南アフリカの衝撃

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532260644

作品紹介・あらすじ

アフリカ最大の経済力を擁し、グローバル化が進む南アフリカ共和国。一方では、「犯罪天国」といわれるほど凶悪犯罪が多発し、所得格差が世界最高水準になるなど、グローバリゼーションの危険な側面が露呈している。アパルトヘイト脱却後の知られざる現実を赤裸々に描く。

感想・レビュー・書評

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  • アフリカの歴史と南アフリカのことがわかりやすく凝縮されてます

  • 2009年刊行。著者は日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター長。◆ポスト・アパルトヘイト下にある南アフリカ共和国。隔絶した地域大国、潤沢な地下資源、止まらない治安悪化、経済格差・貧富差は世界一。多様に語られる同国の内情を史的展開を解説しつつレポートする。◆あまり数が多くないアフリカをテーマとする新書というだけで意味はある。また、アフリカ対象のODAが拡充する日本、日本商社の資源ビジネスなど日本特有のテーマに言及するのも良。◇ただし、他方で中国のプレゼンスの強さが浮かび上がる点も否定できない。

  • 例えば、ビジネスで南アフリカとのつながりのある人が読むと、おっ! かも。

  • 2015

  • 警官は薄給で毎年200人以上殉職
    HIVに570万人感染、世界一

    資源産業は成熟産業で雇用はもう増えない
    かといって製造業は伸びていない
    農村も駄目、というか、そもそもない
    アパルトヘイトかで黒人農民から土地を奪った。
    そのため黒人農村が消滅

    その後雇用主がいなくなり、黒人の農場労働者も減った

    農業部門の雇用は5%
    ※マレーシア15%、高度経済成長終わりの日本で16%
    明らかに低い、とのこと

    中国人の警官がいて、中国人の被害だけ担当
    南アには少なくとも20万人の中国人が住む
    ※アフリカ全土で75万人

    サブサハラの繁栄は、資源高による
    サブサハラが発展すると、南アも恩恵

    著者はジェトロの人

    他アフリカ人と仲悪い。傲慢と言われる
    南ア政治、理想追求の時代を過ぎて黒人間の権益争い
    1300人の日本人、ケニアで350人

    アフリカ、世界のコメの25%、麦の15%飲み込む
    輸出農業を持つのはコートジボワール、南ア、ケニアくらい
    ボーア戦争、イギリスでは教えない?
    ボーア戦争で国際的に孤立した英国、日英同盟へ
    ボーア戦争肯定の論陣で「サー」コナン・ドイルに

    白人と恋愛、性交、結婚駄目、名誉白人。日本。韓国、台湾人

    ボツワナ、世界最大のダイヤモンド産出国に
    黒人は殺され、白人は自殺する

    ANC、南アフリカを統治不能にせよ
    資源高とランド連動
    アフリカ人の送金需要、BOPビジネス

    ケープタウンとドバイ

  • 新書サイズなので読みやすい。南アフリカに旅行で行くので予備知識として。実際にザンビアに住んでいて南アフリカのすごさを感じるので勉強になりました。

  •  雑食系読書。この本は「コードギアス」を見て近代的な人種差別に興味が湧いて。事実アパルトヘイト時代には日本人は「名誉白人」とされていてコードギアスの「名誉ブリタニア人」もここからきているのではないか。
     南アフリカに限らず植民地時代からアフリカでは人種差別が存在していたし、今も無くなったとは言えないだろう。しかしアパルトヘイトが他と異なるのは差別を強要していることだ。差別をしなければ犯罪を犯すことになってしまう。アパルトヘイトは差別される黒人側だけでなく差別する白人の側にもストレスとトラウマを与えた。
     アパルトヘイトの終焉とマンデラが大統領に就任してからの政治、経済の動向も述べられているが表面的な説明で何が起こっていたのか具体的にイメージすることはできなかった。民主化への道をドラマとして知るにはまた別の本を読む必要がある。
     一方現代の南アフリカについての解説は作者の専門分野で詳しかった。南アフリカは今世界を覆っているグローバリゼーションの影響を顕著に映し出す国で光と影の両面を抱えている。

  • 主に経済的側面、次に歴史的側面に光をあてた南アレポート。「南アフリカは金とダイヤという魅惑的な富に恵まれ、建国以来きわめて不平等な富の配分に慣れ親しんできた国である。その分配原理をつかさどってきた人種主義が抹消されたあと、現在は自由市場やBEEといった看板を掲げてはいるものの、実は一部の人間の裁量が、以前にもまして不平等な所得分配をつくりあげてしまったのではないか。」p.43-44/マンデラの挫折。1995年の、ナイジェリア軍政の人権運動家処刑を批判し、大使を召還したが、追随する国がなかったこと。1998年コンゴ危機で、和平協議を主張したが、アンゴラ、ナミビアの出兵をとめられなかったこと。p.145より。/最終章は、グローバルな活躍を見せる、南アフリカ企業が紹介され、希望的側面を見せてくれる。

  • かなり面白かったです.
    ”アフリカ大陸一の経済大国,殺人で年間約2万人が死亡,世界最大の所得格差,この国でいったい何が起きているのか?”
    うん,帯のあおりを読み返すだけでどきどきしてきますね.


    アパルトヘイト下におかれた民衆の状態やその後の急成長など南アフリカ固有の話も確かに興味深かったですが,この本のテーマはそれだけにとどまりません.読み進めていくことで,自由主義派と民主主義派の対立やグローバルな投機の波,そして中国の影響など,世界中で巻き起こっている時代の変化が,日本から見えるのとはまた違った形で浮かび上がってきます.他国の近代史を客観的に見ることによって,社会についての理解が進という面も多分にあることを知りました.


    「南アフリカには世界がある」

    その言葉に思わず納得させられてしまいました.

  • 南アと仕事でちょっと関わることになったので。自分の仕事が意味をなす国ってどんなとこ?と、毎回案件が変わるたびに気になってしまう。
    南アフリカについては事前知識もそれなりにあったので(特に社会問題面)、タイトルがいうような「衝撃」は感じませんでしたが、経済や歴史、日本との関係など浅く広く論点をカバーしているのでマクロの視点の骨格を作るにはいいかと思います。

    南アフリカ企業のアニュレポとかを見ていると、BEE指数とか従業員の人種構成だとかが項目としてあって・・・「あぁ、南アフリカなのですね、アパルトヘイトのあった国なのですね」と漠然と感じていたんですが、本を読みながら、そういう歴史の知識が、現代への流れとして頭の中でリンクしました。
    企業の政府からの独立性が非常に強いという点は素朴な驚きであり、自動車製造を通じた日本と南アフリカのつながりについては再確認。
    治安や格差等、社会面から見ると問題が多いけれど、だからこそ、自分の仕事上の視点に限定して観れば、今関わりたい国ではあります。
    それにしても、銀行システムが地方まで安定して確立されてる国って、サブサハラ以南にいくつあるんだ。

    【メモ】
    エスコム・・・広域電力網建設計画。スマート化は?
    スタンダード銀行:強みはBOPビジネス(地方ATM)...アフリカ人:移動性が高い。送金はGDPの数%。ファーストランドとのピア感は?

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著者プロフィール

1962年生まれ。国際基督教大学卒業。東京神学大学大学院修士課程修了。日本基督教団阿佐ヶ谷教会、金沢長町教会を経て、現在、代田教会牧師。 説教塾全国委員長。

「2022年 『使徒信条 光の武具を身に着けて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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