完全なる経営

  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532148638

作品紹介・あらすじ

本当の「自己実現」を生む人間主義経営とはなにか。

感想・レビュー・書評

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  •  「それでは貴方が仕事を通して叶えたい自己実現を教えて下さい。」と聞かれた時、私達はどのように答えるだろう。


     〝仕事を通じての自己実現は、自己を追求しその充足を果たすことであると同時に、真の自我とも言うべき無我に達することでもある。〟(マズロー)


     マズローのいう、仕事を通じての自己実現とは「仕事という外の世界と私という内の世界が一体化する」という事である。
     仕事の社会的価値を見出し、その価値を自己に取り入れれた時、その人は社会的価値を内包した価値ある自分になるのである。
     「まず隗より始めよ」という言葉がある。
     他人の仕事にケチをつける事に専念するのではなく、自分の仕事にはどの様な社会的価値があるのか、今一度考える必要がある。
     そして、その価値に共感し、自分の内に取り入れて、無意識に仕事を行える。
     きっとその時、自己実現を果たしている人と言えるのだろう。

  • アブラハムマズロー 著
    『完全なる経営』

    ティール組織なる言葉がない時代、
    1965年初版。

    マズローの五段階は有名。
    しかし、読了することで、
    1.経営者
    2.リーダ
    3.メンバー
    それぞれの果たす役割が見えます。

  • 教科書的な断片の知識として知ったつもりになっていたマズローの考えに触れられる良書。
    小宮先生おすすめシリーズ。
    あとがきを読んで初めて知ったが、この方の著書は箇条書き的な書き方が多いようです。
    たしかに読んでいて、箇条書き的なイメージを覚えました。
    でも、随所に考えさせられたり、納得の出来るところがあり、いつか再読してみたいと思いました。
    ピラミッドを書いて分った気にならずに済みそうです。

  •  欲求階層説で有名なマズローが経営について語った手記をまとめた著作でもともと1965年の初版が再発掘され、編集されたもののようである。構成としても手記を中心にまとめられているため、まとまりがなかったり、難解な部分も見受けられ、個人的には全体としての理解がうまくできなかった。
     印象的だったのはマズローがドラッカーらの経営管理原則が過度に一般化されており、適用すべき人間を限定していない、と批判していることだ。マズローは進歩的経営管理の方針として数々の仮定を設けている。いくつか重要なものをあげると、
    ・人間は信頼できるもの
    ・権威主義的な支配・被支配の関係は存在しない
    ・シナジーがある(ひとりの利益は全体の利益となる、全体の利益はひとりの利益でもある)
    ・諸個人が十分に(心理的に)健康で、組織もしかり
    これらはマズローの理想とした、自己実現者で構成された文化ともいえる。私の勝手な解釈だが、企業の各個人が互いに尊重されており、共通の目標を持ち、柔軟にリーダシップをとったり協調できるような風土が確立されているような状況を指すのではないかと思う。今でこそ、業績主義の目標管理に偏らず行動や価値観を評価に含める人事が強調されているが、当時このような理屈が展開されていたことは驚きである。
     マズローはどのようにしたらよいかについて最後に「健康心理学的なものを目指す活動、つまり管理者を含む全社員の成長を促進する活動を第九の副社長に管理させるのが望ましい」、「広範囲にわたる哲学的・心理学的・心理療法的・教育的訓練が中心」とだけ言及している。言ってみれば従業員のものの考え方を変えるための教育を様々なアプローチで行うということなのだろうか。

  • マズローの5大欲求説、聞いたことある人多いと思い
    ますが、そのマズロー教授が経営についてアレコレ
    考えたメモを編集した本です。マズロー教授の思考
    の断片を拾い上げながら読むかんじ。なので、全体像
    をつかむのが、なかなか難しい本でした。

    自己実現とは何か?
    自身がありたい姿にむかって、最大限自分がなし得る
    ことをしている姿。そして、それは社会、組織とも
    調和し共鳴し、自分自身の存在価値を示し高めていく
    こと。
    良き社会・良き組織が、自己実現へと成長する必要
    条件であり、同時に、そうした最高の人間的可能性
    の実現が良き社会・良き組織をもたらす。

    以下、どうでも良い話ですが、マズローというと
    例の三角形の図を思いだしますよね。あれ、
    マズロー教授自身が描いたものではないらしいです。
    三角形の底辺が低次の欲求で、三角形の頂点は
    高次な欲求(自己実現)というように表されますが、
    私なりに解釈すると、三角形の底辺が大きい人ほど、
    三角形の頂点は高くなるわけで、つまり、偉くなる
    人ほど、エロで美食家ということなんですね。
    確かに、周りを見回すと、なんとなく当たっている
    気がしないでもない。
    でも、エロくて美食だからといって出世するとは
    限らないんですよね。うーん残念。。。

  • 「欲求階層説」、「自己実現」、「心理学第三勢力」などで有名なマズローさんですが、今まで読んだことなし。書評などで好意的に取り上げられているので読んでみました。"Maslaw On Management"をこう訳すのは無理があるが、主著『完全なる人間』にちなんだのでしょう。その原題も"The Psychology of Being"。無理があるのでは?

    正直に言うと、かなり違和感があります。神経症や発展途上国に対するかなり差別的な認識や、生まれながらの優劣の積極的肯定。文中でも何度も、昔の話でありそのため現代の認識とは違う、という訳者注が言い訳のように挿入されていますが、かなり根本的な問題であるように思うのは私だけでしょうか。少なくともそこの部分での違和感が私の素直な理解を妨げている気もします。例えば、
    「ごく近いうちに、心電計や脳波計などを用いた信憑性の高い一連の実験が可能となり、被験者が将来いい管理者や監督者、上司、リーダーになれるかどうかを、かなりの確率で予測することができるようになるだろう」
    ...

    またどうも言葉の使われ方に無頓着さを感じてしまいます。これは翻訳のせいなのでしょうか、自分の不勉強のせいなのでしょうか。選択された語が時代および学界を背景とした中で何らかの特別な意味と位置があったのではないのかとも思いますが、それを感じることは自分はできませんでした。例えば"いい人間"や"いい社会"という言葉が留保なく使われていて、どうもなじめません。"いい経営"というものを議論するためには、全体論的な議論が必要だということで、そのためにはこういう記述しかなかったというものなのかもしれないです...いいこと言っていることは、言っているのですが。

    あと、途中に頻繁に挿入されるインタビュー。リズムが崩れて邪魔なのです。私だけ?

    きびしめですが、星2つ。いい本なのかとは思いますが、合わなかったということで。

  • いい本って読みながら、あの事に通ずるなとか、あの人に読ませたいとか、伝えたいってなる。
    かなりのボリュームだったけど、気付かされることが多かった。

  • マズローの造語であるユーサイキアン経営は、社員が自己実現できる職場を提供する経営です。まさに今流行のウェルビーイング経営ですね。

    本書は、構造化を嫌った書き方になっています。本のために書かれた原稿ではなく手記をもとに出版したのがその理由だそうですが、マズローの本は全てこんな感じです。

    問題意識が無ければ、「わかりづらい」の一言でしょう。もし、自己実現に対する仕事や職業、経営に関心があるなら、本書から知識を得るのではなく本書をきっかけにして自己実現できる職場の実現を目指してみませんか。

  • 通読レベル2

  • ”<読書メモ>
    ・マズローの業績の中でも特筆すべきことは、欲求階層説を確立したことであろう。人間は自己実現を望むものだというのが、マズローの信念であった。そして、人間の可能性は甚だしく過小評価されており、十分に解明されていないと考えたのである。(監訳者まえがき p40)
    ・この上ない安らぎを得たいのであれば、音楽家は曲を作り、画家は絵を描き、詩人は詩を詠む必要がある。人間は自分がそうありうる状態を目指さずにはいられないのだ。こうした欲求を自己実現の欲求と呼ぶことができよう……。それは自己充足への欲求、すなわち自己の可能性を顕在化させようという欲求、なりうる自己になろうとする欲求である。(p4)
    ・eupsychology=eu[よい]+psychology[心理学]という言葉で、マズローは身体だけでなく精神的な人間を扱う分野を表した。マズローの目指す経営管理は、精神的健康を目指す管理という意味で、eupsychian management と呼ばれているし、序文にあるとおり、それが本書のもとの書名だった。(p68)
    ・尊敬(他者から)の欲求と自尊の欲求を明確に区別することが重要である。(p83)
    ・最高の管理者は、自分が管理する労働者の健康を増進する。その方法は二通りある。一つは、労働者のもつ安全の欲求、所属の欲求、身内や個人的な知り合いと親密な関係を築きたいという欲求、名声を求める欲求、自尊の欲求といった基本的な欲求を満足させること。もう一つは、メタ動機づけ、すなわち真、善、美、正義、完全性、規律などに対するメタ欲求を満足させることである。つまり、もともと労働者が充分高いレベルにあれば、進歩的な経営管理は基本的欲求の充足とメタ欲求の充足という二通りの方法によって、労働者の健康を増進することができるのである。(p135)
    ・このように、重視すべきは人間そのものであり、人間の奥深いパーソナリティの副産物としての行動である。進歩的な経営管理と監督方法の効力を確認するには、工場内での行動や製品の質・量を見るだけでは不十分であり、むしろ、上述の副産物を検証する必要がある、と私が考えるようになったのは、こうした理由身体。

    ※欲求階層説については以前書いたブログ記事を参照
     http://hiroc.dreamlog.jp/archives/2380263.html

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