脳は美をいかに感じるか: ピカソやモネが見た世界
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2002年2月1日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532149604
感想・レビュー・書評
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神経美学の実力は本当にこんなものなの…?
あまりおすすめできない本。
「眼で見る/脳で理解する」という旧来の二分法に反対して、視覚とは、絶えざる変化の中から恒常性を抽出する能動的な過程である、と著者はいう。(様々な光線の状態のもとで木の葉の表面の色を常に一貫して緑と判断する など)
また、美術作品に含まれる、ある美的な属性(形、色、傾き、動きなど)を鑑賞するためには、その属性を選択的に知覚するための脳のある領野・細胞が必要であるという、視覚美のモジュール性が主張される。
そして、それら複数の処理・知覚システムを経た情報はいかに統合されるのか?という問いに対して、統合をおこなうような単一の意識は存在しない、と答える著者の説は興味深い。
しかし、これらを知るには、7~9章だけ読めばよい。それ以外は、美術史上の画家たちの言葉に、解剖学・生理学の知見を都合よくあてはめているだけで科学的でない。
1章に断りがあるとおり美術作品が呼び起こす情動について本書では扱われない。脳科学・神経科学で未だ語れないことの多さがよくわかる本。詳細をみるコメント0件をすべて表示