スノーバウンド@札幌連続殺人

著者 :
  • (株)南雲堂
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本棚登録 : 33
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784523264576

感想・レビュー・書評

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  • 「スラム・ダンク・マーダーその他」に登場した弁護士・千鶴がここでも登場。もちろん時系列的にはこっちが先なのかな。
    札幌を舞台に起こる連続殺人を描いたミステリ。各登場人物の視点から綴られる「ノート」という体裁は、年若い登場人物が多いこともあり、非常に軽い読み心地です。事件の陰惨さもまるで感じさせられない印象で、すいすい読めます。
    ところが、千鶴がたどり着き、しかし明らかにしなかった真相。「誰も幸せにならない」その真相は、がらりと変わって重いものでした。いい意味で、読後にはあまり残りませんでしたが。
    そして千鶴の事件の受け止め方は、きっと一般的には許されない気もするのだけれど。分からないでもないかなあ。でも「スラム・ダンク・マーダーその他」を先に読んでいたら、すんなり受け入れられるかも。

  • 札幌で起きた連続殺人事件。事件関係者と弁護士が交互にノートを書き、真相を辿っていきます。派手さはありませんが、一つ一つ可能性を潰していく堅実な推理は実に読み応えがあります。物理トリックにアリバイトリック、手記という形態を活かした小技もあり、かなり本格指数が高いです。因果関係を推理するためのデータがやや不足しているような気がしますが、全体的に納得のいく出来に仕上がっていると思います。
    千鶴弁護士はその後どうなってしまうのか、続編が待ち遠しいです。

  • 千鶴先生の車椅子の理由が1番衝撃でした

  • 北大受験を目指す17歳の浩平は、ナンパした久美子を誘拐して身代金を要求したが、翌日死体で発見。続いて捜査をあざ笑うように第2の他殺体が…。そして雪の中、ついに第3の事件が起こる。緻密に仕組まれた札幌の連続殺人事件に車椅子の美貌の弁護士・山崎千鶴がいどむ、その結末は?誘拐事件のもつれか?あやしげなPJ教団のしわざか?名探偵が解決をあきらめた事件の真相とは?―「本格もの」にこだわりつづける著者が雪の札幌を舞台にくりひろげる満足過剰な本格推理。



    事件に関わった人たちが、一体何があったのか。犯人は誰だったのかを考えるために、ノートに自分が見聞きしてきた事件の詳細を書いてく形式で進んでいく物語。
    誘拐犯が事件の途中で殺され、そのあとに誘拐された女の子の父親が殺される。事件を解決するために、東京からやってきた車椅子の弁護士がなかなkいい味出してた。


    北海道が舞台で、事件関係者も北海道の人。つまり道民。たまに出る方言が、「あ〜大泉洋ぽい」とか思ってしまった。


    そして、第3の事件まで発生し、車椅子の弁護士には犯人が分かったが、私の口からは言えないとなり、さっさと東京へ帰ってしまう。そのシーンを読んでいる私の心境としては、「え?!犯人は分からず、弁護士さんの心の中に閉まって終わってしまうの?」って結構本気で思った。しかし、ちゃんと事件の真相を語ってくれて、それが悲しい裏側があった。申し訳ないけど、殺されても仕方なかったって思ってしまった。


    雪の北海道は行ったことないけど、なんだか行ってみたくなった。すごく寒いんだろうなぁとか思ったりしたけど、それもそれで楽しそうかな。


    2023.9.2 読了

  • 関係者たちが、事件当時を振り返ってノートに綴っていく手記型式で話が進みます。

    傷害事件、誘拐事件、殺人事件と次々と事件が起き、そこに新興宗教団体やら、暴力教師の訴訟問題やらが絡んできて複雑でした。
    細かな伏線まで拾い上げ、仕掛けまであるフーダニットの力作で楽しかったです。

    美貌の車椅子弁護士、山崎千鶴が辿り着いた事件の真相、そして選んだ結末は苦々しいものでした。
    それまで千鶴と友人の里緒のやりとりが楽しいものだっただけに、余計に結末は苦い。
    この事件後、千鶴がどう変わっていってしまったのか気になります。続編が読みたいです。

  • それでいいのか、って感じですけど

  • アームチェア・ディテクティヴならぬホィールチェア・ディテクティヴ山崎弁護士の最後の事件となるのだろうか。最後に言及される、山崎弁護士の行動が「常軌を逸し」始めたという事件のことも、すでに作品化されているのだろうか。とりあえず、未読の『サロメの夢は血の夢』を読んでみることにします・・・。

  • オチが気になって、最後までわーっと読んでしまいました。札幌が舞台なので、知ってる地名やお店が出てきて楽しかったです。きちんと読めば犯人がわかるようになってて、私は考えないで読み進めてしまったのですが、作者の挑戦にのるのも面白かったかも。ゲーム「かまいたちの夜」で謎解きするのとか、ED埋める行為が大好きだった人は楽しく読めるんじゃないでしょうか。って、それって私ですね(笑)

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著者プロフィール

平石貴樹(ひらいし・たかき)
1948年函館生まれ。作家、東京大学名誉教授。1983年、「虹のカマクーラ」で第七回すばる文学賞受賞。
著書に『松谷警部と目黒の雨』『松谷警部と三鷹の石』『松谷警部と三ノ輪の鏡』『松谷警部と向島の血』(創元推理文庫)、『アメリカ文学史』(松柏社)、
翻訳にオーエン・ウィスター『ヴァージニアン』(松柏社)、ウィリアム・フォークナー『響きと怒り』(共訳、岩波文庫)などがある。

「2019年 『一丁目一番地の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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