クール脳はなぜ「かっこいい」を買ってしまうのか

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532356910

感想・レビュー・書評

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  • 人が何をクールと感じてきたのかの歴史。
    いまいち

  • 1.大量消費、大量生産の時代が終わり、モノが飽和する時代に突入し、機能や外観を意識するようになりました。そこで、モノを買うときにはどのような感情が働いているのかを考えてみようと思い購入しました。

    2.現代の人間には社会的欲求、価値観、モチベーションの3つの感情が備わっています。これを満たすことで快楽を得ます。そのための手段として人は消費をします。
    消費をすることで見られたい自分像を相手に示したいという欲求、かっこいいものを手にしたいという欲求が働きます。
    つまり、人はモノを買うために他人みられるという感情が働きます。自分自身の評価のためという思いが強く働きます。そのためのメカニズムを述べている1冊です。

    3.なぜかっこいいを買ってしまうのか、自分の答えとしては、「自己承認欲求を満たすこと」だと思います。このブランドを身に着けることで見られている自分、これを使っていることで評価されている自分をみられたいということだと思っています。本書の言葉を借りれば「行動のシグナル」です。もう1回マズローの欲求段階説から復習しなおした方がいいかな?と思いました。

  • 大学教授と政治学者の著者の2人がクールなものを求めて消費する行動について何を基準に行なっているのかということをアメリカの現在までの歴史などから紐解いていく一冊。

    なぜ人はクールやかっこいいという概念で消費を行うのかということを経済学の論点や数々の実験など様々な観点から解説されていました。
    また、動物の行動や一夫多妻制など変わった視点からも解説されていました。
    そのなかでも本書の論点となる反逆者のクールとドットコムクールの対比は面白いと感じた。
    あと、Facebookなど集団以外の者が使用した時クールではなくなるといった指摘は面白いと感じました。

    ただ1つ1つの話題は面白いものもあるのですが、非常に分散して書かれているので読んでいてつながりを意識できずまとまりのないものになっているのは残念でした。

    反逆者のクールからドットコムクールへと変化していくなかでジェンダーや外見的な特徴など尖ったものから柔軟なものへと変化していることが本書で学ぶことができました。
    最後に著者が述べられているように利他的で環境に配慮した行動が次のクールな消費として取り上げられればと感じました。

  • 経済学だが、むしろ人間の本能的な地位に関する行動を軸に解説した本。
    昔の地位は主に生まれとかが幅を利かせていたが、経済が良くなったりするとそれに被支配者階級が耐えられなくなって徐々に色んな制度が変わっていくという事。
    贅沢禁止令や、一夫多妻制など。
    昔のクールは反抗とか、反社会的、既存の地位階級からの脱却などの意味を持っていたが、今のクールはスマートで誠実で友好的で最新の技術を意味するようになっていたり。
    利己的な人間も自分の血族には利他的になるという。
    アメリカの人種のるつぼ的な大き過ぎる場合とかは利己的な方が生き残りやすいから。
    村社会なんかでみんなが助け合い出来るのはやっぱりそれなりに血族に近いからとか、その辺も関係ありそう。
    でも寄付金が集まるのもまたアメリカなんだよね。
    ただそれは本能的に地位を求めるからこそ寄付金を出す行動をとるからだとも解説されてたり。

  • レビューはブログにて
    http://ameblo.jp/w92-3/entry-12288667591.html

  • 「そして暮らしは共同体になる」に似ている

    ・ モノが持つ社会的イメージと自己イメージを統合する
    ・ クールな製品は私たちの社会的アイデンティティに影響を与えるものであり、クールな製品の経済的価値(の一部)は、社会的アイデンティティへの影響を脳が計算することにより生まれている
    ・ 私たちの行動を決めるのは根本に存在する自己である
    ・ 私たちは消費者を、いくつもの選択権を持った何者化だと考える。つまり、あなたは「あなたが選択したもの」なのだ。
    ・ 教科学習は、報酬や罰といった形の、環境からのフィードバックを通じて学ぶときに起こる。ニューロンはこの情報を使って方向性を決め、私たちは報酬の価値を行動に結びつけるようになる。こうしてドーパン民システムは学習と意思決定を結びつける。
    ・ 習慣システムは行動の価値を評価する。行動そのものが満足感をもたらしてくれるのだ。(コーヒーそのものよりも、“朝コーヒーを飲む”という行為自体に満足を得る)
    ・ 「欲しい」と「好き」後外は、習慣の中でこそはっきりする。習慣の多くは、好きという気持ちがなくなった後も長く続く。
    ・ 4つの効用
    ① 期待効用:何かを選ぶ時の手助けになる
    ② 経験効用:報酬を消費する快楽であり、行動の原動力となる。期待効用と比較すると、より正確な予測ができるようになる
    ③ 記憶効用:経験を記憶し、意思決定に活かす
    ④ 決定効用
    ・ 生存快楽機械は目標とは関係なく、主に短期的な問題、たとえば現在の環境における適切な対応といったことに関わる。当然ながら、その結果は長期的な目標を妨害することが多い
    ・ ブランド名がわかっているとき、記憶、感情、回想に対応する脳の部位が活性化し、ブランドにまつわる記憶がそのブランドの経験を変化させた。
    ・ ブランドは強烈な感情的記憶を喚起することで、商品お経験に価値を加える。
    ・ 無意識の習慣システムに頼った行動をすると、消費者としての決定が楽になる(ひとつひとつ違う野菜をその場で見繕うのはコストがかかる)
    ・ 習慣快楽機械は、予測と報酬が一致しなかったときに学ぶ。ブランドの価値は、そのブランドがもたらす経験が予想を上回った時だけだ。(向上しないブランドはわるクなっていると捉えられる)
    ・ 抽象的なもの−社会的承認、評判、敬意、地位−が、私たちの動機と行動の中心を占めていて、それこそが経済と消費を促す通貨なのだ
    ・ 私たちは皆、自分を平均以上の人間だと考える。自分のよい自己イメージを高めてくれる人といっしょにいたがる。
    ・ クールとは、自分の社会的イメージを高めてくれる製品に対して脳が認める、不思議な経済価値なのだ。
    ・ いったんある人に対する評価が定まると、これをその人と関わる時の指針とし、どんどんその評価に頼るようになることだ。私たちは経験から、その人がどんなタイプかを判断する
    ・ 商品によるシグナリングは社会不安が強いほど増えることを発見した
    ・ 商品のシンボル的性質は、自分と他人を区別するものとして注目される。端的に言うと、消費は橋ではなく垣根をつくることと見なしている
    ・ 消費への見方を広げ、集団的自尊心を含む社会的活動として考えなければ、クールな消費について説明することはできない。また、消費を通して築かれる垣根や橋は、自分が属する集団と、属していない集団との間の力学という観点から見る必要がある
    ・ 人間は新しい社会的ニッチ−地位への道筋を増やすための、新しい地位システム−をつくりだすことができる
    ・ 地位による実質的なメリットはなくても、地位は本質的に満足感をもたらしてくれるものなのだ
    ・ 分岐の原則:「自然選択」によって適応できないものが排除される一方で、種は「分岐」によって互いに競わない方向へと進み、それぞれ違うものになって多様化する
    ・ 多くの親は、反対の策をとってきょうだいの対抗意識を薄めようとする。つまりそれぞれの子どもが得意なものに集中させて、生態学上のチャンスを増やそうとする
    ・ 地位の高い人の集団は社会的不平等を支持しやすい
    ・ 局地的地位(直接顔をあわせる集団の内部で得られる評価)はグローバルな社会経済的地位よりも人間の幸福にとってはるかに重要
    ・ 比較対象があるかどうかといった要素が、私たちの選択に大きな影響を与える
    ・ マイナスの評価を避けることは、その買い物に対する報酬効果を高める。社会的な&とでもいうべきものが、SUVの価値を高めるのだ。
    ・ アイデンティティ商品は、より多くのメンバーが消費しても価値が下がらない。逆により多くのメンバーが所有するほど、その商品の価値は上がる。アイデンティティ商品の価値が下がるのは主に、集団外の人々がそれを使い始めた時だ。(Facebookを親世代が使い始めた時のように)
    ・ 消費者ミクロ文化が増加しても、ゼロサム競争が増加するわけではない。むしろ地位への道筋が増え、直接の競争がなくなる。
    ・ 知識労働がクールと見なされる理由のひとつは、その製品に創造的思考が現れているからだ
    ・ 高級サングラスが隠れシグナルとして働くのは、価格が高い上に“情報コスト”がかかっているからだ。つまり、シグナルの送り手と受けては、なにがファッショナブルかを知るために、多くの時間をつぎ込まなければならない。そして高級な贅沢品の消費は、高い価格と情報コストにより、そうした性質(所有者の富や文化的知識)を発信する。
    ・ ネット投票での投票率が下がった。利便性は上がったが「時間を割いて投票する姿を他人に見られる」という自尊心のインセンティブがなくなったから
    ・ コンシューマリズムの柔軟さ:新しい社会的規範を、尊敬を得るための決定的な要素となるよう変化させる能力
    ・ 消費行動をかえるためのもっと効果的な方法は、社会的利益をもたらす消費パターンを地位と連動させることだ

  • 「一流の人は、本のどこに線を引いているのか」の土井英司さん推薦

    習慣快楽機械においてきわめて重要なのは、結果ではなく行動に価値を見出すことだ。私たちは、あらゆる決定の結果を計算するのではなく、積み重なった行動の価値(の無意識の記憶)に基づいて行動するのだ。そして、ブランドは習慣のようなものなのだ。
    人間は、地位を表現するためのアイデンティティを本能として強く求め、それが消費行動に繋がっているということが分かった。それにより、人間の複雑な消費行動を理解する術を持つことができた。
    また、人間の幸福度は経済成長だけではなく、多様なライフスタイルが容認されることにより「選択の自由」が高まることで満たされる、ということも理解できた。
    やみくもにコンシューマリズムを否定するのではなく、消費行動の力学をポジティブにとらえ、人間の本能に従った形で社会的利益に繋げていこうという考え方は共感もてる。

    翻訳が読みにくいのがたまにキズ

  • 読みたい。

  • 様々な実験の結果により、消費に対する既存の説明が誤りであったことや、新たな事象が示されている。
    それらの各パーツはとても面白い。SUVがなぜ売れたのかとか、アンケートを求める人がラコステのシャツを着ている場合の影響とか。

    ただ、それらが総花的に感じられた。もう少し読んでみないと全体の流れが見えない。読解力の問題か。

    持続可能な社会にするために、現状は消費を減らすことしか言われていないという指摘と対案には、なるほどと思わされた。

    評価は、まだ消化しきれていないので低くなっているかもしれない。

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