問題解決ラボ 「あったらいいな」をかたちにする「ひらめき」の技術 (日経ビジネス人文庫)

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532199685

作品紹介・あらすじ

○2015年2月にダイヤモンド社から刊行された同名書の文庫化。『週刊ダイヤモンド』の連載「デザイン目線タテ・ヨコ・ナナメ」を加筆したもので、カラー写真とともに著者の創作の秘訣が明かされる。

○著者にとってデザインとは「日常のちょっとした出来事を見逃さずに、そこから何らかのアイデアを抽出すること」。本当の課題は、相手の話の「ウラ」にある、「ありそうでなかった」は「ふとした不便」から見つかる、「ボヤッと見」で視点をズラす、既視感も時には「武器」となる、「チマチマメモ術」でアイデアに化学反応を起こす、「光る脇役」から考えてみる、デザインの「正解」は不安と安心の狭間にある、メタファー思考で「例えて伝える」技術--など、クリエイターのみならず、ビジネスピープル全般に参考となる手法が満載。

感想・レビュー・書評

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  • デザイナーとして羽ばたくためのヒントが詰まっている。
    だけど、これって違う仕事でも当てはまるね?
    問題解決のためのひらめき・アイデアを思い付くのは顧客のためでもあり、自分のためでもある。

  • 「ANOTHER SKY」のロゴ、コクヨの「GLOO」、大正製薬の「RAIZIN」など、「これも佐藤さんだったのか…!」と思うことがよくある。膨大な数のプロジェクトを抱え、日本と海外を行ったり来たりしている超人気デザイナーのはずだが、なんだかいつ見ても、まったりとした空気を漂わせていて余裕がある。この本の語り口からも、ピリピリとした印象は見受けられない。
    ハウツー本というより、エッセイみたいで、楽しく読むことができた。

    以下、特に気に入ったところについて書く。

    ①モノとモノの「スキマ」、モノとユーザーの「スキマ」を見てデザインする
    「本来はそこに有るはずなのに、なぜか無い」ものを「補充する」くらいの感覚でデザインする。
    この表現、感動を覚えてしまった。発想を飛躍させること、新しい価値を生み出すことに囚われすぎて、肝心のユーザーニーズから離れて行ってしまわないよう、これくらいの感覚を持っておくことが大切だと思う。

    ②ものごとを「凝視」するのは、それ以外のものを「無視」していること
    これと似たことを、後にルネ・マグリットの「イメージの裏切り」について触れながら、話されている。
    <描かれている物体を、誰もがパイプだと思う状況で、「これはパイプではない」と思い込ませる。するとその物体は、パイプ以外のすべてのものに成りうる可能性を生じる。よって人々は、猛烈な思考の自由を手にすることができるようになる。>
    一つに決めるということは、それ以外の全てを捨てることを意味する。ひっくり返して見れば、凄まじい自由が広がっているかもしれないのに、案外それに気づかない。知らず知らずのうちに、選択肢を狭めてはいないか。

    ③図と地の反転現象
    モノは背景から浮かび上がらせることで初めて認識できる、という考え。商品Aの価格を安く見せるには、単純にAを値下げするという方法だけでなく、他の商品B・Cの価格を、あえてAより高く設定し、対比で安く見せるという方法も取れる。この考えをうまく働かせるためには、「図」と「地」を決めつけて物事を見るのではなく、物事を成すあらゆる要素を、等しく見る目が求められる。

    ④右脳と左脳の両方を、半分ずつ使いきるバランス
    右脳のひらめきから始まったアイデアは、左脳で情報を整理していき、伝え方を考える。左脳でロジカルに考えてきたアイデアは、最後に右脳で崩して、遊びを加える。佐藤さんは、右脳と左脳を、常にどちらも半分ずつ使いきるイメージで仕事をしているらしい。素人には容易く真似できそうにないが、ちょっと挑戦してみたい。

    ⑤「しっくりくる」感覚を目指す
    人の本能、人の性質の根源に、深く刺さるものを目指してモノをつくるのは難しいが、うまくいけばロングセラーになり得る。本書で紹介されていた、化粧品ブランド「THREE」のパッケージの例がおもしろかった。「おいしそうなデザイン」を目指した、とあり、愛用者として思わず深く頷いてしまった。「おいしそう」というイメージから、「体に良いものを吸収できそう」という、ポジティブなイメージに繋がっている気がする。

  • 問題解決とひらめきをするための考え方と、各考え方に応じたデザイナーとしての著者の事例が紹介されている。平易な表現で読みやすくなっているため、ひと通り読めば役立つヒントを何か得られるかもしれないというもの。
    書かれている内容は私の感覚と合っているものが多くて共感を得ることができた。
    ただし、この手の本は著者の主観を記したものであり、学術的根拠や再現性に乏しいため、あくまでも参考程度と割り切って読むべきであろう。
    特に良かった点は
    86ページの「アイデアの原材料となる情報を収集するコツとしては、白黒をつけずに「グレー」な状態を維持すること。」と、
    205ページの「伝わらないメッセージは「独り言」みたいなもんです。」の2箇所。

  • フラットな心持ちで世間を見る、何かと何かをいつかどっかで結ぶためにストックする、この2点が気に入りました。

  • 新しい視点で、直面している問題を解決するために必要となる、デザイン目線で考えることを身に付ける為のスキルを、著者のこれまで取り組んできたプロジェクトを題材にして紹介してくれる。新たな考える切り口、視点を与えてくれる。

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000940750

  • デザインは見た目が大半だと思っていたが、完成するまでの過程が大事で、いいと思うデザインは土台がしっかりしてるんだということがわかった。普段仕事をする上で実践できそうな考え方は参考にしていきたい。とにかく物事をもっとシンプルに考えるようにしたいとおもった。

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著者プロフィール

デザインオフィス nendo チーフデザイナー
1977年カナダ生まれ。2002年早稲田大学大学院修了後、デザインオフィス nendo設立。建築・インテリア・プロダクト・グラフィックと多岐にわたってデザインを手がける。作品はニューヨーク近代美術館(米)・ポンピドゥー・センター(仏)・ヴィクトリア&アルバート博物館(英)など世界の主要美術館に多数収蔵されている。TOKYO2020の聖火台をデザインし、現在は2024年稼働予定のフランス高速鉄道TGV新型車両のデザインに取り組むほか、2025年大阪・関西万博 日本政府館 総合プロデューサー/総合デザイナーを務める。

「2022年 『半径50メートルのセカイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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