資本主義は嫌いですか: それでもマネーは世界を動かす

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532197179

作品紹介・あらすじ

資本主義においては、バブルの発生とその崩壊は避けられない現象だ。少しでもその被害を少なくするために、経済学はどう答えるのか、金融規制当局は何をなしうるのか。リーマン・ショックから5年、世界金融危機は収束に向かうのか。各紙誌絶賛の名著をいよいよ文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • リーマンショックから5年たったが、今後もあのようなバブル発生と崩壊は起こりうるのか。リーマンショックをめぐる諸問題について再考したいと思い選んだ本。バブル発生の要因の考察をした1章や、金融規制のあり方をめぐる各界著名人の主張を整理し解説した2章、単純なようで奥が深い「流動性」の問題を論じた3章と、読み応えがある。特に2章では、リーマンショックの2年前に行われた学会での議論が紹介されているが、それがあたかもリーマンショックを予言するかの内容だったのに驚いた。また、銀行の自己資本に関する「時価会計」が流動性の危機のスパイラルに与える役割等も興味深かった。「今後も金融システムをめぐっては規制と緩和が繰り返されるだろう」と著者は締めくくっており結論は弱い気がするが、全体としては満足のいく内容。

  • ちょうど10年前に起こったサブプライム危機について書かれた本。サブプライム危機ではなく、その前段階としてのバブルに焦点が当てられている。「バブルの頻発」は世界全体の高い成長率を維持するために、経済システムの「自動制御装置」が働いた結果であり、高成長が難しくなる局面では、民間(とくに金融機関)や政府が、様々な手段を動員して高成長の維持を図る。それが「バブル」を引き起こすと結論づけている。

    アメリカの住宅バブルの背景として「グローバル・インバランス」があり、経常収支赤字国のアメリカに対して、国内の投資不足により「貯蓄過剰」である新興国が資金を貸し付けたことで、アメリカの住宅バブルが形成されたとされる。また、ティロールの「動学的効率性の条件」により、投資収益率が経済成長率を上回るためには「バブル」の存在は一概に悪いものではないと筆者は主張している。

    他にも、「時価評価会計」が逆説的に金融システムの不安定性を増幅してしまう現象など興味深い事項が多く語られているが、さまざまな経済学者の学説が次々と手品の如く紹介されており、読むのに苦労した。内容が雑多であり、経済学にある程度詳しくないと論旨が掴みづらいと思う。

    評点: 7.5点 / 10点

  • エッセイのような軽い語り口で、最新の経済理論を紹介している。
    バブルとはどのようなものか、サブプライム危機がどのようなメカニズムで発生し、それに対してどのような対策が採られたのかなど平易な表現と文章で解説している。

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著者プロフィール

慶應義塾大学経済学部教授
1956年東京生まれ。81年慶応義塾大学経済学部卒業。86年同大学院経済学研究科修了。同年同大学経済学部助手。86年7月米国ロチェスター大学に留学、89年同大学経済学博士号取得。2019年より、経済財政諮問会議民間議員

「2020年 『WEAK LINK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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