- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532198367
作品紹介・あらすじ
■スポーツやピアノの練習においても、テストや受験勉強においても、もちろんビジネスの場においても、私たちが成果を出そうと努力するうえで、最大の敵は集中が続かないことだ。
集中力には個人差があることは、多くの人が経験的に理解するところだろう。話しかけてもなかなか気づかないほど目の前の勉強や仕事に集中する人もいれば、注意散漫で落ち着かず、仕事をしていたかと思えばいつの間にかネットサーフィンに移行している人もいる。
■集中力は生まれ持ったもののようにも思えるが、著者によればこれは筋肉のようなもので、使わなければ落ち、うまく使えば鍛えることができる。そして、集中力は「自己への集中」「他者への集中」そして「周りの環境への集中」の3つに分けることができ、スポーツ、芸術、ビジネスとどんな分野であれ、成果を出す人はみなこの3つすべてに熟達しているという。
■本書では、さまざまな事例から「集中力」の謎を多角的に掘り下げ、ふつうの人と「できる人」を分ける「注意」とは一体何なのか、また集中力を育てるにはどうしたらよいのかを考察する。
だれもがいつでもネットにアクセスでき、情報が氾濫する現在、集中力の重要性はますます大きくなっている。私たちの人生を左右し得る集中力の謎と仕組みをやさしく解き明かした本書は、成功をつかむためのヒントとして、多くのビジネスパーソンに役立つ1冊である。
■著者ダニエル・ゴールマンは、「こころのIQ」である「EQ」の提唱者で、『EQ こころの知能指数』(講談社+α文庫、1998年)は世界500万部、日本でも80万部の大ベストセラーとなった。
感想・レビュー・書評
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Focus(フォーカス) 集中力
著:ダニエル・ゴールマン
訳:土屋 京子
日経ビジネス人文庫 こ15 1
人生を左右するほど重要な集中力の解説と、このスキルを高める方法論が述べられています。
気になったのは以下です。
■鋭敏な能力
・集中力とは、自己への集中力、他者への集中力、下界への集中力の3つに分類される
・3タイプの集中力は、リーダだけでなく、すべての人間に有益だ。
・注意とはラテン語の手をさしのべる、から生まれた言葉で、「注意は人間の認識を裏付け、思考や感情を随意に統制する」
・情報過多の時代に、情報が消費するのは、受け手の注意力である。したがって、情報が豊富になれば、注意力の貧困を招く。
■注意を解剖
・集中を乱すものは感覚的なものと、情動的なものに分けられる
感覚的なものは、それほど問題にはならない
情動的なものは、もうすこし手ごわい
・集中が低下すれば、それだけ結果は悪くなる
・選択的注意の能力が高ければ高いほど、目の前の活動に没頭できる
・人生に欠くべからざる能力の1つが集中力である
・集中できると学習効果も上がる。
・本や文章を読むとき、人の頭は、読んでいる内容の意味が通るように頭の中でモデルを構築しながら、同じ話題に関して自分がすでに知っている世界観と関連づけして読んでいる
・このようにして、ネットワークのように理解がつながっていくことが学習の大前提となる
・理解のネットワークを構築している最中に気が散る回数が多いほど、集中が切れる時間が短いほど、学習の成果は穴だらけとなる。
・「深い理解」には集中の持続と対象への没頭が必要で、根拠の怪しいこまぎれの事実を追いかけて跳び歩くネットの世界と対極にある
・グッドワークとは、能力的に優れている、夢中になって取り組める、やっていることの価値を倫理的に肯定できる理想な状態をいう。
・このような仕事は全身全霊を注ぐことができる天職である場合が多い。
・仕事に没頭できる状態は、快感、フロー状態である。
・なぜ、何年も考え続けてきた難問が、あるときいきなり解けるのか。
私たちの脳は、2つの独立したシステムからなりたっている。
一方ノシステムは、大容量の計算能力を備えていて、つねに稼働していて、黙って様々な問題を解決し複雑な問題にいきなり解答を示して私たちを驚かせる。⇒<ボトム・アップ>
<ボトム・アップ>皮質下からの働きかけ
<トップ・ダウン>大脳新皮質からの働きかけ
<トップ・ダウン>が処理しているようで、実は<ボトム・アップ>が対応しているケースが多い。
・この2つの脳は、最小の努力で最大の結果が得られるように、役割を分担しあっていることがわかっている
・自転車の運転などのように、なれてくると、<ボトム・アップ>が中心に対応しているが、意識してしまうと、<トップ・ダウン>がでてきてうまく行かなくなってしまう場合がある。
・ひらめきを得るときは直前に脳内にリラックスした意識状態を示すアルファ波が現れている
・創造的ひらめきが生じるとき、夢や比喩などに関する脳の領域にガンマ波が出現する
■集中と夢想のバランス
・どんな作業だと集中できるか 性交、運動、会話、遊び という順
・瞑想の基本では、マインド・ワンダリングに気がついたら、心を集中の焦点にもどすようにと教えている
・OA機器から離れると良い効果がある。静かな時間は、集中力と心の平静を回復してくれる
・公園や木立の中を散歩すれば、注意を休めることができる。自然の中で過ごす時間は、心の疲労回復につながる
■自己を知る
・決意を押し通すには、自分の価値観に対する途方もなく強い確信が必要。
⇒自己認識はきわめて重要な集中であり、人生の指針となる内なる声に耳を傾けるための集中なのである
・ある選択が間違っている、正しいと感じるたりする時の身体感覚をソマティック・マーカとよんでいる。この<ボトム・アップ>が直感という形で結論を瞬時に知らせてくれる
・自己認識には、客観的自己認識と、主観的自己認識がある
・人間のやることは、脳の自己認識能力によってコントロールされている。
メタ認知のおかけで、人間は自分の脳がどう働いていて、どう調整すればいいのかがわかる
・マシュマロテスト、幼少期の自制レベルが、社会階層、出身家庭の経済力、IQと同じように、成人後、経済的成功や健康、犯罪歴の有無を正確に予言していたことだった。
ようは、子どものころに、マシュマロを食べないでまてる子は、成功する可能性が高いということだ
■他者を読む
・情動のシグナルを読み解く能力は、認知的共感と呼ばれている。他者の見解や思考を理解する能力のことである
・相手と気持ちを共有することは、情動的共感と呼ばれている、相手が感じている喜びや悲しみと肉体的にも共鳴する
・共感的関心とは、他者を心配し、必要なら、援助の手を貸すところまでに踏み込む
■もっと大きな文脈で見る
・データを分析すれば、システム・ダイナミクスが見えてくる
・ビッグ・デタを処理する数学モデルが単純化されてすぎていて、解析結果が数字で示されているが、人間はその結果を信頼しすぎるきらいがある。
・システムは、一見しただけでは見えてこない。人間は、生命を支える数々のシステムのどれ1つとして、直接知覚することができない
■理にかなった練習法
・1万時間の法則は、ただやるだけでは身につかない、不充分である
①意識的に練習することが必要、トレーニングに全神経を傾注する必要がある
②練習のあいだいかに集中しているかどうかが大きな差が出る
③ミスを認識して、修正できるようなフィード・バックループを組まれていること
・1点に集中するこは注意の訓練の基礎であるが、その先は、目的に応じたトレーニングが必要になる
・ポジティブとネガティブにも適切なバランスをとる必要がある。過度なポジティブは浮かれ過ぎるきらいがあり、その比は、2.9:1 ぐらいがいいことが分かっている
・教育課程に注意トレーニングを盛り込むと、学習全体をレベルアップできる
・子供たちの学習効果を高めるには、平静さを取り戻すためのプログラム作りをおこなった。
マインドフルネスによる呼吸法で、自己管理ができるようにすることであった
・子供たちに、腹がたった場合に、信号機を頭の中に思い浮かべるようにトレーニングした
赤:ストップ つまり落ち着けということだ
黄:スピードを落として、可能な解決策を考えて、その中から最良の解決策を選べ
青:うまくいくかどうか、やってみよう
ということだ
■良きリーダの集中力
・ストーリで訴える方法が見直されている。ストーリは、注意を引くだけでなく注意を保持できる
・ジョブスの戦略は、シンプルだ。それは集中すること。多数の品種を4つの品種に集中する方針を打ち出した
・リーダに必要なこと ①直観を信じること、②人の話をちゃんときくこと、③人と共感を分かちあうこと
・優れたリーダの条件とは
①IQは高いにこしたことはないが必須の条件ではな
②1つのメタ能力の重要性、それが自己認識である。自分の長所短所を知った上で、自分の能力を補ってくれるチームを作り上げるためには、自己認識が必要である
■より大きな視野を
・難問を解決するには、既成概念にとらわれない考え方が必要であること
・しかし真の解決にはどのような場合にも、隠れた要素がある
・それは、自分自身と他社と、コミュニティや社会に対する注意と理解を高めるということである
・複雑かつ緊急な問題を解決するには、自己認識と行動原理、共感と同情、そして、問題となっているシステムに対する正確な理解が必要となる
目次
第1部 「注意」を解剖する
第2部 自己を知る
第3部 他者を読む
第4部 もっと大きな文脈で見る
第5部 理にかなった練習法
第6部 良きリーダーの集中力
第7部 より大きな視野を
原注
訳者あとがき
ISBN:9784532198367
出版社:日本経済新聞出版社
判型:文庫
ページ数:384ページ
定価:850円(本体)
発売日:2017年10月02日第1刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20171231読了。
集中力、というタイトルだが、内容的にはとっちらかってる。
序盤と終盤は集中力の種類と、鍛え方、どうパフォーマンスにつながるかという話があり、集中力と関係のある話。
中盤はシステム思考についての話が長く、あまり集中力と関係がない。
集中力があることによるメリットはたくさん述べられるが、鍛え方としては主に以下の2つ。
- 瞑想、マインドフルネスを行う
- ゲームを行い認知能力を上げる
2つめは意外な回答に感じたが、基本的に100%の集中力をもって取り組めるものが、集中力を養うのにも最適ということらしい。
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結局何がいいたいか不明。
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マインドフルネス大事
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集団的浅慮
マインドフルネス
従業員満足度 -
立ち読み。
定番の事例集じたてだが理にかなっているので思ったより納得度が高い。
目新しさはないがそうだよねなお話。