0歳からはじまるオランダの性教育

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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535563643

作品紹介・あらすじ

性教育は人間関係を学ぶためのもの。それは多様性を認め合う練習の場でもある。知識の伝達にとどまらないオランダの実践に学ぶ。

感想・レビュー・書評

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  • 性教育は性を通して、マイノリティの人たちへの偏見をなくしたり、自分を守る方法を学ぶことだったりと奥深く、いい事だらけだと思いました。
    私もオランダのような環境でこどもを育てたいと思いました。子をもつ親としては日本でも性教育を義務化してほしい。
    まずは身近な人にこのような本を読んでもらい、その知識を持ったこどもが増えればと願います。

  • 性教育聞くと、大切だろうなと感じながらもどこか触れにくい、なんとも言い難い感情をずっと持っていた。子どもが産まれ、自分の体に興味を持つ様子を目にして私はこの子の性とどう向き合えば良いのかと悩んでいた頃たまたま出会い、ハウツー本かなと思い何の期待もせずに手に取った。読むうちにどんどん内容に引き込まれた。
    性について話をするとき、どうしても服の下のプライベートゾーンを連想していたが、それだけの単純な話ではなく、自分の意見も大切にしながら人を尊重するという基本的な人間関係を学ぶという姿勢に感銘を受けた。
    オランダという元は非常に保守的な国がどのようにインクルーシブな考えを導入するに至ったかも含めて非常に面白い内容だった。

  • 性教育。
    大事なものなのに、この国では「自然に覚える」とか「寝る子を起こすな」とタブー視されている。
    だから男女ともにお互いのこと、いや、自分の体のことさえもきちんと知らない。
    かたや、力任せにすれば嫌がっているように見えても女は気持ちよくなるもんだ、妊娠しないのは女のせいだと思う。
    かたや、性感染症の防止、望まぬ妊娠をしないためにどうすればよいかわからないし、時に大きな傷を抱えたり、男性を偏見の目で見てしまう。
    こんな状態で「先進国」だなんて笑止千万。

    そんな発展途上のこの国のために、オランダの事例をあげ、日本の子供達にも愛と性の権利を知ってほしい、自分を守り、他人を尊重してほしいと願って著者は本書を執筆した(209頁〜)。

    LGBTQの子供達、その人たちを親にもつ子供たちにも配慮されているオランダの姿は眩しい。
    これが日本でもスタンダードになれば、どんなに苦しむ子供達は生きやすくなるだろう!
    また、障害児への性教育もきちんと指導されているのは、被害者、加害者にさせないという国の意志を感じさせる。

    ピルを飲む、処方されること、そんなことすらまだ「恥ずかしい」「はしたない」「いやらしい」と思う側の声が大きい。
    でもそれは体調管理(月経前症候群の緩和など)、自分を大切にすることだという考えが当たり前になるとしたら!
    他人に寛容になれるということは、自分自身も寛容に扱ってもらえるということ、生きやすい社会になるということだ!

    子供達にもきちんと伝えていきたい。
    あなたたちが愛されてきたように、他人にも、自分自身をも、大切にしなさい、と。
    そのためにはまず、正しい知識を得ることから始まるのだと。

  • 一児の母です。
    オランダの宗教や性差別に関する歴史的な変遷から、なぜオランダで学校での性教育が義務化されているのか、現在の性教育の内容まで、とても読みやすくまとまっています。
    なにより、子供に早いうちから性の正しい知識を学んでもらうこと、性(性のこと以外でもそうですが)の多様性を認識しておくことが、子供の権利や社会性、また身を守ることにつながるということが、ストンと腹に落ちる内容でした。
    性教育の始め時、何から始めればいいのか迷っている方がいれば、ぜひおすすめしたい本です。

  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11420203

  • 子供に生殖や性行為についてどう教えようか悩んでいる方や、他人に好意を持ち始める高校生、新社会人にもおすすめしたい良書です。

    本書は、保守的だったオランダが、小学校から性教育を義務化した背景から、実際の教育現場や家庭では子供とどんな会話を重ねているかがまとめられています。

    根本には「お互いに尊重し合う人間関係づくりを学ぶ」、という目的があるように思います。

    性教育を義務化したということで、
    気になる15歳以上の性行為の割合ですが、
    ・オランダは、諸外国と比べて低いこと、
    ・避妊を2種類(コンドームとピル)使っている割合が高いことは、
    注目したいデータだと思います。性教育が若い子の性行為を促す、という意見が、杞憂なことがわかりました。
    また、ピルの利用が女性は6割以上で、セーフティセックスが当たり前になっているのも驚きました。

    教育現場で驚いたことは、性への正しい知識だけでなく、人を愛するにはお互いに尊重し合うことが大事だと土台を伝えたうえで、してはいけない性行為とはどのようなものか話し合ったり、自分が嫌ということは嫌と断ることが大事だと、かなり突っ込んだ実際のケースを用いて、会話している点です。
    また、家庭でもオープンに会話するのが普通で、そのためには、子供と信頼関係を築くことが大事だとも書かれています。

    私は1児の母ですが、夫と「子供が大きくなり、何も相談されなければ、私たちの力不足」だと話しています。
    残念ながら、間違った性知識や歪んだ認識を持つ人が少なくない世の中なので、わが子には回避できる力を家庭内での会話を通じて身につけていければと思います。

  • 性教育は人権教育。

    先進的なオランダの性教育に羨望のオンパレードでした。

    性の話題がタブー視されている日本で
    これから大人になっていく我が子に
    これからどう伝えていくかが悩まれる。
    公立校では無理だろうなぁ。。

  • オランダの性教育を知ると、日本がいかに遅れているかが分る。
    そもそも性教育とは自分を大切にし、相手を尊重すること。全ての人が自分らしく安全に自由に生きるための教育なんだとこの本を通して学びました。
    日本でもオランダのような教育を学校で取り扱う日が来るのだろうか??
    親として自分が伝えるべきことを考えさせられた。

  • オランダの性教育について、教科書のように詳細に記してある本。
    性教育の大きな目的として、互いを尊重できる人を育てることがあり、LGBTの人たちを尊重することも含め、国を挙げて実践しているのが素晴らしいと思った。
    親として、知識は教えられるとしても、他人との関わり合いや、いろんな考え方の人がいて、それぞれの意見を聞いて、考えて、というのは言葉で教えるのが難しいと思う。オランダのように長い時間をかけてその年代に合わせて経験を積んでいける教育プログラムがあるというのはとても素晴らしいと感じた。

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著者プロフィール

リヒテルズ 直子 Naoko Richters
九州大学大学院修士課程(比較教育学)及び博士課程(社会学)単位取得修了。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国に歴住後、1996年よりオランダに在住。オランダの教育及び社会について自主研究し、成果を著作・論考で発表。2011年3月、JAS(イエナプラン・アドバイス&スクーリング社)よりイエナプランの普及に貢献した人に贈られるエイル賞を受賞。「一般社団法人日本イエナプラン教育協会」特別顧問。日本での講演やワークショップ、シンポジウムのほか、オランダでは、日本人向けのイエナプラン研修や視察を企画・コーディネートしている。著書に『手のひらの五円玉 私がイエナプランと出会うまで』『祖国よ、安心と幸せの国となれ』(以上ほんの木)、『公教育をイチから考えよう』(日本評論社)、『今こそ日本の学校に! イエナプラン実践ガイドブック』(教育開発研究所)、共著に、『親子が幸せになる 子どもの学び大革命』『いま「開国」の時、ニッポンの教育』(以上ほんの木)など著書多数。子どもたちの「対話力、考える力」を引き出す『てつがくおしゃべりカード』『てつがく絵カード』(以上ほんの木)日本語版翻訳者。

「2020年 『イエナプラン 共に生きることを学ぶ学校』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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