炎帝花山

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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本棚登録 : 22
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532170981

作品紹介・あらすじ

「刷新なき魂は澱んで濁り、日常の塵芥の中で腐っていく」奔放自由な生は、物狂いか、それとも…平安京の内裏で、富と権力を巡る謀略の"蜘蛛の巣"に搦め捕られた異形の帝。

感想・レビュー・書評

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  • 好き勝手やって暴れ回ったヒトなのは事実なんだろうけど、歴史書から伺える花山像より、素直で単純で強い。中々魅力的な花山になってます。

    だいぶフィクション入っているが、花山の焼身供養は強烈過ぎよ〜失敗して良かった。伊周の度脱も…まあこっちは成功すると大分話が史実と違ってくるので面倒だったか。

    なんと言っても「元慶寺の厳久」が大奮闘。頑張り過ぎの感も。詮子の寵愛は虚構だろうけど、国母の精神的バックボーンにこういうワケあり坊主がいたってのは面白い設定かも。

    叔父・藤原義懐の忠誠さは本物かな。主が花山でなければ、この人も違う人生があっただろうに。少なくても出家の息子を刺殺する羽目にはならなかった筈…(あ、ここはフィクション、多分。義懐に成信って息子はいないが、嫡出子は4人とも出家している!「照る中将」こと源成信と混乱した)。惟成はあまり出ない。

    冷泉院と花山の交流シーンが割とある。ま、母も姉も夭折してて数少ない身内だもんな。譲位後の人生が余りに長い2人。そう言えば異母弟の三条は全く出てこない。

    石山寺で結婚前の紫式部と会って、父・為時の失職を当てこすられる場面がちょっといい。ラストで「源氏物語」は小粋な小道具に使われる。

    伊尹の早死は朝成の怨念ってよく言うけど、5男2女を成した恵子女王を蔑ろにしたせいじゃないの(笑)

    伊尹の臨終に訪れた、懐子の異母妹・理子って、後半、為尊親王との絡みになって誰か気づいた。先週読んだ『藤原行成』に出てきた、所謂「九の御方」だわ。史実的には懐子と同母だけど。

  • 花山帝には奇妙な話がいろいろと伝わっているるので、それらの動機などに新解釈が見つけられれば嬉しい、と思って読みましたが、ちょっと期待はずれでした。

  • 花山院といえば、『花山院の出家』。高校の古典でおなじみです。
    おなじみではあるけど、兼家の陰謀によってまんまと出家させらてしまった後のことは何も知りませんでした。果たしてどこまでが本当のことなのか。焼身やら度脱やら、行き過ぎた信心というのか思考というのか、とにかくすさまじかった。
    権力の中枢を握っていた人がその場を引くとき、すぐに出家するのが私にはいまいちわからなかったのだけど、出家してもなお俗世からは離れられなかったり、僧という人を導くべき立場でありながらも仏に疑いを持つ厳久の様子が興味深かったです。

    やたらと自分の顔の美しさについて語る厳久がちょっとおかしかった笑

  • 第65代花山帝の生涯を描いた小説。
    聡明な少年時代から、帝になり権力闘争にまきこまれ出家し、焼身し仏に身を捧げたかと思えば実の叔母を愛人とするなど傍から見れば物狂いとしか見えないのだが、帝という立場に生まれ、迷いながらも自分らしく突き進んでいく花山の潔さに感銘を受けた。

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著者プロフィール

萩耿介
1962年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部ドイツ文学科卒。2008年『松林図屏風』で第2回日経小説大賞受賞。著書に『炎の帝』『イモータル』(中央公論新社刊)の他、『覚悟の眼』『極悪 五右衛門伝』などがある。

「2022年 『食われる国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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