大友落月記

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171476

作品紹介・あらすじ

「新人離れしたデビュー作」と各紙誌が絶賛した『大友二階崩れ』のその後を描いた新作が早くも登場。「泣く英雄」を描いた前作に対し、「武に生きる」男たちがやはり「義」をめぐり繰り広げる熱き物語。大友義鎮(のちの大友宗麟)が当主となった「二階崩れの変」の6年後、強大化した大友家に再び熾烈なお家騒動が出来。通称「小原鑑元の乱」を重臣たちを通して描く。
物語を引っ張るのは『大友二階崩れ』の主人公の長男。当主・義鎮が「政」より美と女を重んじた結果、「二階崩れの変」を平定した重臣たちと当主との間に権力の二重構造ができあがり、政変が勃発する。
前作で描かれたのは「義と愛」だったが、今作はもうひとまわりスケールが大きく、一寸先は闇の乱世における「義と利」「情と理」のせめぎあいがダイナミックに描かれる。一貫して流れているのは戦国の世とは言え、誰も戦を望んでいないこと。やむなく戦に臨まねばならなくなった時、どこで人としての筋を通さねばならないか、を各人各様に考え抜いている姿が描かれ、現代にも通じる普遍的なテーマが隠されている。

感想・レビュー・書評

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  • 吉弘鑑理の息子・賀兵衛を通して、「小原鑑元の乱」を描く。

    『大友二階崩れ』の続編。

    征服しにきた者と、敗れた者。
    支配する領主と、支配される民。

    本来なら反発しあう者たちが、みなひとつになる肥後。

    小原鑑元の自らの身を切って、民を優先する善政。
    誰もが思うことを述べ合える、風通しのよさ。

    あたたかく、心地よい肥後の暮らしが幸せだからこそ、避けられない結末がやるせなかった。

    最終ページに「登場人物・関係図」があるが、つけるなら巻頭に欲しかった。

  • 本作は同じ作者による『大友二階崩れ』の続篇というようなことになる。
    『大友二階崩れ』に出ていた吉弘鑑理(あきただ)の息子、吉弘賀兵衛鎮信(よしひろ かへえ しげのぶ)という若者―作中で「賀兵衛」と呼ばれている―が中心視点人物だ。
    『大友二階崩れ』の数年後の大友家中は、政変の収拾で力を得た田原宗亀が掌握する主流派、それに対する非主流派が在り、他方に“氏姓の争い”というような古くから家中に在る諍いに根源を有する反主流派が在った。賀兵衛は非主流派に拠って活動している。
    賀兵衛は武芸が得意な訳ではない他方、弁が立って、執念深く論戦を繰り広げるような若者だ。筋が通るような、通らないような政争と、政争に絡む兵乱という中、敬愛に値する人達を倒さざるを得なくなって行くことに涙する。そういう展開に引き込まれてしまった。
    それにしても…戦国時代の大友家の挿話というのは、こういう小説のネタの宝庫なのかもしれない。
    『大友二階崩れ』以上に力が入って、「続き…」が気になって、時間を設けてドンドン読み進め、素早く読了に至ってしまった。

  • 大分豊後の戦国大名、大友宗麟の元、他紋衆である小原鑑之と同紋衆の実力者である田原宗亀の争いを吉弘賀兵衛(鎮信)の目から描く歴史小説

  • 同作家さんの大友家にまつわる物語の3作目。正直前2作品にあまりピンと来なかったと言うか、文章も登場人物もいいのに、なんだかストーリーがこねくりまわされた挙句に、なんでそうなるって感じだった。でも今回は、こねくり回してることには違いはないんだけど、格段にストーリーが面白い。中盤ののどかな爽やかさから、一気に緊迫度を増す後半、そして直球勝負のラストまで、今回は最後まで惹きつけられながら読むことができた。おススメしたい。

  • 大友シリーズ、第三弾。悲しい、哀しい作品で、心が震えて、泪が零れました。
    秋の夜長に月を見つつ、読みたい一冊。

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著者プロフィール

1972年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。私立大学教授、法学博士、弁護士。2017年、「義と愛と」(『大友二階崩れ』に改題)で第9回日経小説大賞を受賞し作家デビュー。同作品は「新人離れしたデビュー作」として大いに話題となった。他の著書に『大友の聖将(ヘラクレス)』『大友落月記』『神遊(しんゆう)の城』『戦神』『妙麟』『計策師 甲駿相三国同盟異聞』『空貝(うつせがい) 村上水軍の神姫』『北前船用心棒 赤穂ノ湊 犬侍見参』『立花三将伝』『太陽の門』などがある。

「2022年 『立花三将伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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