エフェクトラ――紅門福助最厄の事件 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)

著者 :
  • 南雲堂
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本棚登録 : 62
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784523266136

作品紹介・あらすじ

名脇役の40周年記念イベントに異変の予兆‥‥ 
数多くの「死に役」を演じ、「ダイプレイヤー」と称された役者・忍神健一。その役者生活四十周年を記念するセレモニーが開催されることに。これに乗じて、役をせしめようと集まる一癖も二癖もある役者の卵たち。イベント準備中に不可解な事象がうち続くなか、足跡のない雪のバンガローで関係者の変死体が発見される。
私立探偵・紅門福助の推理や如何に。

感想・レビュー・書評

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  • イベント会場で発生した事件… 誰が、何故、どうやった?一連の推理が楽しめるミステリ #エフェクトラ

    ■あらすじ
    名脇役者である忍神健一は、役者生活40周年の記念イベントを控えていた。イベント会場である神社では、多くの役者仲間が集まって開催の準備をしている。騒々しく準備が進められる中、鳥居に卒塔婆が括り付けられるなど奇妙な事件が発生する。
    そして雪が降り積もった翌日、足跡のないバンガローで、ひとつの死体が見つかるのだった。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    良い推理小説ですね、めっちゃ丁寧な本格ミステリーです。
    誰が犯人か、不可能犯罪をどう実現したか、動機はなんだったか、といった基本的な謎解きがしっかりと楽しめる。しかも小さな謎や過去の出来事まで、しっかり論理立てて説明してくれてるんですよ。充実したなるほど感。もちろんそのための手がかりも分かりやすく書かれてますので、読者も安心して推理にチャレンジできます。

    特におすすめなのが推理パートなんですが、往年の古典ミステリの解決編を思い出させる推理が素晴らしさ。入り組んだ連続殺人の犯人当てから、不可能犯罪の解明、そして動機までのロジック展開は一級品です。

    特に動機は多くの情報が出されていたのに、繋がりがさっぱりわかりませんでした…一連の事件をひとつの線で結びつけた真相には、ほんと驚かされましたね。

    また登場人物たちについては、キャラや会話がやたらユルユルの割に、実は背景や関係性がぶ厚い。会話もサクサク読めてしまうんですが、物語が進んでいくと、粘りのある人間ドラマを感じることができます。

    そしてこの紅門にとっての最厄な事件については… 私ならもう立ち直れません。

    ■ぜっさん推しポイント
    世の中、人工的なものが増えてくると、人間の手による創造や芸術が減少しちゃいますよね。本作の主人公である忍神健一は、死体役で有名なバイプレイヤー。なんでこんなヘンテコな役柄を設定したのかよくわかりませんでしたが、本作「エフェクトラ」を読み終えてみると、なんとなく理解できた気がします。

    お芝居も小説も人の手で作られることによって、血の通った作品ができるのではないかと思いました。

  • 最初に紹介される登場人物の多さにとまどったが、慣れてからは物語に引きこまれて良質な本格ミステリを楽しめた。まさしく紅門にとって最厄の事件だった。こんなとんでもない目にあった探偵は他に見たことがない(笑)

  • 2023/06/25読了

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★☆☆ 9
    【整合】★★★★☆ 12
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★☆☆ 3
    「可読」★★★☆☆ 3
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★☆☆ 6
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》73 B

  • 430頁ほどあった。
    自分的には合わなかったので渋々読み続けた感じ。

    立て続けに3人死ぬ。
    最初の事件が発生したあとに警察がうようよいるはずのに、どんどん、死んでいくさまに違和感。
    まぁ小説だから仕方ないか。

    探偵の推理も、真相なんだろうけど犯人が死んでしまってるし、最後の犯行の犯人もその場にいない中で、推理していくので 探偵の自己満というか憶測感が漂ってきて、何とも消化不良な作品と感じた

  • 紅門福助シリーズ、とのころですが読むのはこれが初めてです。
    なんともこう・・バカミス感のある間でもって事件が進行していく。事件自体はコテコテの本格だし過去の起きた「ギャクロス」の事件なんかはやたらと陰惨だったりもしますが、登場人物のふわふわした語り口がどうにも深刻さをそぐというか。別にそういうのが好きな人からしたら読みやすくていいんでしょうけども。妙にダジャレみたいなものがちらほら差し込まれるのは好き好きありそう。

    そして副題にもなっている「最厄」。なにが最厄なんだろう?本の帯にも「誰も自分の代表的な探偵役をこんな最厄な目に遭わせようとは思わないでしょう?」と書いてあってそれが気になって読み始めたのになんか普通に謎解きして終わりムードでもって一向に・・
    と思ったら。なるほど。そういう。これは感想難しいな。最厄ってそういう。。。
    これまでのシリーズを読んでたらまた別の感慨があったと思うんですけどね。紅門福助の人柄みたいなものを知っていたら。

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著者プロフィール

1959年岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。映画会社に勤めながら、94年に『おなじ墓のムジナ』で第14回横溝正史ミステリー大賞に佳作入選し、作家デビュー。主な著作に『パズラクション』(原書房)『死写室 映画探偵・紅門福助の事件簿』(講談社)など。

「2023年 『エフェクトラ 紅門福助最厄の事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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