バリュエーションの教科書

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492602232

作品紹介・あらすじ

株式投資から企業IR、M&A、事業再生、「会社は誰のものか?」「金融資本主義の功罪」の議論まで――。M&A、ファイナンスの最前線で活躍する実務家から絶大な評価を受ける著者による最新作。難解な金融・ファイナンスの世界を「実務現場感覚」でシンプルに説き明かす。ファイナンスは積み上げ型で学ぶより俯瞰して理解せよというスタンスの下、基本から最先端の理論までを網羅した新しいテキスト。

【本書の「はじめに」より】
 企業価値算定やM&Aは、ファイナンスの上級・応用編、ピラミッドの上部に位置づけられることが多い。そこへ到達するには、1つひとつ石を積み上げなければならず、その土台作りのために、数学や統計学の知識を身につける必要がある。こう言われると、苦難の道のりとなる。 本書は、世の常識的スタイル(≒欧米のビジネススクールで教わる手順)を無視して、ピラミッドの全体像を見てから骨格と枠組みを作り、そこに肉づけをして完成させるというアプローチを取っている。
 企業価値算定は、専門家が複雑な理論やモデルを駆使しなければできないような世界ではなく、企業経営者と投資家が建設的にコミュニケーションを取るための共通言語として、使い勝手の良いものでなければならない。バリュエーションを身近で手触り感のあるものにすることによって、世間を騒がせる経済ニュースの意味や背景がより鮮明に見えるようになり、グローバル取引の交渉や投資家へのIR活動の場で役立つスキルを手に入れることができる。
 同時に、2000年以降のバリュエーションの世界がより難しさを増していることも、おそらく事実だろう。事業活動を取り巻く「リスク」がますます多様かつ複雑になっているからだ。その結果、ひと昔前の経済成長時代のファイナンス理論だけでは対応しきれなくなったり、リスク管理の手法としてデリバティブ取引なるものが活発化して市場を攪乱したり、という現象が起こっている。経営者や投資家やファイナンス理論の専門家が、それぞれの定義とニュアンスで使っている「リスク」なるものを整理し直し、それらが企業価値算定や投資の意思決定にどう反映されるのか、を検討する。

感想・レビュー・書評

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  • 心が折れそうになっても、ぜひ後書きまで読んで欲しい本。前半は極力平易にバリュエーションの意義や方法を解説してくれているが、後半は比較的専門的な内容。M&Aやデューデリジェンスの実務に少しでも関わっていないとイメージが膨らまない内容だろう。ただ、このような構成となった理由は後書きで筆者が自ら回顧しており、メッセージと共に受け取ると妙なまでに腑落ちする。今日明日の実務に直結する、という人は少数だと思うが、ビジネスマンとしてより経営寄りの視野を持ちたい人、投資をゲーム感覚でなく信念を持って始めたい人には是非読んで欲しい本。

  • 【目的】
    Valuationに関する理解を深める
    【評価】
    Valuation周りの広範なトピック(ファンドの動向、事業再編、オプション、事業再生)を取り上げているので、「企業価値評価がビジネスのどこに影響してくるのか」という全体理解には良い。又、著者の問題意識が一貫している点も良かった点ではある。一方、テクニカルなバリュエーションの実務に詳しくなりたいならば、MBA関連やマッキンゼーの本などの方が良い。良い意味で門戸が広い内容であり、著者もそれを意図したものと思われる。

  • 企業価値ってこういうものだよ、ということを数式少なめに記載している。
    一回パラパラ読んだ感じだと、企業価値の求め方なんて、経験と勘だけど、なんとなく納得感あるものにしようとするもんなんだなって思った。
    もっと理解するためにはちゃんと読まなきゃだなー

  • 2回目を終了。

    尊敬する元ファンドマネージャーの推薦本であり、再読。1回目の時は殆ど分かっていなかった事が、
    ファイナンスの基礎を勉強してから、個人投資家の視点で読むと、なるほどと納得できるところも多かった。「のれんの創造力=PBR」とあり、企業価値について深く考えさせられるきっかけとなった。

    第三部の実務応用篇については、理解が難しい。投資家としては、判断が難しい場合、今すぐ投資しないというのも立派なオプションの行使にあたる。

    著者監修のドラマもいつか観たい。

  • 9章あたりから一気に難しくなった

  • ビジネスサイドの実務家だが、西村あさひの関係者が書いている。数式周りでは若干導出の説明に関して不親切なところもある。これよりもMBAファイナンスの方が分かりやすかったかな。

  • "PBR=ROE*PER"という公式を初めて知った。また、Earn Outの使い時(株主と経営陣が一緒で、経営陣がStayする様な時に、売値のバリュエーションにコミットさせる)等も良く理解できた。最後のOptionの話は難解であったものの、将来M&A(に限らないが)の交渉の場に立つのであれば、必ず必要な知識であると感じた。

  • 今の自分にとっては、いろいろ整理するのにちょうどいい読みごたえの本
    後半に進むにつれて、うなずく内容が増える。MAのとことか。
    リアルオプションのとこはちょっと高尚すぎて中小企業では使わない。


    P24 「借金が多いほうが企業価値が高くなる」というのは、企業価値をグローバル定義のEVと同じものと考える限り、そのとおり。
    ⇒のれん価値を含めての企業価値を創造するにあたり、資金の調達方法は借金でも出資金でも構わない。
    「借金が多いほうが株主価値が低くなる」もそのとおり。

    P49 つまり、PERは(r-g)の逆数であることがわかる。

    P159 DCFが重用されているのは、「あなたが買収したらどんな素敵な会社に変貌させられるか」を具体的に描いて企業価値に反映するツールとして便利だからだ、

    P160 今の経営陣がそのまま経営を続ける純投資型の買収や資本参加であれば、現状の中長期計画を使えばよいし、企業価値算定にDCFをつかうまでもなく、倍率で十分かも(ただ、「なぜ買うの?」と突っ込みたくなるが)

    P170 なぜプレミアムを払う必要があるのか?よく考えてみればおかしな話。
    企業価値は誰が経営するかによって異なる。買う側が運営するほうが高いからMAする、その価格を売り手に払ったら、払いすぎになるだろう
    ~会社を売って「あとは頑張ってください」といって立ち去る株主にプレミアムを受け取る権利があるという主張は理解に苦しむ。
    「あなたが買収して経営したとき、どんな素晴らしい会社にできるか次第です」支配権プレミアムの根拠は、買収者が自分の好きなように経営する「自由」を手に入れるための代償であり、わかりやすく表現すれば、それは現株主への「立ち退き料」だ。

    P177 アーンアウトは。
    ①売り手株主と経営陣が一体
    ②その経営陣に当面経営を任せて口出ししない
    ③買い手がシナジーを描くのに時間がかかる
    ④買い手と売り手の間に信頼感がある

  • バリュエーションを日本語で言えば企業価値の評価。多くのファイナンスの本は数式の解説が中心だが、本書ではバリュエーションの意義、社会動向、限界等、考えるうえでの基礎に力点を置いている。ビジネススクールで教鞭を取っている著者だけに説明は分かりやすいが、初心者はまず一般的なファイナンスの教科書を読んだうえで、本書に当たった方がより理解が深まるだろう。

  • 図書館で借りた。
    バリュエーションとは、いわゆる「企業価値」についての本だ。
    投資に関する本は数多ある。「どのように株などで儲かるのか」「株で儲かる仕組み」といった本も数多ある。しかし、「企業の価値を見定める」「企業価値の計算方法」について記載している本は多くない。少なくとも私は初めて出会ったと記憶している。
    貸出期間を延長させてもらったが、それでも読み足りないくらい、読んでいて満足感を感じた。星5つ評価!

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著者プロフィール

森生 明(モリオ アキラ)
グロービス経営大学院教授
1959年大阪府生まれ。83年京都大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。86年ハーバード・ロースクールにて修士号取得。91~94年ゴールドマン・サックスにてM&Aアドバイザー業務に従事。その後、米国上場メーカーのアジア事業開発担当、日本企業の経営企画・上場担当を経て独立。西村あさひ法律事務所およびベンチャー企業の経営顧問・外部役員を務める。テレビドラマと映画版の「ハゲタカ」を監修。2013年よりグロービス経営大学院教授。長年にわたって、総合商社や金融機関、グローバル展開を進める大手企業など、ファイナンスの最前線に立つ実務家たちに企業価値算定・M&Aの研修を行っている。著作に『MBAバリュエーション』(日経BP社)、『会社の値段』(ちくま新書)がある。

「2016年 『バリュエーションの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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