指切りパズル (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)

著者 :
  • 南雲堂
3.14
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  • (5)
本棚登録 : 141
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784523266037

感想・レビュー・書評

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  • 綾鹿市動物園で行われる人気アイドル“チタクロリン”のコンサート。 メンバーの一人がレッサーパンダに触れようとして指を噛み千切られてしまう。 やがて関係者が次々に襲われていき・・・。 ある者は中指を、ある者は小指を、持っていかれたり、放置されたり、指にまつわる事件は連鎖していく、果たしてレッサーパンダの事故は偶発的な物だったのか? 誰かが嘘を吐いている。

     ○○的でお馴染み綾鹿市シリーズ、テーマは「指」。 なんと物語早々アイドルグループの指が噛み千切られる。 そして指切り事件は飼育員や他のメンバーに波及していく。 大事なのは殺してから指を切り取ったのではなく、生きている人間から指を切り落としていくという事。 さて指を切り落とす必然性をあなたは推理出来るのか、綾鹿市シリーズにしては実に理論的な帰着でした。

  • 佳作

  • 真相が興味深かった

  • ゆ、指が。エグい。
    自分のことをその中に紛れさせるなんてさ。

  • 動物園で行われた、人気アイドルユニット・チタクロリンのコンサート。その最中にアイドルがレッサーパンダに指を噛み切られるという事故が発生。そしてそこから、次々と起こる指切り事件。犯人は誰で、なんのために指を切るのか。謎だらけのミステリ。
    読み心地としては、かなり軽いノリです。テンポよく次々と事件が起こって飽きないし、そのわりにはなんだか緊迫感が薄い気がするし、警察が一般人に事情聴取を任せるとか突っ込みたくなるような場面が多々あるし……だけど、解決は軽くなかった! とんでもなく複雑なパズルのようで、組み立てられた全景は実に見事。本当の真相にもぞくっとさせられました。やっぱりこういう世界にはどろどろしたものがあったのか(笑)。
    次々暴かれるアイドルたちの秘密、そしてバラエティ豊かな「指切りの論理」にはもう絶句。それが繋がってこのひとつの事件になったという構図も見事。流石です。

  • 素人レベルの文章と浅い人物描写にビックリ。
    ネーミングセンスもダサい。
    「本格ミステリーワールドスペシャル」って…
    意味分かってる?

  • 面白かった。

  • 2021/10/18読了

  • 動物園で動物による指切断事件が起きる。想像するだけでも気持ち悪くなる。読み進めることが辛くなる。動物を癒しとして強調される傾向があるが、危険なものという認識も必要である。特に商業主義的な動機から癒しの面を強調することは無責任になる。ディープな動物愛護精神はペットや見世物を動物との共生とは言わず、否定的になる。

    人間を犯人とする指切断事件も起きる。事件は、あっさりと半グレが犯人と方向性が出る。「振り込め詐欺や違法薬物の売買、出会い系サイトの運営などで稼いでいる輩です」(73頁)。そのような連中が芸能界に食い込み、芸能人と接点をもとうとしている。芸能人の薬物乱用事件の多くも半グレと接点を持ったことが元凶だろう。

    警察署の会議室は陰気で薄暗かった。部外者から「こんなスペースで打ち合わせをしても建設的な意見は出にくいのではなかろうか」との感想が寄せられる(77頁)。これは正しいだろう。自白強要や冤罪に陥りがちになるだろう。

  • 指切り事件の裏に隠された真実

    人気の動物アイドルユニットTiCrP(チタクロリン、元素のチタン、クローム、リンから)。

    動物園で行われた彼女らのコンサートで、メンバーの一人がレッサーパンダに指をかみ切られてしまう。それを発端に彼女らの周りで次々に指を切られる事件が発生する。

    まず、あらすじを読んだ段階から。

    レッサーパンダは本当に人間の指を噛みきる力はあるのか?という疑問。

    軽く調べたところ、平均身長約60cm、主食は竹。犬や猫と同じ食肉目。鋭い犬歯を持つが、臼歯は平たい形となっている。コードくらいは噛みきることはあるらしい。

    さらに野生はともかく、動物園生まれの野生を知らないレッサーパンダは人間に慣れているので人間を襲うことはほとんどないそう。このことは本文にも記述されている。

    このことから私は現実にはレッサーパンダはいくら華奢な女性の指でも噛みきることはできないと思う。運よく骨と骨の隙間(関節)を狙えたとしても一度では難しいと思う。

    著者もあとがきから、

    > 著者は本名で野鳥や昆虫関係の執筆を行っており、奄美野鳥の会会長も務めている。それだけに、著者の小説では生物に関する知識がふんだんに披露されることが多いのだ。

    とあるので理解した上でそうしたのかもしれない。

    読んでいて思ったことは読みやすいということ。

    私は小説の技術やテクニックなど細かいことには詳しくないので、本の良し悪しは読みやすいか否かで決めることが多い。

    この本は物語の展開が早く読みやすい。それでいて伝えるべき情報はきちんと伝えているので破綻がないように感じた。(プロローグなど)

    またトリックについて、自分はそれが実際にできるかどうかも重要だがそれ以上にその裏にある人間模様(特に苦悩)が見れるものが好みなので、この本はとても楽しめた。

    ネタバレぎみになってしまうが、

    後半は少し要素を詰め込みすぎたのではないか?(特に推理部分)とは思ったのだが、その推理はただのミステリー好きの素人が推理した、ということでうまく消化されていたように思う。どのようにしてそう思ったのかは是非読んで確かめてみていただきたい。

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著者プロフィール

1960年福岡県生まれ。九州大学理学部卒業。2001年『中空』で第21回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。主な著作に「観察者」シリーズ、「綾鹿市」シリーズなど。碇卯人名義でテレビドラマ「相棒」シリーズのノベライズも執筆。2016年『死と砂時計』で第16回本格ミステリ大賞【小説部門】を受賞。

「2021年 『指切りパズル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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