なぜ戦略の落とし穴にはまるのか

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532321932

作品紹介・あらすじ

経営戦略の定石を語る本は多いが、なぜ失敗してしまうのかを理詰めで語る本はほとんどありません。本書は、勝つための戦略の研究に40年以上携わってきた伊丹氏が、なぜ失敗してしまうのかという逆転の視点から、経営戦略を解説するもの。多くの成功事例の陰の失敗事例を分析し、残念ながら失敗してしまうメカニズムとそれをいかに防ぐかを解き明かします。
本書が失敗のパターンとしてあげるのは、「不都合な真実を見ない」「大きな真実が見えない」「己を過大・過小に見てしまう」「似て非なることを間違える」「「現状」と「予算」にこだわる」「絞り込みとメリハリが足りない」「事前の仕込みが足りない」「段階を追った流れの設計がない」「現場の心理と学習へのインパクトが小さい」等。平明かつ興味深いキーワードで解説し、多くのビジネスパーソンに納得がゆくものになっています。

【本書の目次】
序章 ついつい落ちる、落とし穴
第I部 思考プロセスの落とし穴
1章 不都合な真実を見ない 2章 大きな真実が見えない 3章 己を過大・過小に見てしまう
4章 似て非なることを間違える 5章「現状」と「予算」にこだわる
第II部 戦略内容の落とし穴
6章 絞り込みとメリハリが足りない 7章 事前の仕込みが足りない 8章 段階を追った流れの設計がない
9章 現場の心理と学習へのインパクトが小さい 10章 正ばかりで、奇も勢いもない
終章 人間性弱説の戦略論

感想・レビュー・書評

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  • 印象深い箇所

    p44
    多くの企業で、中期経営計画という管理装置が、スローガンと予算を作らせて戦略もどきができたと錯覚させる装置となってしまっている。できるかどうか分からないことの構想やシナリオを作るのが戦略。できそうなことを作るのか予算。中期経営計画と予算を連動させれば、自然と戦略的でない経営計画となるだろう。

    p61
    戦略の岐路のカ行五段活用と呼ぶべき「不都合な真実を見なくなる」五段階ステップを照会しよう。
    ・可(カ)能性のある戦略としては、A案かB案かである。
    ・気(キ)持ちとしては、Bも十分ありそう。
    ・苦(ク)労しただけに、Bに賭けたい。
    ・決(ケ)心すれば、Bでやれるはず。
    ・根(コ)性でなんとしてでもBをやる。

    p190
    戦いは、正を以って合い、奇を以って勝つ

  • 課題ばっか考えてた、ダントツな強みを考えよ

  • 実務書としてすぐに使えて内容は極めてロジカル。さくっと読めるテイストですが書いてあることは大変重要かつ実践的。定期的に読みたくなる本。

  • 戦略における思考のプロセスと戦略内容の大筋2つの落とし穴を解説していて、自身の仕事においても共感出来る部分があると思う。
    分かってはいるけど、ハマってしまう落とし穴について、体系的に、また事例なども多く分かりやすく説明されている。
    個人的には、性弱説や組織の感情を読み解く必要があるという点で、人に着目している点も良かった。
    戦略の落とし穴にはまったと最初に気がつくのは、戦略実行の現場の人たちである。という点が納得。

  • 一橋大学の名誉教授である著者が戦略における落とし穴について様々な観点から書いた一冊。

    戦略について思考プロセスと戦略内容の大きく2つのカテゴリーに分けて書かれていて勉強になりました。
    本書を読んで、準備をしっかりと行うこととビジョンや見通しを描くことなど先を見ることが大事であると感じました。
    また具体的な企業の失敗の事例も知ることができそちらも著者の論点とともに学習することができました。
    あまり現実に捉われすぎないこと、リスクを恐れずに挑戦すること、ターゲットを絞り込むなど他のビジネス書にも書かれていることを事例や人間の本質などの点から書かれていて、戦略を立てる上で大事なことを改めて確認することができました。

    性弱という人間の性質を意識して、本書で書かれていたことを大事にして思い切った戦略を立てていくことが大切だと感じた一冊でした。

  • 最後の最後まで、赤線を引きたくなるような本が、僕は大好きだ。
    この本は、始めの1ページから、終わりの1ページまで、何本もの線が引かれ続けた。

    人間の弱さとゆるさを真正面から受け入れて、そんな人間がなんとか「戦略を作る」ために必要な方法論を、明晰なパターン分けの元に、提示し続ける一冊。

  • 経営戦略論で著名な伊丹教授が、陥りがちな失敗に焦点を当てたもの。
    その多くは、詰めの甘さや自身に都合の良い情報を集めたり、軋轢を恐れて八方美人になったりと、人間の弱さに起因するものだという。
    確かに企業戦略という大上段に構えたものではなくても、日々の意思決定や仕事とは関係ない個人の振る舞いでも、良く見られることばかりだ。
    一方、具体的な事例が引かれている箇所もあるが、一般的で抽象的な話が多いため、インパクトに欠けた感があるのが残念。

  • 伊丹先生ぐらいになると、参考文献なしで、自身の論理展開だけで一冊書けちゃう。

  • 伊丹先生の本はいちいち納得させられて、勉強になります。
    今、大きな戦略ではなく、その戦略に基づいて実施している
    局所戦で非常に苦戦しているものがあって、その戦術にも
    戦略の考え方での気づきや、失敗や苦戦の原因が
    つぶさにわかってくる気がしました。
    不都合な真実を見ない
    大きな真実が見えない。
    事前の仕込みが足りない。(武器の仕込み・作戦の仕込み・将兵の心理の仕込み)
    お金の流れ。情報の流れ。感情の流れ
    正と奇と勢い
    人間性弱説。(戦略とは”切る”こと)
    等々
    さあもういちどやり直し。。。。

  • 読了

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著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授
1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。この間スタンフォード大学客員准教授等を務め、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て2017年9月より現職。

「2019年 『激動の平成 日経 平成三部作』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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