孫子に経営を読む

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532319427

作品紹介・あらすじ

第一級の戦略研究者が、『孫子』の生かし方を伝授。

感想・レビュー・書評

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  • 面白いし、赤線も引きまくったけど、
    僕には『落とし込みにくい本』ではありましたね。

    やはり『兵法』なので、
    敵との対峙(僕の場合ならライバル店との販売対決)にはとても役立ちそうだったけど、
    もうグルメイベントへの出店も無いだろうから、
    実践することはないと思う。

    『お客さん』は『敵』ではないので、
    お客さんに対して孫子の兵法を用いれば、
    お客さんを欺いたり裏をかくことになる。
    それはむしろ、信用を失えかねないのでお店としてはマイナス。

    大きめの会社や、常にどこかと競争してるような会社やお店のリーダーにオススメです。
    (๑¯◡¯๑)

  • ・一に道、二に天、三に地、四に将、五に法(一が理念、二と三が戦略(環境)、四が現場の指揮官、五が経営システム)
    ・将とは、智・信・仁・勇・厳なり
    ・君命に受けざる所あり―将には、兵士の命と民に安寧を預かる責任がある。その責任の大きさに鑑みれば、将は臨機応変の処置で君命に反することを辞さないくらいの気概をもて
    ・犯(もち)うるに事を以てして、告ぐるに言を以てすること勿れ―兵には任務を与えるだけで、理由を説明するな。有利なことを告げるだけで、害になることを告げるな―理由を説明しなければならないのは、日常的な状況でのマネジメント。重大な状況、危機的な状況に追い込まれた際には、経営の現場でも詳細な説明などしない方いいことも多い
    ・勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む―派手ねらいは、人目を引いても、機能しにくい。事前の仕込みだけが、勝ちの秘訣である。しかも仕込みでは、外からは見えにくい小さなこと、微妙なことが勝負の鍵を握る
    ・彼を知りて己を知れば、勝ち乃ち殆うからず。地を知りて天を知れば、勝ち乃ち全うすべし―己をしることがじつは戦略的思考の基本。とくに、工場設備や軍隊の武器、従業員や兵士の数、といった目に見える資源としての己ではなく、目に見えにくい自分の技術、兵士や従業員のスキル、そして組織の風土やモラール、そうした自分の「見えざる資産」をよく知ること―戦略を考えるとは、己をまず知る、そのうえで彼を知り、そして天と地を知る、というじつに繊細な思考を要求される作業なのである
    ・智者の慮は、必ず利と害を雑(まじ)う―まず、利と害をともに考える、という発想をもつ
    ・迂を以て直と為し、患を以て利と為す―迂直の計の三つのキーワード「大胆直行」「迂という詐」「迂による蓄積」
    ・善く戦う者は、これを勢に求めて人に責(もと)めず

  • 商船三井社長おすすめの本。

  • 日本の経営学の第一人者、伊丹敬之氏
    が経営の視点から読み解いた一冊。

    孫子から経営について含蓄のある言葉
    を30選び、トピック毎に再構成した
    内容。

    それにしても、著者が選ぶ言葉が秀逸。
    「兵は国の大事なり」「兵は詭道なり」
    等の有名な言葉が選ばれている一方、
    「おっ!それを選びますか!」と感心
    する言葉も選ばれている。

    例えば「勝ちを知るに五あり」。これ
    は有名な謀攻篇の一説「彼れを知りて
    己を知れば、百戦して殆うからず」の
    直前の言葉。通常は名文句に隠れて
    しまう所だが、著者は敢えてこの言葉
    に注目し、経営学者らしい視点で、
    この一説の意義を考察する。

    又本書は、孫子の言葉を岩波文庫版の
    金谷治の新訂「孫子」から引用し、頁
    が記載されてるため、岩波文庫版を
    メインに孫子を読んでいる私にとって
    本文を参照するのに大変便利であった。

    経営学者視点の解説が非常に参考に
    なる一冊。

  • 紀元前6~5世紀の中国で書かれた兵書とされる「孫子」の言葉を、経営の観点から読み解き、現代のビジネス事例にも当てはめながら、今日の経営者が学ぶべきポイントを簡潔にまとめた、"ありそうでなかった"一冊。

    軍事と経営には、戦略を策定・実行することで勝利を目指す点においては共通項が多いが、春秋時代に書かれた書物に、現代の経営にも活かせる示唆が溢れていることに驚きを禁じ得ない。個々の事例が示す教訓はもちろん、戦において、時に「戦わない」ことも含め、"何を考えるべきか"をとことん突き詰めた理論の「幅と深さ」が、「考える」という基本姿勢のあるべき姿を示しているようにも感じる。

    もちろん本書が経営学者の視点からみた「一つの解釈」だという点は、著者自ら認めているところであり、また経営学的な学びということであれば、他の数多あるビジネス書を紐解けば済む話でもあるが、「孫子って最近よく聞くけど、何がすごいのだろう」という(自分のような不勉強者の)素朴な問いに対する回答として、或いは原典にあたる前の入門書として、一読の価値があるのではないかと思う。

  •  古代中国の兵法の戦略書『孫子』に書かれている中から30の言葉を抜粋し、現代の企業経営になぞらえて解説した本。
     読む前は、無理矢理なこじつけが多いのではないかと危惧していたが、さすがに長い間読まれている兵書だけあって、その神髄は今でも通じるものが多く違和感が少なかった。別の意味では、普遍的なごくあたり前のことが書かれているのだが、『孫子』では一見対極したり順序が逆だと思われる概念が込められていたり、国全体から戦全体、将軍や一兵卒まで隅々まで視点が配られており、読み込めば読み込むほど奥が深い。
     特に、「将のあるべき姿」の章に、感じるものが多かった。
     また、本書は『孫子』自体を読んだことがない自分にとっても、入門書として適度なボリュームでわかりやすかった。

    ・算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るを況んや算なきに於いてをや。
    ・勝ちを知るに五あり。
     -戦うべきと戦うべからざるとを知る者は勝つ。(環境の中での自分の立ち位置の判断)
     -衆寡の用を識る者は勝つ。(現場でのリソースの運用)
     -上下の欲を同じうする者は勝つ。(人心の統一)
     -虞を以て不虞を待つ者は勝つ。(自分の側の準備や蓄積)
     -将の能にして君の御せざる者は勝つ。(現場への権限委譲)
    ・百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。
    ・君命に受けざる所あり
    ・将に五危あり。必死は殺され、必生は虜にされ、忿速は侮られ、廉潔は辱しめられ、愛民は煩さる。
    ・兵は勝つことを貴び、久しきことを貴ばず。
    ・文をもって合し、武をもって斉(ととの)うる。(兵を団結させるには徳をもってし、兵の行動を統制のとれたものにするには罰をもってする)
    ・戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。
    ・勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。
    ・彼れを知りて己れを知れば、勝 乃ち殆うからず。地を知りて天を知れば、勝 乃ち全うすべし。
    ・智者の慮は、必ず利と害を雑(まじ)う。
    ・善く戦う者は、これを勢に求めて人に責(もと)めず。
    ・兵に常勢なく、常形なし。能く敵に因りて変化して勝を取る者、これを神と謂う。日に短長あり、月に死生あり。

  • 経営学とくにMOT関連の論文・書籍の多い
    伊丹氏による孫子の解説本。
    面白く読みましたが、特に新たな発見はなく。。
    孫子の解説本は何回か読みましたが、そんなに
    心の奥には入ってこず。。これは原典を読むしかないか
    と思ったりします。訳本しかよめませんが。

  • 孫子とは今から約2600年前の中国春秋時に活躍した孫子(孫武)によって書かれた兵法書の事であり、今では、欧米の著名な経営者をはじめ、政治家なども熱心に読んで自分の行動に照らし合わせている程時代を超えても通用するほど深い。

    しかしこの本の内容は、孫子の深みが十分に伝わってこない上に、現在社会の諸問題についても何処かステレオタイプの様に感じてしまい、あまりリアリティを感じなかった。

  • 面白い切り口でした。
    現代に置き換えるパターンがAppleかSAMSUNGに限られててバリエーションが乏しかった感もあります。
    孫子は奥が深くてまだまだよく分かりません。

  • 世界最古の戦略書(?)である孫子が、企業の経営戦略にも役立つと言われるが、実際に孫子を読んで、その内容を企業経営向けに理解しようとすると、意外に難しいものである。そもそも「戦争」を前提にして書かれた戦略書なので、競合企業との戦いをイメージするが、単純には対応させられないことが多いと思う。本書で取り上げられている原書である「金谷版の孫子」も何回か読んだが、上記のような感想を持っていた。
    本書は、経営学者である筆者が、単に孫子と経営学を結びつけるのではなく、経営学の視点から逆に孫子を読み解いている。したがって、多少強引な論理展開でも、役に立つ孫子の解釈で面白い。筆者の言うとおり、孫子は「深い」読み物だと感じた。
    章建てが、孫子の章建てではなく、経営学としての章建てになっているのもユニークで面白いと感じた。
    孫子を読んだことがあっても、無くても、いろいろと示唆を得ることのできる一冊。

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著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授
1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。この間スタンフォード大学客員准教授等を務め、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て2017年9月より現職。

「2019年 『激動の平成 日経 平成三部作』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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