- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784534046116
作品紹介・あらすじ
人は偶然を必然と思い込み、しばしば致命的な失敗を犯す。それを避けるためには、物事の本質を確率として捉え、何事も絶対とは見なさない考え方が必要となる。それが「確率論的思考」である。
感想・レビュー・書評
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338.01||Ta
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世の中の出来事がいかに偶然によって引き起こされているかを多くの事例を通じて明らかにしています。
特に経営者やマネージャークラスの人達に読んで貰いたいなと思う内容ですが、確率論的思考というタイトルの割には確率論に基づく具体的な思考法はあまり書かれていません。
少し成功しただけで、実力と勘違いしていい気になるような人には良い戒めとなる本だと思います。 -
積読の中から読みやすそうだったので読書開始。
世の中は不確実性に満ちており、ニュートン力学的な決定論的な考え方、筆者の言葉を借りれば因果論、結果論、二元論、努力万能論を総称して非確率論的な思考はハイリスクだ。
不確実性を前提に、物事を確率論的に捉える思考が肝要であり、その思考の特徴は
1. 多様性の確保
2. 失敗の許容と活用
3. 長期的視点
4. 認知バイアスの回避と統計的手法
5. 仮説・検証型アプローチによる予測
7. 試行錯誤で少しずつ作り続けていく
という点にあるとしている。
種々の挿話をさしはさみ上記の結論を引き出しているが、歴史についての記述は筆者オリジナルな視点かもしれないものの、それ以外についてはどこかで見たな・・・というエピソードが多い。
途中まで読んだので義務感で読んでしまったが、果たして、読者としてどのような人をターゲットにしたのかよくわからないまま読了。
ディラー向けの心得帳みたいなもんか? -
不確実性のもとでは、
多様性の確保、
失敗の許容と活用、
長期的視点が不可欠となる。
投資の世界だけにとどまらず、
実社会で生き延びる為のキーワード
だと思う。
ジョージソロスの『ソロスの錬金術』が内容が難しく、なかなか理解出来ない私は、この本を読んだ事で、多少でもソロス氏の考えに近づける理解が出来た気がします。
この確率論的思考を使って、自分が求める、どう成功へ(破滅しないで)導くかまでは書いてありません。投資で利益をあげる方法は、自ら探すということみたいです。
この本より、再度『ソロスの錬金術』を読み直したいのと、『ウォール街のランダムウォーカー 株式投資の不滅の真理』を読みたくなりました。 -
トレーダーで成功する為には 確率で考えるという思考回路が必要になってくる。
この思考法が身につかないと、どうしても ひとつ ひとつ のトレードに固執し
期待してしまう。 また 2.3回の連勝で 自己陶酔状態に 簡単に陥るし
2.3回の連敗で 簡単にモチベーションを低下させてしまう。
それを防ぐためにも 確率についての考え方 をわかりやすく 説明したこの本
を読むといいだろう。 -
「金融市場のプロが教える最後に勝つための哲学」なんていうサブタイトルがついてるけど、あんまり金融の話はなかった。なんか歴史の話とか、量子力学とか、無理矢理ページ数稼いでる感じ
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1340夜
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本書は、確率論的思考(=蓋然的思考)という基軸を持ち出し、不確実な世界をどの様な見方で見るか、という意識改革の本である。
不確実性に満ちた複雑な社会においては、確実に予測することは困難であるため、成功を持続させるためには何事をも絶対視せず、確率論的アプローチ(つまり、起こり得る結果を挙げそれぞれ可能性を勘案しながら対処する方法)が必要とのこと。
不確実性がもたらす不思議な効果は次の通り。
①不確実性は何物にも予測することが出来ない
②不確実性の下では失敗は避けられない
③不確実な世界では必ず確率を伴う。
従い、不確実性のもとでは、
1)多様性の確保
2)失敗の許容と活用
3)長期的視点
が大変重要である。
これらのキーワードに対応する思考方法が確率論的思考とのこと。
非常に興味深い内容である。 これまで日本のみならず世界の企業が栄枯盛衰をくりかえしている。 一時は最優良企業としてもてはやされていたものの、市況の変化についてゆけず衰退を辿った企業もいる。
これまで読んできた書籍にも、失敗が次への大きなステップとなり、成功体験が衰退への引き金になるということが書かれている。 これらは私の中で実際に起こった事例として記憶されていただけであったが、本書で述べられている「不確実性」という概念を中心に置くと、腑に落ちる感覚があった。
本書、実はプロローグとエピローグを読むだけで十分な本である。 プロローグには問題提起と確率的思考の必要性が述べられており、エピローグには、本書の纏めがなされている。 本文を読まずともこの部分だけで重要なことは語ってある。
また、この部分を先に読んでから本文を読むと、より深く理解することが出来る。
なお、不確実性に対応するためには確率論的思考が肝要となるが、それと反対に位置する非確率論的思考は以下の通り。
①因果論: 原因と結果を一対一で対応させる考え方
②結果論: 結果をすべてと考える思考法
③二元論: 物事を2つに分けて考える方法。
④努力万能論; 努力によって成功が導き出されるという考え方。
日常で駆使している思考法は非確率的思考であり、むしろこちらの方が一般的で、合理的思考法である。 ただ、この中には確率の概念が含まれていないために、不確実性のもとでは逆にミスリードしてしまうと本書では述べている。
非確率論的思考と、確率論的思考のメリットデメリットは以下の通り。
【非確率論的思考】
<メリット>
1)物事を単純化してパターンとして捉えれる。
数多くの意思決定を下す際に有利。
2)明快で力強い結論を導き出すことが出来る。
<デメリット>
1)さまざまな要素の複雑な相互関係や、偶発的な事象を加味して
捉える事が出来ない。
2)因果関係が不明確だったり、二元的に分解できない場合に無理やり
こじつけることにより正しいやり方を放棄してしまう可能性がある。
3)予期しない出来事を想定していないため、リスクマネジメントが出来ない
4)効果的で手っ取り早く結論に導ける一方で、認知バイアスの温床と
なりやすく、強い思い込みや偏見を生む。
5)短期的な成功に目が向けられているので、目先の利益に目がとらわれ
長期的な成功への道を閉ざしてしまう可能性がある。
【確率論的思考】
<メリット>
1)予想外の出来事に対応がしやすい
2)イノベーションや革新が生まれる
3)破滅を逃れて生き残ることが出来る
4)不確実性の影響を減じることが出来る。
5)短期的な利害の対立を避けることが出来る。
<デメリット>
1)手間暇がかかる手法故に、多くの判断を求められる日常的な事象
には適さない。
2)必ずしも短期的な成功には結びつかない