デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座

著者 :
  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534044495

作品紹介・あらすじ

数字には表れない「企業価値の源泉」をどのようにして見抜くのか?個人投資家・金融機関関係者のみならず、一般のビジネスパーソンに役立つ「デューデリジェンスの思考法」を詳細に解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 会社を分析するとはどういうことなのか知りたくて購入しました。
    重要なことは、「なぜ利益率が高いのか?それは今後も継続するのか?」を自らの頭で考えることであり、その原因を突き止めること。
    物事を正確に捉えるには、常に「分母は何か?」と問い、相対的に考えること。
    ただ単に数字を見るのではなく、この会社に値をつけるという視点から分析する重要性を学んだ。

  • 元デロイトの人が書いた企業分析を財務・非財務から分析する観点を紹介した本。観点は理解でき、展開される理論も納得できるが、もう一歩深堀りや説明が不足している感がある

    観点とケーススタディは
    ①収益構造(PL):スターバックス
    →P/Lの特徴を捉えろ、ということか。
    コーヒーというコモディティではなく、空間を売っている点、一方で米国本社に定常的なライセンス支払いが発生している点などに注目し、P/Lを洞察。
    ②資本価値(BS):三菱地所
    →B/Sの本当の価値を見極めろということか。
    丸の内周辺の資産価値の実際はどうか考えるケース。
    ③事業構造(ビジネスモデル):創通
    →1社でもいくつもビジネス展開しており、各々に応じて強み弱みがあるということを見極める。
    アニメの企画よりライセンス販売の方が高利益。
    ④競争環境:ビックカメラ
    →競合との差別化要員を意識して、伸ばす戦略を。
    駅前の土地の強みを使い、JRなどと組めばよいのでは。
    ⑤市場構造(業界):GABA
    →前受金ビジネスが特徴の業界、など業界特徴を掴んで価値を把握する。また業界の中で(競合との関係も含め)自分たちの位置づけ、なぜ売れているのか何がキーかをよく考える。
    ⑥社会動向:JR東日本
    →こういう会社はP/Lの次元を超えた社会事象に経営が左右されることが多い。一方、鉄道は航空に比べると初期投資が大きい分、後々の利益は航空より高い傾向にある。
    ⑦マクロ経済:横浜銀行
    →金利上は収入源、金利下は収入増と全ての営みが何らかの貸し出しにより決まる特殊な業態。財務諸表も特殊。
    ⑧資本市場:ミクシィ
    ⓽資本政策:任天堂  を挙げて展開している。

  • スタバが売っているのはコーヒーではなく雰囲気
    スタバでMacBookを開くのも、呪文みたいなオーダーの特別感も・・・そうなのかな?

    スターバックスを分析の例として紹介されていて、なるほどなと膝カックンをされた気分になりました。
    スタバが提供しているのはコーヒーだけではなくて、そのスタイルや価値観。
    フランチャイズで展開されているドトールなどと違い、ほとんど直営で展開されているスタバは
    建物などの固定資産や保証金、人の確保なども自力でやる必要があるけど、その分本社からの管理が直接できる。

    間違いなく、ただ美味しいコーヒーを安く届けようなどとは最初から考えてない。
    言ってることとやってることが真っ直ぐにつながっているのがわかります。

    企業の価値の源泉を見抜く作業をM&Aの現場では
    「デューデリジェンス」(企業精査)と呼び、企業の価値を算定する作業のことを「バリュエーション」(企業価値評価)という。

    この本は前者のデューデリジェンスについて書かれた本です。
    後者のバリュエーションに興味がある方は、同著の「なぜか日本人が知らなかった新しい株の本」をおすすめします。

    P194 おわりに より引用
    我が国の投資の風潮は、株価の上下を予測し、その売買を通じて利ざやを稼ぐことを重視しすぎているのではないだろうか。
    コンサートよりもチケットを落札することに主眼が置かれているということだ。
    引用終わり

    最近はだいぶ聞かなくなったけれど、人気商品を発売日に大量買いして転売する転売ヤーにも似ていると思い出されました。
    確かに株式転売ヤーと考えると味気ない感じがして、著者の考えに共感しました。

    P195 より引用
    「株」の先には「企業」があり、企業の先には「社会」がある。
    企業とは、社会に価値を生み出すための組織体であり、投資とはその組織体に参加する行為である。
    そして、投資した企業が創造した価値の還元を受け取ることが本来の投資のあり方ではないか。
    引用終わり

    やっぱり一歩も二歩も引いた視点から繰り出される著者の考えに綺麗に畳まれていく感じは
    お金の本なのに読んでいて変な嫌味を感じないのが心地よいです。

  • お金

  • 実在の有名企業をDDしていく9つのケーススタディが、読み物として、面白いです。,また、コラムに随所に垣間見える著者の投資(投機ではない)への業界人としては意外にもピュアで真摯な姿勢に好感が持てました。,著者は、30代前半で結構お若い方ですね。,,気に点もあります。,(1)DD手法は、各社様々な方法が取られており、決して万人が真似のできる一般論が存在している訳ではないこと。,(2)ケーススタディは、DDに留まっており、バリュエーションまで言及しているケースがほとんど見られないこと。,(3)余談ですが、読者限定のweb提供レポートを期待して見てみたのですが、1社のみのレポートで、(どうも銘柄推奨のかほりがして)少々肩透かしでした。,DCFは、永久価値を用いているようですが、甘くないでしょうか…。,,評判がよいので少々高めでしたが、booxで購入したものです。

  • 『「株」の先には「企業」があり、企業の先には「社会」がある。企業とは、社会に価値を生み出すための組織体であり、投資とはその組織体に参加する行為である。そして、投資した企業が想像した価値の還元を受け取ることが本来の投資のあり方ではないか。

    企業は、計画を練り、お金を工面し、投資をし、運営し、その成果を投資家と分かち合う。そのサイクルに参画することが投資の醍醐味といえよう。』

    企業の価値とは何なのか、と向き合った作品。
    テクニカルな話ではなく、本当の“企業の価値”の話。

    「あなたはその投資、自分のお金を出してでもやりたいですか?」仕事をする人は、自分にそれを問うて仕事をしてみて欲しいと思う今日この頃。

  • 本ではないですが、最初から起業して数字読めないとまずいと思って、まず簿記3級とって、その後に簿記2級をとりました。
    あと、企業分析はSPEEDAで出せますが、これ読むともっと会社の数字が分かるかと。まあ、新卒には不要かも。。。

  • 初心者向けの決算書の読み方の本の後に、企業について理解する(=企業価値を算定する)ために足りない視点を補うのに適している。

    実際に企業価値を分析・産出するにどのような視点で見る必要があるかを9つのベンチマークをもとに学ぶことができ、決算書に影響を与える社会環境、市場構造、事業構造、競合の視点や、資本コスト、WACCの考え方を知ることができる。

  • 【企業の分析方法を分かりやすく解説】
    企業の分析方法を具体例を出しながら丁寧に説明している一冊。当時好調だったmixiや任天堂などを紹介し、どのようにそれらの企業を評価していくかを述べてくれている点は、初心者にとってはとても分かりやすいだろう。

    一方でかなり初心者向けに作られていることもあって、分析の詳細がかなり省略されていたりする。したがって、良きも悪きも「わかった気になれる一冊」といえよう。

    より分析の方法を学びたければ、より専門的な一冊を読むべきである。あくまで企業分析の一歩として捉えるべきである。

  • 簡易ながらまとまったいい一冊

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著者プロフィール

山口揚平(やまぐち・ようへい)
事業家・思想家。早稲田大学政治経済学部卒・東京大学大学院修士(社会情報学修士)。専門は貨幣論、情報化社会論。 1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと、30歳で独立・起業。劇団経営、海外ビジネス研修プログラム事業をはじめとする複数の事 業、会社を運営するかたわら、執筆・講演活動を行っている。NHK「ニッポンのジレンマ」をはじめ、メディア出演多数。著書に、『知ってそうで知らなかったほんとうの株のしくみ』(PHP文庫)、『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』(日本実業出版社)、『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』(KADOKAWA)、『なぜ ゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』(ダイヤモンド社)、『10年後世界が壊れても、君が生き残るために今身につけるべきこと』(SBクリエイティブ)、『新しい時代のお金の教科書』(ちくまプリマー新書)などがある。

「2021年 『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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