が執筆されており、やや、各社の宣伝的な面も感じられるが、具体事例を交えて各社クラウドによるソリューションが紹介されているので、今までぼんやりと雲の様に見えていたクラウドという言葉が、各々特徴ある形がしっかりと見え、理解できた。中でも「テクスト・マイニング」ソリューション自体が日本でビジネスとして成り立っているのは、驚きであった。
    「クラウドという言葉は良く聞くんだけど、自分達のビジネスにどう具体的にかかわってくるのだろうか?」と思っているおじ様方にお勧めの一冊です。

  • 経営戦略においてIT技術とどう付き合っていくべきかを書いた本。
    一歩先のクラウド戦略と書かれているが、書かれているのは4社の例のみであり、この4社を選んだ理由も書かれているが、あまりピンと来ない。クラウドの大手であるGoogleやAmazonが実例としてあげられていない理由がよくわからない。
    表題にも戦略と書かれている通り、クラウドを利用した経営についての本である。2,3資料として提示されたデータに疑問などを感じたり、あまり引き込まれなかったので、☆3です。

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著者プロフィール

KPMG FAS 執行役員 パートナー
早稲田大学政治経済学部卒。 オーバーチュア(現ヤフー)、米グーグル(Sales Strategy and Planning/戦略企画担当)を経て現職。2016年9月、電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタントに就任。2018年1月、電通総研カウンセル兼フェロー、アタラ合同会社フェローに就任。

「2018年 『カスタマー・エクスペリエンス戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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