経営戦略の論理 第4版: ダイナミック適合と不均衡ダイナミズム

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532134266

作品紹介・あらすじ

顧客のニーズをダイナミックにとらえ、競争優位を構築し、資源・技術を利用蓄積し、人の心を動かす-。良い戦略のエッセンスを理解し、戦略策定に欠かせない構想力を磨き上げる。進化し続けるロングセラーテキストを全面改訂。

感想・レビュー・書評

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  • 経営戦略の古典的名著ということで、ある人から推薦され、
    読んでみました。
    自分が生まれる前くらいに初版が出て、
    年を追うごとに改定され、現在が第4版。
    これだけのロングセラーなだけあって、
    実際に読んでみるととても読みごたえがあります。

    第4版は、事例を少なめにしたということなので、
    ある程度の社会人経験がないと、
    何を言っているのか分からない作りになっているかもしれませんが、
    その代わりに考えさせながら読ませてくれる本です。
    (実際、自分も技術のところは、あまり経験がなく、
    イメージできないところもありました。)

    驚かされるのは、伊丹先生のロジック構築力。
    時間の推移も考慮しながら、論理のミーシー感がハンパないです。

    決して簡単な本ではないですが、
    経営を考える人は一度は読んでみたい本かと思います。

  • 一つのプロジェクトも組織も、結局はリーダーは戦略を考え、実行していく必要があるわけで、それはすなわち、小さな経営だよなぁというわけで、経営学的なものを。なかなか難しいけど、違う分野の知識を入れるのはまた楽しい。
    時間切れでぜんぶはよみきれなかったけど、これは再読必須だなー。読みやすいし面白い。

    現状の分析から先のありたい姿を考えてはならない。分析をするとしがらみなどが先に来てしまったりするし、姿が小さく纏まってしまう。だから、まずは大きく描き、現状とのギャップを埋める努力をし、その上でどうしても無理ならまた考え直す、べき。

    見えざる資産が面白い。情報の流れ方や得方、ブランドなどがよく書かれている。いかに正確な情報を得て、必要な場所に正確に流すか。

    ビジネスシステムを設計する時に、どこを外に出してどこを中に持つか、によって競争力や差別化が決まってくるのは、言われてみれば確かに。外に出してしまうとコスト競争力は付くけど、技術などによる差別化はできなくなる。それは、将来的な競争力を失うことになるかもしれない。自社の強みになり得るところを外に出してはいけないけど、その見極めは難しいよなぁ。

    花王の消費者相談センターは面白いな。苦情や問い合わせ対応だけではなくて、商品理解のための情報発信も担っているらしい。確かに生の声を聞ける場所であり、どういう発信が必要かわかる部署だよなぁ、と。ただのコストセンターになりがちだけど、これはうまい気がする。各部署への情報発信も担っているらしいけど、これも上手くやれるといいよねぇ。

    企業は顧客を中心に考える、はその通りだと思うけど、意図を持って顧客を選択する、のはあまり意識してなかったかも。選択するということは、誰を顧客としないかを決めること、でそこまで考えてなかったなぁと。やっぱり幅広く狙いたくなるけど、それはターゲッティングができていないだけで、あまり良いことはないよね、と。ペルソナを細かく設定するデザイン思考の考えもここに繋がるんだよなぁと。結局誰にでもウケるものは、特徴がないだけ、なんだよね。そして、集中するからこそ、成功し、好循環が回り始めるわけだよね。

  • そもそも経営戦略とは何かという基礎から始まり、顧客適合/競争適合/資源適合/技術適合/心理適合について、それぞれ述べられています。かなり古い本ですが第4版が去年の10月なので、現在の企業にもすぐに適用できることが多く、また事例も端的でわかりやすいです。

    特に印象に残った、戦略の技術適合より
    ・コア技術をなんと思い定めるか
    ・コア技術のずらしと再定義
    ・コア技術のずらしを行ってある部分を生かそうとする日本企業と、コア技術からジャンプしようとするアメリカ企業
    ・肯定技術(自社の既存技術の延長線上)と否定技術(既存技術の代替や存在価値を0にしてしまう)の共存
    ・共存の難しさは3つ。
    1.セルフカニバリを心理的に許容できるか
    2.肯定と否定の二重投資の苦しさ
    3.肯定技術の現業が持ってる技術の多くが、否定技術の事業化に必要だが、その組織内転用が心理的にできるか
    ・そのため戦略として、「肯定と否定の共存」を明確に打ち出し、否定技術をことさらに重視する姿勢をきちんと示さないと、否定技術は隅に追いやられる
    ・これが技術転換をテコとして使っている戦略

    内容が濃く1回では咀嚼しきれないですが、近いうちにじっくり丁寧に再読したいです。

  • 日本で有名な経営学者の著書。もう第4版で初版から32年も経過しているとのこと。
    他の経営学のテキストに必ず著者の論が登場するので、ぜひ原書をということで一読しましたが、かなり読みやすい内容でした。
    また「見えざる資産」「あえて不均衡をつくる」「人間心理へのフォーカス」などといった、企業内部志向で日本人のメンタリティを重視した著者の経営戦略に対する論理には、かなり共感してしまいます。
    なるほど、日本の経営学に関する有名著書の一つだなと納得してしまいました。
    もちろん、市場・顧客、ビジネスシステム、経営資源(見えざる資産含む)など、しっかりと基本部分も解説していますので、教科書的な位置づけで利用できます。
    繰り返しになりますが、いままで自分が読んできた経営書の中で、日本における経営戦略の教科書はどの本がお勧めですかと聞かれたら、自信を持ってこの本と答えます。

  • 第4版の読後感… よく、学者の書くものは「後付け講釈で実務に役に立たない」という意見と、逆に「普遍的な形に整理してエッセンスを抽出してくれるので、大いに考えさせられる」という真逆の意見を聞きますが、この本はまさにその両極の評価を得るであろう本。
    実務書と思って読むと、明日から早速役立ちそうな、すぐに実務に応用できそうなことはあまり無い。逆に、ある意味「哲学書」として読むと(笑、示唆に富む箇所多数。
    個人的には、戦略の実行には、あえて不均衡を起こしダイナミズムを誘発するアプローチが、縮小均衡状態に陥っている場合には有効(但し当然リスクを生じる)という指摘箇所に深く感じるところあり。この章だけを掘り下げて1冊の本にして欲しい位。(笑

  • 「戦略は人間くさくてはならない」という言葉に共感
    いくら絵に書けても実践、実行するには人が動かないと何も始まらない

  • まあ 役にはたたない ヤマトのケース学ぶ方が有益

  • 良書です

  • 16.4.19 モーニングサテライト リーダーの栞
    ALSOK 青山社長

  • これまでは、伊丹先生の本から多くの学びを獲てきたがが、この本はあまりにも専門的でかなり難しい。ということで、評価は付けません。

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著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授
1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。この間スタンフォード大学客員准教授等を務め、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て2017年9月より現職。

「2019年 『激動の平成 日経 平成三部作』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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