- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492654231
感想・レビュー・書評
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・2008年のリーマンショック以降の金融業界の動きを米国投資銀行と邦銀の動きを比較しながら、今後の動向について述べた1冊。
・サブプライム危機の本質を?行き過ぎた証券化(CFを生むものなら何でも証券化できる)と?リスクの見積もりの誤り(「フリーランチは存在しない」、証券化の仮説:「過去の統計から見て」「相互に無関係に生じる」ように、「十分に分散されている」)に求めている。まさに、「ハイリスク・ハイリターン」、「ローリスク・ローリターン」は、金融の基本である。
・一方で、「適度なバブルには、経済成長を促進する効果がある」と述べ、過度な規制を牽制すると共に、金融機関について、「公器としての役割」と「産業としての役割」の対立にも触れるなど、バランスよくまとめられている。
・文章は平易なので、金融門外漢でもサラサラっと読める。リーマンショック以降の金融業界の動きを復習するのにオススメの1冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルにある「投資銀行が邦銀に屈した日」とは三菱UFJが飲ませたモルガン・スタンレー出資の2008年10月13日であり
サブタイトルの「キャピタルゲイン時代の次に来るもの」とはもう一つの投資収益であるインカムゲイン(配当・利息収入)となる
文中では淡々と現在の金融危機の原因が書かれていますが一言では語れない非常にたくさんの要因が重なり合ってバブルを産み・・弾けたのがよく理解できます
まさに文中にある「壮大過ぎる犯人捜し」であり国境を超えた容疑者たちが複雑に絡み合った現象が今回の世界的な金融危機である
実際問題、今回の金融危機で欧米の金融機関は公的資金の投入で半国有化されているので今までの米国型の自由主義の風景はしばらく見られないでしょう
それらは
短期利益重視→長期安定性重視
ROE重視→自己資本比率重視
株主価値至上主義→預金流動性重視
こう著者の考える「社会民主主義的」秩序に移行する仮説は十分にあり得る話です
この変化に個人投資家がどう対応するべきか?
ETFを活用するなど簡単に説明されているが過去の著者の本で推奨していた投資手法とは多少違うので興味がある人は比較してみるのも面白いでしょう
どちらが正しいとか昔のやり方はダメという話ではありません -
『外資コンサルの真実』の著者である北村さの最新の本
「巨大投資銀行」や「ハゲタカ」などの小説で投資銀行業務についての概要はつかめたが、よく分からない部分のあったという人におすすめです。
投資銀行があれほどの利益をもたらしたからくりは市場に存在する理論価格と現実価格の差である「ゆがみ」をいち早く探し、裁定取引を行い利益を得る。
この利益をレバレッジをかけて何倍にも増幅するといったものだ。(実際の持ち金の何倍もの金額を動かすこと。利益をだせれば大きいが損の場合も大きい)
商業銀行と投資銀行の違い
前者が預金をもとに貸し付け等を行う。BIS規制(国内業務は自己資本率4%以上、国際業務は8%以上が必須)などの制約がある。バランスシートを用いて業務を行う。
後者は預金等の業務は行わず、証券や債券等の売買業務を行う。バランスシートを利用しないため規制当局の監視はゆるい
この規制当局の監視がゆるかったために何重にもなった証券化商品がどんどん損を出していく結果となった。
自分の中では頭の中を整理して一段深い理解ができた。
アメリカ主導の金融システムがダウンしました。次はどんな金融システムになるのか、ビジネスが始まるのかというところがひとつの着目点になると思います。投資銀行が消え去った中、日本は金融の世界でリードすることはできるのでしょうか?
野村(リーマン)と東京三菱UFJ(モルガン・スタンレー)は外資パワーを自分たちの新らしいビジネスに活かすことができるのか。
しかし、2007年度において実態経済が世界で48兆ドルなのに対して金融サービスの取引が189兆ドル、また金融商品の残高が596兆ドルというのはやっぱりブッとんだことしてたんだなって分かりますね。
北村さんは株式等で資産運用する際にはキャピタルゲイン(売買価格の差から得られる利益)だけではなくインカムゲイン(配当)などにも着目した長期的な運用が必要だと主張している。
ローエン・バフェットの投資の仕方も参考にしたい。こんな世界金融危機の中でも自分の視座を失わずに投資ができているのもさずがだと思う。(最安値になった段階でしっかりGS他多数の株式を購入している) 自分で理解できないビジネスは投資しないと決め、サブプライム等の複雑な証券化商品に一切手を出さなかったところは参考にするべきだと思う。 -
すごくわかりやすくていいと思います。金融さっぱりな人でも最近なにやってんの?的なことがわかります、たぶん。
たまに前著と内容ほとんど一緒の部分があるけど。
けっきょくサブプライムなにがいけないの?ってよく聞かれるけど、答えはないってのが答えなのかな?
一応金融機関がリスクアセット持ちすぎたとか、バランスシート使いすぎたとか、グリーンスパンが住宅
バブル増長したとか、格付けミスったとか、レバレッジ規制緩めたとかあるけど。 -
前半はリーマンショック後の投資銀行の業界編成について詳しく書かれていた。テレビでは、ゴールドマン、メリルリンチ、リーマンブラザーズなどの社名をよく耳にしていたが、業界でどのような地位にいるのかは理解していなかったので、業界を知るのに勉強になった。
後半は、サブタイトルになっているキャピタルゲイン時代の次に来るものについて述べられていた。つまり、インカムゲインについて述べられていた。長期投資の利点・魅力について書かれていた。グロソブやETFを薦めているようすだった。
本の内容が前半と後半でがらりと変わっており、全体的に内容が薄まってしまっている感じがした。前半部分だけに集中して書いていれば、おもしろいドキュメント本になっていたと思われ、残念であった。 -
一章で扱っている巷で騒がれている外資金融の情報に関しては、
著者の周りにそういった類の人が多いのであろう、
非常にわかりやすく、説得性がある。
後半は
アメリカが先頭に立ち行ってきた資本主義が、
行き詰まり(終焉という人も)を見せる中、
次に世界がどのような方向を向き、
我々がその中でどう戦っていくかを考えなければならない。
という内容。
一発で大爆発的な流れから、
じっくりじっくり的な流れに変わる。
てなニュアンスのことも書いてある。
金とそうでないものの価値の差が埋まっていく。
ポストモダン、ダイバーシティなどの言葉に代表される世界へ。
僕は今金融業界にたまたまいるのだけれど、
本当に大切な「価値」を提供し、生み出すことがより重要になる。
利益重視だが、質も重視。
これ、当然のことでしょう?
当然なことを当然にやっていくやつが強い!
でも当然なことっていっぱいあるな。。。