MEMORY――螺旋の記憶 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)

著者 :
  • 南雲堂
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本棚登録 : 83
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784523265986

作品紹介・あらすじ

ホラー作家の失踪、酒蔵関係者の連続惨殺事件、そして9年前の奇妙な依頼。真相は螺旋の記憶の奥底で蠢いていた。

鏡探偵事務所を訪ねてきたのは、9年前に奇妙な依頼を持ち込んだ女性だった。「失踪した息子を探してほしい。息子の失踪には前回の調査が関係している」と——。
当時の調査記録を元に調査を開始した槙野だったが、9年前の調査で訪ねた人物が2年前に塩素ガスで殺害されていたことが判明。
一方の東條は、奥多摩の山中で発見された凄惨な逆さ吊り殺人事件を追っており、報道で被害者の身元判明を知った槙野から、その被害者が9年前に調査した案件の関係者であることを教えられるのであった。

長らく島田荘司氏に私淑してきた著者が放つ「本格ミステリー・ワールド・スペシャル」中の斬新かつ渾身の第6弾!

感想・レビュー・書評

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  • 斬新なテーマの一冊。

    これは斬新なテーマで攻めてきたミステリという印象。

    通常では信じ難い、立証するのが難しい"記憶"を巧みに事件に盛り込ませる着眼点が目を惹く。

    今作も残虐グロ満載、探偵槙野サイドと刑事東條サイドの糸が交差し一本の太い糸になり真相へと突き進む。

    極、些細な疑問点が実は重要なポイントだったり、近づいたかと思うとスルリとかわされ繋がりそうで繋がらない真相は緊迫感と共に読み応えあり。

    こういう記憶があったら…せつなさ盛り上げる作中の小説の存在も良かった。

    それにしても自分が死ぬ瞬間が生々しく残るのは嫌だな。

  • シリーズ6作目。
    毎回オカルトの要素を取り入れながらも、推理を展開する本格的な作品だが、今作はこれまでとは一味違う出来栄えと言った印象。
    これまでは心霊的なものが多かったが、今作のテーマは「生まれ変わり」。
    9年前、所長である鏡が受けた不思議な依頼が9年の時を経て、再び動き出す。
    かつて奥多摩の留浦と言う地区に存在したと言う酒蔵。しかし、そこの主は鏡が調査した時には、自殺しており、土地は他人の手に渡っていた。
    9年後、同じ依頼人から、いなくなった息子を探して欲しいとの依頼が入る。息子は大学生でありながら、オカルトの作家もしていると言う。調査を引き受けた槙野だったが、この息子の失踪にもやはり奥多摩の酒蔵が関係していると読む。
    一方、東條は奥多摩の山奥で殺害された事件を追っていた。その被害者は槙野が追っている酒蔵を買い取った人物であることから、二人の事件は繋がっていく。
    槙野も東條も、変なプライドなく、情報共有し、真相に迫っていくのが、この作品の醍醐味。
    オカルトを絡めることから、トリックに無理があることも多かったり、凝り過ぎて、後半はほぼ説明に費やすことがこれまでは多かったが、今回のトリックは無理なく、後半も「これで謎が明かされた!」と思っても、まだ続く事件に、ハラハラドキドキ。
    ちょっと切ない要素もあり、久しぶりに面白かった。
    ラストに槙野の同僚・早瀬が辞めることになるが、彼女に何があったのか、すごく気になる。
    そして、この作者さんの本は売ってない!
    どの本屋さんに行っても、置いてない…結構、コアなファンはいるはずなので、是非書店でも扱って欲しい!

  • 大好きなシリーズ。約二年半ぶりかな、首を長くして待っておりました。
    個人的に前世とかに凄く興味があって、チベット密教のダライラマのことなんか色々調べたことがある。この作品にもダライラマのことが出てきてビックリ。
    物語の根底にあるのは遺してきた婚約者に対する深い愛で、それをテーマにしつつ残虐な事件とを絡めている。
    自分も島崎智輝と同じ行動を取るんじゃないだろうか。だって,心配だもん――。

  • 殺害方法がエグイというか…想像するとショッキングな内容です。
    例えば自分が犯人であってもこういう殺し方を選択するかなぁ?と。
    …想像だけですが。

    前世の記憶に絡めた事件。
    ちょっと現実離れしたような内容に変化していくので、ピンと来なくて困惑した。
    主要登場人物にもあまり感情移入が出来ずに読了。
    これはきっとシリーズものの続編というのが問題なのかな。
    主要登場人物に対する深堀情報が自分にないので、登場人物よりも上空から物語を見ているような感覚だった。

  • 04月-16。3.0点。
    探偵槇野、刑事東條シリーズ。
    奥多摩の酒蔵関係者、不審死が多い。9年前の槇野の事務所所長が扱った調査が、意外に繋がっていき。。

    ほどほどのホラー要素、でもミステリ小説としてもしっかりしている感じ。結構面白い。

  • 奇妙な依頼から9年後。同じ依頼者から、また新たな依頼が。次々と起きる殺人事件や作家の失踪などテンポよく展開が変わってい期、本格ミステリーとして大いに楽しめました。

    元刑事の探偵と女刑事が事件解決していくシリーズで、この作品は6作目です。個人的には、初めての作品でしたが、途中からでも全然楽しめました。また、初めての作家さんでしたが、独特な世界観があって、好きでした。有名なミステリー作家監修ということもあり、なんとなく○○イズムのような表現がされているように感じましたが、きちんと独自の世界観を持っていて、他の作品も読んでみたくなりました。
    特徴としては、探偵ならではのハードバイルドさは薄く、警察ならではの泥臭さも薄いのですが、スタイリッシュさや緊迫さ、勢いさが相まって、クセになる雰囲気でした。
    表紙を見た限りでは、オドロオドロしい感じがしたのですが、そういった感じはなく、本格的なミステリーでした。ただし、猟奇的殺人で、グロい表現が含まれているので、ご注意を。

    要となるキーワードは、「前世」あるいは「輪廻転生」です。一部、現実的な内容ではありませんでしたが、ロジックがしっかりとしているので、実際にありそうと錯覚してしまいそうでした。

    ある人物の調査依頼から始まり、作家の失踪、連続殺人事件、そして輪廻転生。果たして犯人は誰なのか?解決しそうで、解決できず、予測がつかない展開に面白みが増していきました。二人のコンビだけでなく、その他の探偵や警察の団結力も発揮していて、面白かったです。

    ラストはまた新たな謎が誕生し、続編へと誘うので、気になってしまいました。

  • 2020/10/31読了

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著者プロフィール

佐賀県生まれ。島根県在住。2011年『変若水(をちみづ)』(光文社)島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作に選ばれデビュー。主な著作に『凶血公安調査官 霧坂美紅』(KADOKAWA)『凶眼の魔女』(実業之日本社)『化身の哭く森』(講談社)『背律』(原書房)『堕天使の秤』(光文社)『四面の阿修羅』(南雲堂)

「2023年 『龍のはらわた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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