- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532323790
作品紹介・あらすじ
『道具としてのファイナンス』『ざっくり分かるファイナンス』などヒット作多数の石野雄一氏による人気セミナーが、書籍となって登場!!講義調のわかりやすい解説で、難しいファイナンスがすっきりわかる。
感想・レビュー・書評
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ファイナンスの際に重要なのはキャッシュ。財務上は見えにくいキャッシュについて説明はわかりやすかった。数学的な部分はついて行けなかった。
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初めの方は参考になった。
資産は金が化けたもの。
BSが読めるようにならないといけない。
個人的にいつもやってるのは繰越利益剰余金を現在の決算期で1期あたりの税引き後利益を出す。
大体会社がどれだけ利益を残すかがわかる。
ピジョンのPVAツリーが分かりやすかった。
社長は成長ストーリーを描ける人でなければならない。
成長ストーリーはビジネスデザインにつながってくると思う。
企業の成長が止まって成熟ステージに入ると、設備投資をすると言っても減価償却費と同額かそれ以下の投資しかしなくなる傾向が出てきます。最低限の設備を維持するだけの投資しかしなくなる。
WACC=負債比率×税引後負債コスト+株主資本比率×株主資本コスト
税引き後負債コストとは、
負債コスト(借入などの調達金利コスト)×(1−法人税率)
株主資本コストとは、配当金その他未来の収益率を加味する。
株主資本コスト= リスクフリーレート+β(ベータ)×マーケットリスクプレミアム
これが投下資本利益率(ROIC:Return On Invested Capital)を上回る必要がある。
後半に行くと
割引現在価値や企業価値評価についての話
投資回収にあたっては割引現在価値を利用する。
日本企業のほとんどは割引現在価値を無視した回収期間法を使っている。
収益÷投資額=回収期間
海外ではIRR法かNPV法のいずれかが70%を占める。
NPV法は、正味現在価値 これを筆者は採用。
NPV=将来発生するフリーキャッシュフローの現在価値の合計額-初期投資額
プラスだったら回収ができるので投資をすべき。マイナスだったら投資を止めるべき
個人的には回収期間法がシンプルかつ中小企業にとってわかりやすい。
CCCの考え方は参考にしていて資料に加えても良さそう
新規事業の撤退基準を考える。
ハードレートを設ける必要がある。
サンクコストは無視する。埋没損失のため。
初めに設けないと撤退が曖昧になり、大変な事になる。
メモ
投資をしなかったら、どういう打ち手が考えられるか。現場の方々は今、目の前にある投資案件をやりたいのです。「代替案は?」と聞くと、「それは上申前に十分検討した。その結果として、投資すべきとなった」と答えるのが関の山です。やりたい人たちに、やらなかったらどうするかというのは黙っていては出てきません。代替案はわざわざ経営サイドから言って出させないといけません。
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帯に記載の「PL経営からBS経営の時代へ」に興味を抱き購入。前半は会計(過去思考、利益主義)とファイナンス(未来思考、現金主義)の違いを簡潔に記載し、後半はファイナンスの基礎を綴っている。随所に、BS経営により業績が好調な企業や日経の記事を紹介しており大変読みやすかった。最も印象に残ったのは、元カルビー社長の「キャッシュ・イズ・キング」、ソニーは復活していない「BSを3倍の大きさにすることで売上は回復」、AmazonはAR にて「投資哲学」を上場時から記載している。
以下メモ
・利益の必要性
①税金計算②配当計算③業績評価
・戦略とはソート、つまり、優先順位を付けること
・PLの重要ポイント
①売上総利益は付加価値力を表す利益概念
②営業利益は最も重要な利益概念
(本業の儲ける力を表す利益概念)
③当期純利益を見るときは、その増減で一喜一憂しないで特別利益、特別損失をみる
・リスクとは「危険」「機会」の意味合いがあり、「ばらつき」である
・ファイナンスは3つの意思決定に役立つ
①投資をするか否かの意思決定
②資金調達の意思決定
③リターンのはいぶに関する意思決定
・企業価値の最大化は最終目的ではない
企業価値の向上→事業の継続→使命・ビジョン実現
・βの考え方
株式市場全体(TOPIX)の値動きに対する個別株式の相対的な値動きを表したもの
・ROIC>WACCにより初めて企業価値を創造
・いい会社とは、債権者と株主で異なる
①債権者→安定性重視、確実な元利金返済(リスクを嫌う、デットは少なく)
②株主→成長性重視、株主価値の増加(レバレッジをかける、デットをフル活用)
・将来価値
今のお金を複利で運用した場合に将来どれくらいの価値になるか
・ファイナンスはコミュニケーションの道具
正解を導き出すための道具ではない
・カントリーリスクプレミアムの考え方
各国発行の長期国債利回り(米ドル建て)と、リスクフリーレート(米国の長期国債利回り)との差をカントリーリスクプレミアムと考える
・ハードルレートの加重平均>WACCが成り立つ
WACCは資産のリスクに応じて決まるため、低リスク事業から撤退した企業に対しては、債権者と株主のリスク認識が高まる
カントリーリスクは米国の長期利回り差額 -
●Excelシート:https://ontrack.co.jp/special-report/
●経常利益は日本の会計基準に固有
--->海外(欧米)は直接金融が一般的 vs メインバンク制度の日本。
--->営業利益についても、IFRSでは営業外収益/特別損益も営業利益の内数
--->RAIZAPはIFRSだったので負ののれん分だけ”営業利益”が膨張。
●Financeの役割
①投資するかの意思決定②資金調達の意思決定③リターンの配分に関する意思決定
①WACC/割引率(NPV,IRR,機会コスト)を踏まえ事業/企業価値向上に向け判断
③Shareholder, 債権者への目線だけでなく中長期での企業価値最大化に向けた
人件費や設備投資も踏まえた適切な利益分配
--->WACCの低減をmissionにしているのはIRチーム。適切な情報開示により
Risk premiumを下げ株主資本コストを下げる
--->企業は投資案件においてWACCを踏まえ判断するのだから、WACCを適度に
下げる=投資への挑戦可能性を高めひいては企業価値向上に繋がる
●経営の成績:EVA(Economic Value Added) = (ROIC-WACC)× 投下資本
--->EVAを開示しているのは花王など。この観点でもIRはやはり重要。
--->ピジョン社は”PVA"として定義、構成要素別に目標と実績を開示。
※ROIC:有利子負債と自己資本のみ、ROA:総資本が分母
●格付=債権者目線。格付けは高ければ良いわけではなくA程度が理想(IBM)
--->格付が高すぎる=返済能力が高い(現預金が豊富/Debt少な)=WACC高い
●NPV=Now or Neverの指標。企業の柔軟性には欠ける。
想定よりも順調なら追加投資、軟調な推移ならテコ入れ、それでもだめなら撤退、
と企業活動(打ち手)は変動するもの。常に”PlanB”を踏まえて決裁すれば取り組
める幅はNPVよりもっと広い。
●IRRは”過大評価”
受け取ったCash Flowをその利率で再投資し続けられる前提だが、事業投資して
受け取りCashを即時に投資できる、しかもそんなhigh returnでなんてある訳ない
せめてマシなのはCash inがProject期間の後半に寄っていれば上記影響は少ないが
---> MicrosoftではMIRR (modified)を用いている。再投資利回りを別途規定.
---> NPV/ IRRがこの手の書籍では偏重されるが回収期間法が最も使われる。
●With - Withoutの原則:Projectの実施/非実施の差分でNPV/IRRは評価すべき -
序盤は読みやすくすいすい読めたが、後半から少し難しい内容となった。
何度も読み直し自分の力にしたい。 -
PL経営からBS経営へというキーワードが書いてある一部は非常に読みやすい
決算書から企業を推定するあたりは、今の自分の興味とも合致して面白く読めた
ただ2部以降は自分には少しすんなり入って来なかったので、時期を見てまた再読したい
記載されている数式はあまり難しくないので、しっかり理解すれば読める水準 -
私のような、数字とは無縁の、ビジネスパーソンとはおよそ言い難い会社員生活を送ってきていきなりスタートアップ投資部門に行くことになって目を白黒させているような人に強烈におすすめしたい。こんな人がほかにどれほどいるかは知らんけど。
流行り物のように扱われているESG投資に対して一石を投じているくだりが特に好きです。 -
コーポレートファイナンスの領域で有名な石野氏の最新著作。
示唆に富むコメントがある一方で、骨太な内容を望む人には全体的にはちと薄っぺらい。
・エーザイ柳CFOの調査では、海外機関投資家は日本企業の手元現金の価値を50%ディスカウントしているとも
・実務で最適資本構成そ検討する際の材料が格付け
・株主は有限責任のため、デットをフルに活用してアップサイドを強く望む意向あり
・IBMトレジャラーのコメント:AAAはコストが高い。一方で、M&Aの際等の機動性を見越してAは最低限維持したい