イノベーションを興す

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532314927

作品紹介・あらすじ

グーグル、CD、日本語ワープロなど、人々に感動を生み出せるような大きなイノベーションが生まれるプロセス(イノベーション・プロセス)では、次の3つのステップが段階を追って積み重なっている。筋のいい技術を育てる。市場への出口を作る。社会を動かす。つまり、3つの段階が積み重なってはじめて、人々に感動を与えられるようなイノベーションが生まれてくるのである。

感想・レビュー・書評

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  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/432009

  • イノベーションとは、「技術革新の結果として新しい製品やサービスを作り出すことによって人間の社会生活を大きく改変すること」
    イノベーションの三段階のプロセス
    Ⅰ、筋のいい技術を育てる
     筋の良さとは
     1),科学の原理に照らして、原理的深さをもつ
      ▶①そのテーマの実現可能性を高めてくれてる。
       ②深い原理につながる技術ならば、さらなる展開のポテンシャルが大きい。その原理の横展開でそのさきの発展性がある。
     2),社会のニーズの流れに照らして、人間の本質的ニーズに迫っている
      ▶人間の本質的な欲求にきちんと応えるようなニーズ
     3)、自分たちの得意技に照らして、つかず離れずの距離にある
      ▶自分たちの得意技を活かし、得意技を拡大できる。
     嗅ぎ分ける力
     1)小さく見えることへの、「なぜ」の素早さ
     2)周囲の状況全体を捉える、風景眼
     3)大きな地図の中での、位置づけ

    技術とは「自然が内包しているきわめて豊かな論理の全体の中から、人間の認識の中へ体系的に切り取られ、他者による再現や利用が可能なように体系化された論理的知識の総体」

    偶然の必然化の構造
    1、偶然が生まれる▶偶然の現象が起きる確率を高める努力
    2、偶然に眼をつける▶その現象を評価する力
    3、偶然を固定化する▶その現象の論理を解明する能力

    Ⅱ、市場への出口を作る
    意味
    1、二つの世界の間の動きの方向性として、「技術から市場へ」という方向である。✕「市場から技術」
    2、動く主体が技術だ。出口を出るのは、技術なのであって、製品が出ていくことが本質ではない

    市場からの学習プロセス
    1,最初のコンタクトになりうるものをどのように準備するか
    2,そのコンタクトからの顧客の回答を、どのように技術の言葉に翻訳するか
    3,その技術的翻訳をベースに、どの程度柔軟に自分たちのモノのオファーを変えていけるか

    外なる障壁を乗り越えるために
    1、不安や不確実性を乗り越えてみようと顧客が考えるだけの魅力を、新しい製品が備えていなければならない。顧客のニーズにあっているか
    2,新しい製品が不安を乗り越えるだけの魅力を持っていることを顧客が理解してくれるようにすること

    内なる抵抗
    1、心理的許容
    2,キャッシュ・フロー
    3、技術支援

    Ⅲ、社会を動かす
    三つのドライバー
    1,コンセプト
    市場の出口を作る製品がもっている製品コンセプトのこと。それは、製品が果たす機能についてのコンセプト。
     コンセプトのポイント
     1)「使う側に立った」表現であること
     2)「中核的なベネフィット」を表現したもの
     3)「わかりやすくかつ短い言葉」という点
     
     コンセプト創造の要件
     1)ニーズとシーズの相関構想力
     2)簡潔な言語表現力
     3)必要な技術を開発できる技術力
    2,ビジネスモデル
    あらゆる製品やサービスを顧客が使えるようにするための技術が準備する仕組み(ビジネスシステム×収益モデル)
    3,デザイン
    製品の意匠や使い方の工夫の設計のこと。

    Ⅳイノベーションの発生メカニズム
    シュンペーターのイノベーションの定義
    「不断に古きものを破壊し新しきものを創造して、たえず内部から経済構造を革命化する産業上の突然変異」「創造的破壊の過程こそ資本主義についての本質的事実である」

    イノベーションの外的誘因と内的誘因
     外的誘因
     需要構造の変化とか、国際価格体系の変化、規制の変化
     内的誘因
     「イノベーションプロセスそのものの内の」 
     1)イノベーションの基となる技術の体系の「相互依存性」に起因するもの
     2)一つのイノベーションを実現しようとする努力が社会のさまざまなニーズを人々に学習させることになり、その結果、技術的には必ずしも関連がない市場分野でのイノベーションのポテンシャルをイノベーションの実験者に気づかせるというもの

    イノベーションプロセスで果たす役割
    「組織は蓄積し」「市場は利用する」


    知識・企業システム・イノベーションのダイナミクス
    オープン知識ベース▶(1)企業組織▶(B)←(6)市場▶(C)イノベーション▶(D)オープン知識ベース
    オープン知識↑(3)非企業組織による知識蓄積
    企業組織↓(2)↑(A)↓(7)↖(4)内部蓄積

  • 【目的】
    技術が経営のカギを握る企業で、組織としてどのように技術革新と向き合う必要があるか、自分なりの考察を得たい。

    【感想】
    イノベーションを興すための基本プロセスを整理し、企業としてどのように関わる必要があるかを示した本。


    【気づいた点】
    知識・技術は「組織は蓄積し、市場は利用する」とあり、自社が蓄積したものを市場(他社)が利用するということがよく起こるとある。
    自社で技術を蓄積することはもちろん、他社が展開した製品や技術の市場での反応を見極め、自社に取り組むことが求められている。そのような幾つかの役割を組織やチームとして、対応していく必要があると感じた。

    ただ、上記内容を踏まえ、本書に書かれているプロセスを、組織としてマネジメントしていくだけで、イノベーションを興せるかというと、そう簡単なことではないと思う。

  • マーケットイン、顧客の問題解決先ありき、の最近の潮流に真っ向から挑み、技術重視のイノベーションを主張する伊丹先生ならではの本。
    この技術先か顧客先かのジレンマを越えて、高いレベルでの両立を目指さなければいけないですね。
    オープンイノベーションに対しても、組織→知識の蓄積、市場→知識の活用、という構図を使い、冷静な見方が必要なことを教えてくれます。

  • ビジネス書として 非常におもしろい。イノベーションに必要な要素が的確に記載。

  • イノベーションとは何か?

    モノ・技術で社会に感動を興すとは?

    ページをめくると、目次に好奇心を掻き立てられます。

    ●筋のよさとは?
    ●嗅ぎ分ける力とは?
    ●技術の目利きとは?
    ●偶然の効果的固定化をするには?
    ●技術の自走とは?
    ●市場の出口とは?
    ●内なる抵抗とは?
    ●社会動かすドライバーとは?
    ●破壊的創造とは?
    ●日本という壁とは?
    ●偉大なイノベーターは心に火をつける!

    ・・・・

    理系の発想と文系の発想が融合するところにはじめてイノベーションを興せる。

    技術革新だけではなく、市場分析だけではなく、
    技術アウトで顧客インを融合して、
    社会を感動させるイノベーションを興そう!

    やりたいことがいっぱい浮かんでワクワクしてきます。

  • イノベーションという言葉の定義が良く分からず、入門書として買ってみた。ビジネスは全く分からないが、マクロなところから理解できて、初心者にちょうどよかった。

  • 伊丹氏は一橋から東京理科大に活動の場を移し、急にMOT関連の書籍を書くようになった。
    この本は技術を元にしたイノベーションについて書かれているが、一度でもMOTというものを勉強したことがある人からすれば浅い内容に感じられると思う。
    ビジネスの中でMOTほど理屈で語りきれない分野はない。
    やるべきことはビジネスリーダーの誰しも分かっていてそれでもマネジメントしきれないのが技術とイノベーションなのだが、この本は理屈しか語っていない。
    個々の技術課題に直面したときの解決策は、この本からは読み取れないと思う。

  • ・なぜ読んだのか?
    コンセプトについての本を探していたところ、ものづくりの要素としてのコンセプトの役割が載ってたから。

    ・本の内容
    コンセプトを使用者が聞き、そのものを実際に使って感動するという2つのステップを踏むことで、製品やサービスはあっという間に普及する。

    ・今後活かせそうか?
    Kや新規事業におけるコンセプト策定にあたって、どのようなものを目指すべきかを理解できたので、そういった場面で役に立つと思う。

    ・その他
    一橋大学名誉教授の伊丹先生の本なのでかなり面白いです。
    経営工学、イノベーションに興味ある人は読んでみると良いかと。
    (1年 S.A.)

  • 澄田さんから薦められた本。技術マネージメントは教育者的要素が強いか。 勉強会ネタに使用予定。

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著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授
1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。この間スタンフォード大学客員准教授等を務め、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て2017年9月より現職。

「2019年 『激動の平成 日経 平成三部作』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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