知らないと危ない、会社の裏ルール

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532262730

作品紹介・あらすじ

会社員が直面する、組織の暗黙のルール。そのメカニズムと作用を明快に解説!「A常務が怒っている」-誰が見ても「いい話」なのに、なぜ決裁されないのか。「あの部には、君の同期がいたな」-縦関係の集団を突き動かす横の関係とは。「私に言われても、一存では…」-上位職なのに、権威も権限もないのはなぜか。12万部のベストセラー『人事部は見ている。』の著者が、自身の会社員経験、豊富な取材をもとに解き明かす、メンバーと集団を軸にとらえた「本当の組織論」。

感想・レビュー・書評

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  • 何かを指摘してそうでいて、その実具体的で新しいファクトは特に述べられていない。

  • 【仕事】知らないと危ない会社の裏ルール/楠木新/20151119(119/403)<215/25040>
    ◆きっかけ
    ・日経広告

    ◆感想
    ・サラリーマン生活10数年。分かっていたようで分からなかった、人事部がよりどころとする裏ルール的なものが、垣間見れた気がする。
    ・結局のところ、日本の会社(文化)は、個人ではなく小単位の集団(課やグループ)であり、個人の意見ではなく、それら組織の意見が最小単位の意見となるというもの。年功序列、それに付随する既得権益の話(働かないオッサンが多いという理由)など、なるほどと思うことが多かった。他方、こうした素地は高度成長時代に作られ、そしてその時代にはフィットしていたのだろうが、こうした組織文化は、女性の進出やグローバル化に沿えるものなのか、或いは変容が必要なのか。
    ・日本会社の文化=親子型

    ◆引用
    ・社員の気持ちや人間全体が丸ごとかかわる組織と社員のことは、理屈や論理だけではとらえきれない厄介さを持っている。むしろ就業規則や社内規定からこぼれおちる見えないルールを知ることが大切。
    ・個人としては誰も意見をはっきり言わなかったのに、グループになると急に公式見解を表明してきた。自分には実質的な権限はなく、課員からそっぽむかれると、自分の立場が苦しくなる=>課長自身の管理職としての弱さ。
    ・機能する集団の適正な人数が決まっている=5人以上10人未満。これ以上大きいと組織内組織が生じたり、非公式グループができるケースができる。
    ・会社における小集団は、相互に助け合い、人の孤独感をいやし、自分はひとりではないという安心感を与える共同体の側面がある。
    ・定年ゴジラ
    ・法的には社員と会社は契約関係にある。しかし、社員は会社を契約対象の相手といより、自分を含む社会的な存在と認識している。自らの感情を持ちこんで擬人化している。言い換えれば、自分を組織に埋め込むことで、社員は一定の安心感を得ている。
    ・グローバル人材に要求される能力と日本的な組織、集団の中でうまくやっていくために必要とされる能力は並び立ちにくい面がある。皆で一丸となって、個性的になろう、というのは無茶な相談。
    ・役職は権限の発揮を定めたものにとどまらず、既得権益を生む地位の位置づけを持つ。
    ・同じ大学の学生:ペーパーテストでの学力の同質性にすぎない。会社:面接重視。自分の部下や同僚として一緒に働けるかどうかが採用基準なので、学生に比してはるかに高い均一性の高い集団。その中で同期意識が働く。
    ・日本の多くの会社組織は、能力やスキルを組織のメンバーの条件にしていない。しかしそれでは組織運営ができないので、組織内部に一体感を持たせる必要がある。タテ(先輩・後輩)、ヨコ(同期)
    ・労働経済学、ラジアーの理論(定年制度の理論的な存在理由)。企業は社員が若い時には、彼の貢献度より低い賃金を払い、その少なくなった部分を中高年になった以降に積み増して支払っている。ただし、こうした給与の配分の問題だけでなく、会社に対する既得権益的なものが絡んでいる。中高年社員は既得権益的なものを持っている。
    ・この賃金の後払いと定年までの雇用保障とが相まって、強力な人事権を生みだしている。
    ・現在の働きではなくて、過去の実績によって判断される。=ポイント制退職金など。
    ・能力やスキルを勘案しない人に対する見方がある。人間関係が重視され、接触する頻度やその時間的長さが常に意味を持つ。
    ・いろいろな職場を経験させて、上司や同僚の評判も聴きながら人事評価が進む
    ・各社員は自分の評価を3割くらい高く見積もる
    ・人事評価は波風を立てるもの、組織としてはコストがかかるもの。反面、インパクトが強いだけに効果的なまじぇ地面と手法ともいえる。しかし、人事評価の副作用やその効果についての疑問はあまり指摘されていない。
    ・欧米のようなコンセンサスと理念の共有化ではなく、場の共有化にポイントが置かれている。
    ・人間関係をうまくやりくりさえすれば、上司・部下の関係はかなり弾力的に対応することができる。
    ・リーダーの能力や力量によって組織を引っ張るよりも、側近や部下に相性のある有能な人物がいることがポイント
    ・欧米型のトップ:一般社員とは切り離された特別な存在。日本:社員の立場の延長線上。同期社員の代表にすぎない。
    ・日本のリーダーのポイント:自分の部下の能力をいかに発揮させることができるか。しかも自身の能力やスキルに重点が置かれあいとすれば、人間的な接触の両や人間関係に左右される。
    ・上司の懐に飛び込むか、パンチを受けない距離を確保するうか。中途半端はダメージ大きい。
    ・一定の時間や空間を共有することがポイント
    ・外資系でも下駄をはかせたり、筆をなめたりする。=>えらくするときに、目標管理で加点したり、過去の評価を理屈づけてそのポストに行けるようにする。
    ・円滑に調整を進めるには、その組織の中でどのボタンを押せば、話が進むかをつかむ感度が大切。上位職だから決定権を持っているとは限らない。相手の組織の状況を把握して、仕事の展開を先読みすること。
    ・仕事を投げずにあきらめないこと。当事者の関係は、論理的、理性的であるというよりも、エモーショナルな力関係に支配されている。
    ・与えられたものを待つという姿勢ではんく、自分が本当にいきいき仕事ができるためにどのような条件が必要なのかを考え、こういう部署で働きたい、こういった仕事がしたいという要求を企業の発展の絡みで主張しなければならない。

  • 日本と欧米のサラリーマンの処世術の違いがわかります。
    そうそうと思うことが多く裏ルールというより、結局そうなるよね日本のサラリーマンは、という感じ。人事制度などで改革してるつもり!だけど実は昔ながらの部分を残しながらという枕詞付き。全てが悪いわけでなく、根回しと同じくらい全体に対して理解してもらう制度にしてもらう必要はあると思う

  • 図書館で借り。
    タイトルと内容があまりリンケージしてない。
    結論は真っ当で心理的契約の齟齬が出ている日本企業ヤバイで終わってるけど、処方箋は示されてない。日本社会でのダイバーシティは組織の一体感によるがんばり主義と相容れない、ということがつらつらと示されるだけ。
    仲間はずれの力学について書かれており、時節柄、貴乃花の退職問題になぞらえて読むのもよい。

  • 世のなかに蔓延る大企業あるあるの裏ルールをまとめた一冊。大企業にありがちな根回し・調性文化を時代遅れだと揶揄したところで、残念ながら現実にはガチガチな時代遅れな組織がのさばっている。であれば、そこから目をそらすのではなく、その時代遅れの裏ルールを理解することで、上手に自分が実現したい世界を手繰り寄せた方がベターではないか?っといった内容。共感されるかたはぜひ読んでみて下さい!

    ・個人の考えよりも、会社の正式なルールブックよりも、個々が属する『集団』がどう考えているかが、意思決定において極めて重要になる。

    ・同じ集団内の意思決定であれば上位下達でことが済むが、集団をまたぐ意思決定になると、とたんに集団同士のおしくらまんじゅうが始まる。

    ・こうなると論理的な議論よりも、どのポジションの誰がどんな考え方をもっていくるかによって終着点が大きく左右される。

    ・組織におけるしかるべき人を把握し、しかるべき人にあらかじめ根回しをしておくことが、結局のところコトを前に進めることがに繋がる。

  • 人事部は見ている、の著者。新聞広告で気になって図書館で借りた。いろいろな分析はその通りだが解決策というか対応策も欲しい。

    以下メモ
    ●役員上司の誰それにはきちんと説明したか。役員上司の誰それはどう言っている?そんな話が進んでいることを俺は聞いていない。社内調整でよく使われるフレーズ。
    ●顧客が喜ぶコンテンツではなく、組織のなかでどのボタンを押せば話が進むかをつかむ感度が重要である。
    ●個人としては誰もはっきり意見を言わなかったのに、グループになると急に公式の見解を表明してくる。
    ●ここでグループとして意見を取りまとめていこうというのがチームリーダーの口癖。
    ●法的には社員と会社は契約関係であるのに、ウチの会社は、と自分を含む社会的な存在と認識し、自らの感情面の要素も持ち込んで擬人化する。自分を組織に埋め込むことで社員は一定の安心感を得ている。
    ●本業と副業の区分。組織で働くことが本業だと決めつけている節がある。
    ●会社内では出向や海外勤務になった時には、本部にいる上司に頻繁に報告したり仕事上のレターを送るなどなんとか関係をつなげようとする社員が少なくない。忘れられるのが怖いのである。
    ●欧米の企業ではその仕事ができる能力やスキルが重視されているので自己のキャリアがポイントになる。一方で会社に就職、就社する親子型の組織では、能力やスキルよりも、周囲の人と一緒に働くことが重視される。
    ●我が社では多くの優秀な新卒の社員を採用しており、彼らが上位職を目指しながら会社を支えています、というと、欧米企業のトップは、それはさぞかし大変でしょう。我が社は、一部のメンバーが会社を引っ張り、その他のメンバーは自分の仕事に専門的に取り組みながら会社を支えてくれてます、と応じた。
    ●採用では、自分の部下、後輩として一緒に働けるかどうか、を見ている。
    ●同期の集まりは、20代は仲良し、30.40代は疎遠、そして50代でまた集うもの。同期意識を持ち続けるのは、一選抜に入ったエリート層を中心にした者になりがちである。
    ●日本では課長には、採用や解雇する権限、幅広い予算執行権が与えられていない。したがって島耕作のように、よきアニキ的存在が理想的な課長像になったりする。部下を気持ちよく働かせる能力が大事なのである。
    ●組織内ではオシよりもヒキ。現場の社員からは非常に評価が高く、評判も良い人物が必ずしも組織の中枢に上っていけるわけではない。
    ●部下から人望があり業界の中でも影響力を持つ人物は必ずしも次のトップには収まらない。特に安定的な大企業では顕著。上司の望む枠内にはまる能力、学生時代に地味で真面目な奴が出世する理由。
    ●会社から何か昇給やポストを与えると社員のモチベーションは向上するというのが従来の発想。どういう場面やどういう条件で社員は自分の能力を最大限に発揮するのか、を、問いかけるスタンスは転換しなければならない。

  • <「就社」「社内政治」の入門書>

    「就社」とは「就職」に対して生まれた言葉だ。

    『「就社」社会の誕生』(名古屋大学出版会)により広まったように思う。

    「就職」は本来は「職=ジョブ」に就くことを指すが、日本の雇用、特に新卒採用では実質的には「会社」に就職する。

    どういう仕事をするのかは就職時点では決まっておらず、どこに転勤になるかも分からない。
    その代わり、雇用関係は原則保障され、例え成果を出せない社員であっても、解雇するには厳しい条件がある。

    もちろんこれらについては「もうそんな時代ではない」という指摘がされるのだけれど、一方で「まだそのような慣行が広く浸透している」ことを示しているのが本書だ。

    例えば、新卒一括採用ならではの「同期入社」という中では競争意識が強い一方で、人事担当者の配慮、あるいは社内の不文律として「出世では、ある期のトップでも、その1つ上の期のトップを抜かないようにする」というような事例が挙げられている。
    入社が1年違うだけで、絶対にその先輩を超えられない、というのは非合理的に思える。
    (当然ながら、新卒一括採用でなければ「同期」という考え方は存在しない)

    そのような会社に就職すると「今どきの働き方」を期待している人は驚くことになるだろう。

    とはいえ、本書でも指摘されているように、いわゆる年功序列型、新卒一括採用といった「日本的雇用」は別に法律等に縛られて発生しているのではない。

    なんらかの理由があって、そのような形が浸透し、存続している。
    それは制度疲労を起こしているかもしれないけれど、全てが全て非合理的とも限らないことは本書で繰り返し触れられている。

    伝統的企業や大企業に就職する人、あるいは就職した後に思っていた状況と違って戸惑っている人には、本書は「社内力学の教科書」として活用できるのではないか、と思う。

  • 「伝統的な日本の会社では、友達型の同期が重要な役割を果たす。小集団が個人のような意思を有する。」といった分析がなされてて、なんとなく認識していた会社組織というものを言語化してくれる。
    が、その分析に終始しており、それへの対応等はほとんど述べられておらず、つまらない。

    一言でいって、つまらない。

  • 読みにくくてつまらない本でした。問題点の指摘は多いが、解決策が乏しい。

  • 内容的にとっても共感できました。

    これからの働き方とか考え方を、自分なりに模索していこうと思えました。

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著者プロフィール

楠木 新(クスノキ アラタ)
楠木ライフ&キャリア研究所代表
1954年神戸市生まれ。1979年京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に経営企画、支社長等を経験。47歳のときにうつ状態になり休職と復職を繰り返したことを契機に、50歳から勤務と並行して「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組む。2015年に定年退職した後も精力的に活動を続けている。2018年から4年間、神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。現在、楠木ライフ&キャリア研究所代表。著書に、『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『定年後の居場所』(朝日新書)、『定年後』『定年準備』『転身力』(共に中公新書)など多数。

「2022年 『自分が喜ぶように、働けばいい。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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