- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532240158
作品紹介・あらすじ
ハンニバル、孔明、チンギスハン、信長、ナポレオンなど、偉人から「ビジネスに活きる戦略」を学ぶ!
感想・レビュー・書評
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著者はこれまでも歴史をテーマにした書籍を出版しており、何冊か読ませてもらいました。
あまり戦略論は詳しくないのですが、古代ギリシアから現代の湾岸戦争まで、戦い・戦争を軸に広く世界史を眺め、流れを追いながら、勝利の条件などを見出だし、現在のビジネスへの応用を紹介しています。
世界史としては範囲が広く、この一冊で世界史を学ぶとか戦略を学ぶというよりも、これらのガイドブックとして、またビジネスへの応用へのヒントとして読むほうが適していると思いました。いずれにしても、いつもの著者らしく、分かりやすく書かれており、入門書としてもいいと思います。
▼歴史には、数え切れない人たちの決断の成否が克明に描かれています。世界史は勝者の歴史ですが、それは命がけで戦い、勝利をつかんだ者たちの駆け引きの歴史、つまり戦略の歴史でもあるのです。私たちは変化し続ける現代を生き抜き、他の人より多くの成功を手にすることを望みます。歴史から戦略を学ぶことは、過去に成功を成し遂げた人たちの「勝利の法則」を知ることに他なりません。
▼戦略とは勝利を収めた人、成功を勝ちとった人たちの思考の集大成です。そして、それらは時の流れの中で多くの人に研究され、実行され、さらに磨かれて結晶化していきます。歴史の中で淘汰されながら生き残った鉄則を学ぶことは、読者のみなさんの戦いにも必ず役に立つはずです。
▼「勝者と敗者を分けるのは何か?」4つの要素
①局所優位を生み出す力(限定的な強み)
すべての場面で強い軍隊など存在しません。あらゆる集団は、まず限定的な場面で勝利を収めるための、局所優位を産み出せる力をてに入れようとしてきました。
②強みの活用法・運用法(ノウハウ)
自軍の強みを最大限発揮する条件を整え、逆に相手の強みを潰す、発揮させない対策をする能力のこと。相手の強みが支配する場所から逃げることも重要な選択肢の一つです。
③外界の翻訳力(問題を再定義して機会を見つけ、組織を動かす力)
現在がどんな状態で、自分たちが何をすべきなのか。環境や敵情は刻々と変わることから、現状に対して正しく問題を再定義するリーダーがいる側が優位になります。
外界の翻訳力とは、リーダーの問題定義力でもあります。
④探索力を増強する力(新たな情報や知恵を取り込む力)
掲げている目標は、どのような情報や知識を集団の中に取り込むか”探索力”を決定します。
探索力を補強する目標とは、勝利に必要な知識や情報を集める引力を持つ目標を作り上げることです。達成するためには、新たな情報や創意工夫が必要だと認識させる目標を意図的に立ち上げるのです。
▼突出した目標を持つ側には、常識に囚われる側にはない戦略眼があります。彼らはその突飛な目標ゆえに、より多くの情報を知りたがり、変化に反応し、敵の弱点を執念深く探し、分析のレベルと幅が他者には想像できない領域に達するのです。これらが社会文化、組織文化であった国家や集団が歴史の中で常に勝者となってきたのです。
▼戦略とは本来、未来を見つめる道具です。
<目次>
第1章 古代の戦いから「戦略思考」を学べ
第2章 中国の軍師から「逆転力」を学べ
第3章 巨大帝国から「実行力」を学べ
第4章 戦国時代から「競争戦略」を学べ
第5章 植民地戦争から「危機のリーダーシップ」を学べ
第6章 近代の戦争から「組織運営」を学べ
第7章 西洋列強との戦いから「情報活用力」を学べ
第8章 世界大戦から「イノベーション」を学べ
第9章 現代の戦争から「学習力」を学べ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大河観てこれを読むと
趣味を仕事に繋げられる。
確かにこの本単独は気付きというより知識の話だが
仕事とのイメージ付けがしやすく、下手な実需本より
最小インプットで最大出力発揮できそうな気がしてきた。
戦争で勝つには
まずは目的、課題、手段を設定する事が大事。
打倒平家もキングダムも、ピンチをチャンスに
変えたのはそれ。
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題名が素晴らしいし、企画もいいのですが、少し上っ面なので、発見や驚きが足らない。テーマを1/3くらいに絞った方が良かったかも?
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あらゆる勝負には戦略がある
所蔵情報
https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/detail?rgtn=101840 -
古代ギリシャから湾岸戦争(1991年)まで、3,000年の歴史上の争いから「勝利の法則」を抽出。
「戦略思考」「逆転力」「実行力」「競争戦略」「リーダーシップ」「組織運営」「情報活用力」「イノベーション」「学習力」の9つの観点から、世界史のダイナミクスをつかむことができる。
このように、歴史上の戦争において、それを指揮した人物やその戦略に焦点をあて、これらを現代のビジネス戦略に活かす方法を説いている。
そして、その要諦は、下記のとおり。
・強い相手とは正面から戦わず、防衛の弱いところを攻める
・勝てる領域を選んで戦えば負けない
・群雄割拠の中では、弱者同士を団結させない
・組織は最も弱い部分が全体の成果を決める
・より速く動きながら、機会を見つけた者が勝つ
・組織には常に戦略的な撤退と再集結が必要である
・当事者意識の増殖が逆転勝利を生む
・どんな組織も変わり続けないと生き残れない
たとえば、弱者が強者に勝つための方法を説いた、ポエニ戦争(紀元前264年、ローマ対カルタゴ)からウォールマートの出店戦略に関する話し。
当時ローマはイタリア半島で勢力を拡大し、植民地を広げて地中海への影響力を強めていた。
一方、カルタゴは現在のチュニジア周辺で建国され、シチリア島の西側まで支配し、ローマと衝突。
カルタゴのハンニバルは10倍のローマ軍を敵の意表を突く攻撃で勝利した。
ローマは、戦争はスペインかシチリア島で行われると思っていたが、カルタゴはスペインから隠密に東進し北イタリアからアルプスを越えて侵入。
また、カンネーの戦いでは、突撃型の将軍にわざと負け、守備的な将軍には勝つ偽装を繰り返し、ローマ軍に突撃型の将軍の方が有利と思わせ、ローマ軍を巧みに引き込み、背後に回り挟み撃ちにして殲滅した。
このような戦術を今日おこなっているのが、世界最大のスーパーマーケットチェーン、ウォールマートである。
同社は1969年に設立された後発企業であったが、勝利の最大の理由は、これまでとは違う出店戦略にあった。
スーパーマーケットの出店には10万人以上の人口が必要とされていたが、ウォールマートは1万人規模の都市に、業界の常識を無視して小型店を出店。
彼らは、小型店をネットワーク化して、150店舗で100万人の人口をカバーするという別の勝算を持っていたのである。
このように、弱者が強者に勝つためには、成功の定義を変えて戦うことが重要。
ローマ軍の大軍が全滅したカンネーの戦いでは、ローマ側は「中央の突破」が勝負の鍵だと考えたが、ハンニバルは「敵の完全包囲」こそが勝利の鍵だと考えていた。
相手が「攻めてくるだろう」と思わない場所を戦場とすること。そしてライバルとは違う点を勝利の鍵として設計すること。
この二点が敵の意表を突く勝利を生み出すのである。
戦争というと、遠い過去のものに思えるが、まさに今、ロシアとウクライナが戦禍にあり、本書はそれについても示唆を与えるものと言える。
ただ、もう少し紹介する史実を絞り、その内容を掘り下げると同時に、そこから敷衍できる戦略思考について、より詳しく記載したほうがわかりやすかったと思う。 -
これは、今自分の周りにある事象に当てはめてみても分かりやすく、置き換えてみれば現在のこの状況について過去にも同様のことがあった。となると、判断する時の留意点とは?となる。