日本人の健康を社会科学で考える

著者 :
  • 日経BP日本経済新聞出版本部
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532358747

作品紹介・あらすじ

■日本人の健康を決めているものは何か? 職歴か、学歴か、所得か、貧困の程度、社会参加の度合いなのか? 社会保障問題、「幸せ」の経済分析などで定評のある著者が、日本人の健康が、日常生活、暮らし、就職、地域、介護、夫婦関係などによって大きく左右されている実態を明らかにし、健康に関わる様々な社会問題を解決するための政策について考察します。
■本書では、たとえば、次のような発見が述べられます:
・就職氷河期世代の健康状態は、健康感、入院するリスクなど面でほかの世代に比べて劣っている。
・非正規雇用は所得面で不利であるだけはない。雇用が不安定性で、将来の見通しが不透明なことが健康にとって致命的。また、住んでいる地域の就業形態が不安定であるほど、健康面で問題が出てきやすい。
・健康面を考慮すると、社会全体の相対的貧困率はさらに高くなる。貧困は所得だけでなく、学歴や居住環境やセーフティーネットなど複数の要素で把握する「多次元的貧困」の視点でとらえる必要がある。
・社会参加活動により糖尿病や脳卒中、女性の場合は高血圧の発症リスクが抑制される傾向がある。SNSによるつながりも健康感や生活満足度とプラスの相関関係にある。
・学歴が低いほど中高年の健康状態の悪化するペースが速まり、日常生活面で問題が発生、特定の生活習慣病を発症するリスクが高くなる傾向もある。
・夫が引退すると妻のストレスが悪化するという「引退夫症候群仮説」は総じて成立するが妻(及び夫)のライフスタイルにも大きく左右される――等々。
■学歴がなぜ健康に直接、関係するのか? 本書の特色はしっかりしたデータ分析によって日本人の健康の社会的な要因を明らかにしている点にあります。著者は、それを平易な言葉で解説、だれもが関心を持つ健康について、新しい見方をわかりやすく提示する本です。

感想・レビュー・書評

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  • 貧困をどこからに定義するかとか、面白い。要介護でのまじめな介護が精神的によろしくないも、非常に説得力がある。ともかく、楽しく読んだ。よい統計の入門書。

  • 新しいことの意欲的な試みである。健康面での就職氷河期世代の不利、非正規雇用の不利、社会参加活動なしの不利、中高年の学歴と健康、家族の介護、高齢者がどこまで働けるか、などである。
     社会参加活動のSNSについては盛んに議論があるところであるので、卒論でも容易に取り上げらえるであろう。大学生では、友人の多少だけでなくその他の要因も設定できる。
     学歴と健康では、文科省と厚生労働省が取り組むべき問題である。

  • 高齢化社会と言われている現代での社会経済的視点から健康状態を決める意外な要因を明らかにし、「共助」というあり方に視点をあてる。

    2022年5月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00599078

  • 【琉球大学附属図書館OPACリンク】
    https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC04945804

  • 【書誌情報】
    日本人の健康を社会科学で考える
    著者:小塩隆士
    定価:本体2,400円+税
    発売日:2021年01月15日
    ISBN:9784532358747
    上製/四六判/352ページ

    学歴が健康状態を決める、非正規雇用は健康にマイナス――。健康状態を決める驚くべき社会的な要因をデータ分析で明らかにする。
    https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/35874

    【簡易目次】
    第1章 健康面でも不利な就職氷河期世代
    第2章 非正規雇用を健康面から評価する
    第3章 貧困を健康面から再定義する
    第4章 社会参加活動を健康面から評価する
    第5章 中高年の健康は学歴にどこまで左右されるか 
    第6章 家族は介護に耐えられるか 
    第7章 高齢者はどこまで働けるか
    終 章 総括:何が明らかになったか

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著者プロフィール

小塩 隆士(おしお・たかし):1960年京都府生まれ。83年東京大学教養学部卒業。2002年大阪大学博士(国際公共政策)。経済企画庁(現内閣府)等を経て、現在、一橋大学経済研究所特任教授。主な著書に、『高校生のための経済学入門[新版]』(ちくま新書)、『再分配の厚生分析』(日本評論社、日経・経済図書文化賞受賞)、『社会保障の経済学(第4版)』(日本評論社)、『公共経済学』(東洋経済新報社)、『くらしと健康』(岩波書店)、『日本人の健康を社会科学で考える』(日本経済新聞出版)ほか。

「2024年 『経済学の思考軸 効率か公平かのジレンマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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