グリーンスパン

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532192280

作品紹介・あらすじ

世界のマーケットを一瞬にして動かす、謎に満ちた男、グリーンスパンFRB議長。ホワイトハウスとのすさまじい軋轢と協調、FRB内部の葛藤劇など、知られざる実像と政策決定の裏側を、緻密な取材で描き出した全米ベストセラー・ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • FRB議長を長らく勤めたグリーンスパンの伝記というよりも議長としての舞台裏を丹念に綴った一冊。当時の歴史をリアルタイムで感じていた人にとっては、この政策決定の裏にはこういうことがあったのか、ときっと意外な事実も含めて面白いのだろうなとは思うが、自分にとっては登場人物が過去の人なのでまとめにしても冗長で読んでいるのが辛い。根回しが大事なのは日本だけじゃないんだってことはこういうの読むとわかると思いますが。

  • [金融市場の神主として]1980年代後半から2000年代前半に至るまで、世界に冠たるFRB(アメリカの連邦制度準備理事会のことで、いわゆる中央銀行にあたる連邦準備制度の中枢機関)の議長として、アメリカの、そして世界の金融市場に絶大な影響力を与え続けてきたアラン・グリーンスパン。FRBを始めとするワシントンの中での類い稀なる駆け引きの様子と、アメリカの景気を支え続けてきた決断の数々が描かれています。著者は、ジャーナリズム界の第一人者であるボブ・ウッドワード。訳者は、政治経済分野の翻訳で高い評価を得ている山岡洋一と高遠裕子。


    誰もがその行く末を知らぬ金融市場の赴く先を、建設的に曖昧で、かつ計算し尽くされた言葉で手繰り寄せて行くグリーンスパンはまるでデルフォイの神託のよう。FRBの絶対的独立性を前面に出しつつ、裏舞台や私的な面ではしっかりと影響力と情報の網の目を保持し続けるグリーンスパンの手腕も、独立性に関する日本の中央銀行のポジショニングを考える上で非常に参考になります。リーマンショック以後はいろいろと評価が定まらなくなった感がありますが、やはりこの人はただ者ではないと再確認。


    FRBが政策金利やFF金利(おおまかに言えばアメリカの短期金利のこと)に関する決定を下す上で、インフレとの絡みを優先的に考えていたのが、次第に金融市場の安定化という側面を強調して考えるようになってきているのが大変印象的。その変化は、FRBを取り巻く環境がどのように変わっていったのか、という点を照らし出しているようにも思えますし、グリーンスパンがその環境をどのように(意図せざる形で)変えていったのかという点すらあぶり出しているようでした。

    〜厳しい現実をあげるなら、FRBは経済について責任を負っているのであって、景気指標を正しく解釈する責任を負っているのではない。政策を間違えれば、言い訳はできない。〜

    単なるデータの羅列で終わる本ではないので、単純に「面白い」というのも本書の魅力1つです☆5つ

  •  経済関連の本を読んでいるとよくグリーンスパンの名前を見かける。FRBにて長く総裁を務めた人物なのだが、名前を見かける割にどんな人物なのかを知らなかった。という事で気になったので読んでみたのが本書。

     しかし、本書を読んで分かったのはFRB総裁としてのグリーンスパンがどの様な事を行ってきたかであって、いまいちグリーンスパン自身がどういう人物なのかは分からなかった。本書で度々、グリーンスパンは自分の発言を敢えて曖昧にしていると書かれているが正にその様な印象を本書からも受けた。

     なので、本書はグリーンスパン氏の人物を描いているというよりはグリーンスパンが総裁を務めた際のFRBの様子を描いた本という認識の方が正しい気がする。少し前に感想を書いた白川日銀現総裁の「現代の金融政策」が教科書なら、本書はドキュメンタリーだと思う。(最も国も経済も与えられた裁量も違う中央銀行の本を比べるのは乱暴だと思うが。)

     前述した通り、グリーンスパンが総裁を務めたFRBのドキュメンタリーに近いので、基本的には時系列に「こんな経済情勢の時にFRBではこんな事を行い、結果こうなった」というのが延々と描かれている。勿論、その中にグリーンスパンの人物を伺えるエピソードもあるのだけれども、基本はFRBの「こんな事を行い」は利上げと利下げが殆どを占めるのでn%利上げした、n%利下げした、利上げを見送った、利下げを見送ったという単語が非常に多い。

     なので、金融引締めや金融緩和が経済にどういう影響を与えているのかを知らないと本書を読んでもあまり面白くない気がする。たまにその施策がどういう影響を見込んでいるのかを補足してある事もあるが、基本的に金融政策が経済に与える影響を理解している事は前提条件にしている気がする。

     個人的にはドラマチックに描かず、淡々とFRBの状況を描いてくれた本書を読めて面白かった。ただ、それ故に登場人物が多すぎて政治に疎い私としてはいまいち理解しきれない部分は多かった。アメリカの政治についてもう少し知識があるともっと刺激的だったんだろうなと思う。

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  • グリーンスパン時代を、時の流れとともに、金融政策決定の流れに忠実に書かれた本。
    FedやFOMCの仕組みを掴むのに役立った。また、当時の米国経済の様子と、金融政策、政権運営の関係を知るのに興味深かった。
    著者は、ウォーターゲート事件を取材したスターライターだそう。
    ただ、米国の景気が良くて、グリーンスパンの運営が上手かったのは分かるけど、なぜ、そこまでカリスマ的な存在になったのかが、いまいち理解できなかった。結局景気がよかったから?
    グリーンスパンが、意外と政治的野心が強いことを初めて知った。

  • 世界のマーケットを動かす男・グリーンスパンFRB議長。ホワイトハウスとの確執
    ・協調・軋轢・・・FRBの政策決定の舞台裏を描く全米ベストセラーノンフィクション。

  • FRBで長年働いてきたグリーンスパン議長の話。FRB内での議長の立ち回りの難しさ、各方面へのやり取りなど非常に難しい局面にたたされながらもうまい着地点にもっていけるすごい人っていうのがよく伝わってくる。この本を書いたボブウッドワードって言う人も結構有名でこの人だからこそここまで如実に書けたのかもと感じさせる本。金融の知識も入るけれど、ある程度基礎知識がないとちょっと読んでて難しいかもしれない。

  • さすが世界経済をコントロールするだけある。まだ途中。

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著者プロフィール

米国を代表するジャーナリスト。1943年生まれ、イェール大学卒。50年間にわたりワシントン・ポスト紙の記者、編集者を務め、ニクソンからバイデンまで歴代大統領を取材・報道しつづけている。
ウッドワードは同紙の社会部若手記者時代に、同僚のカール・バーンスタイン記者とともにウォーターゲート事件をスクープし、ニクソン大統領退陣のきっかけを作ったことで知られる。このときの二人の活動から「調査報道」というスタイルが確立され、また同紙はピュリツァー賞を受賞した。ウッドワードはその後も記者活動を続け、2002年には9.11テロに関する報道でピュリツァー賞を再度受賞。
『大統領の陰謀』『ブッシュの戦争』『FEAR 恐怖の男』『RAGE 怒り』など、共著を含めた20冊の著作すべてがノンフィクション書籍のベストセラーリスト入りを果たしている。そのうち14冊は全米№1ベストセラーとなった。現在はワシントン・ポスト紙アソシエイト・エディターの責にある。

「2021年 『PERIL(ペリル)危機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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