「東京裁判」を読む

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
4.08
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本棚登録 : 90
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532196455

作品紹介・あらすじ

第二次世界大戦の戦勝国が敗戦国・日本の戦犯を断罪した東京裁判は「文明の裁き」なのか?いまこそ感情論も政治的解釈も越えて、史実で史観のゆがみを正す時-判決後60年を経て遂に現れた原資料を3氏が徹底的に読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 後からの評論・講釈は無情だ。
    昭和の軍人・政治家・文化人の大概の功罪、その位置関係がかなり解った。
    個人の評価で木戸幸一や田中隆吉等特に狡猾で卑怯な人間のくだりは異常に気にかかる。また、無能力にも拘らず、海軍大臣にまでなり、死刑にならなかったことを大喜びし、戦後身を消して、何も語らず92歳まで天寿を全うした嶋田繁太郎も印象深い。
    これは自分の社会的な生き方に対する本能的な「畏れ」なのか。
    また、軍事官僚として育ち極めて真面目であったが、大局的な思考がなく、性格狭隘で知識や情報が偏った東條像は痛いほどリアルに浮かび上がってくる。
    持って生まれた能力・性格とはいえ後天的な学習環境の偏り、歴史観・哲学的な厚みがなく、思考の枠の狭さなど、やはり、あんな大事な局面で指導者に選んではいけなかった人であったのであろう。目標優等生はリ-ダ-には不適。
    それを、あえて選んだ木戸の罪は如何ばかりか、それは日本にとっての大悲劇であった。

  • 加藤陽子「歴史の本棚」より

  • 東京裁判は戦勝国による敗戦国に対する報復、政治的なものであった。この裁判に関わった人は、戦争では戦勝国も裁かれなければならないことを犯してきている、将来的に歴史がこれを裁けるように、東京裁判を歴史の証左とすることが求められた。戦後半世紀以上経って漸くその資料が公開されて、日経新聞が東京裁判の評価を問うことになった。戦争は人を残虐にする。多くの人に悲劇をもたらす。戦争を導いた当時の日本のリーダーは酷かったが、米英が日本を戦争に追い込んだことも事実である。戦争を避ける努力は数年先を見据えて、政策、自衛力、政府人事などの対応力を構築しなければならない。不可避への対応も含めて。

  • 判決後60年を経て遂に公開された原資料(国立公文書館資料)を、専門記者と二人の戦後史のエキスパートが徹底的に読み込み。
    3氏が徹底的に読み解く。

  • 戦争関連の歴史モノ、といえば、「半藤一利、保坂正康、加藤陽子」というのが私的テッパンなのですが。
    この本を見たとき「オシイ!あと一人!」と思ったら解説が加藤陽子さんだったので、我が意を得たり!と思いました。 笑

    東京裁判。
    日本を考えるにあたって重大な意義を持つ裁判であったことは重々承知なのですが、如何せん膨大過ぎて理解が断片的になってしまう…。
    全体像をつかめるように努力しつつ読みました、が…。
    結論を言うなら玉砕。
    相手は巨大だった…。
    つい鼎談ばかりに目が行ってしまう。
    とはいえ鼎談部分すごく興味深いし面白いので、ここだけでも一読の価値あり、と思います。

  • 329.67||Ha

  • 主に鼎談部分を流し読んだのみ。

  • 戦時中に日本が犯した愚行、そしてその一方で東京裁判の中で日本側がきちんと反論しなかったことが、今日の我々や近隣諸国の史観に大きな影響を与えていることがよく分かる。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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