- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784497211118
作品紹介・あらすじ
北京「陳情村」の報道で知られるように、中国では各政府機関への陳情によるトラブルが頻発している。いったい中国の陳情とは何か。何が原因でトラブルが生じるのか。今後、陳情は中国社会にどのような影響を与えるのか。政治学・社会学・法学の専門家がそれぞれの立場から「陳情」の実態を分析・解説することにより、中国の政治体制や社会構造の特徴の一端を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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北京郊外に陳情村があって、そこには地方から中央政府に陳情に訪れる人らが滞在して集落を形成した。
中国は陳情社会だから、腐敗社会なんだろうな。
陳情される側は、金銭や賄賂の要求をするだろう。
法治国家でない中国において、陳情文化がなくならない限りは共産党はますます肥大化していくだけで中国の発展は望めないのではないかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会科学的な論文集であり、単なる陳情哀史や床屋政談にはなっていない。陳情を個人救済に加え政治参加の形態としてもとらえる視角もある。また、退役軍人の厳しい状況や陳情・デモ行動の報道はちらほら目にしたが、まとまった論稿を読むのは初めてなので新鮮。陳情の背景として、中央から地方政府に行くほど圧力は厳しいが権力は小さいため末端の一般人の権利が侵害される政治構造、共産党の大衆路線、はたまた皇帝→共産党の公正な裁きを求める伝統的政治文化等が挙げられている。陳情による問題解決の効果は大きくなさそうだが、それでも司法や適正な政治参加による他の救済の道が整備されなければ陳情は減ることはなく、そして治安維持のためにますます政治的締め付けは大きくなるというパラドックスがあるのだろうか。