0歳からはじまるオランダの性教育

  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535563643

感想・レビュー・書評

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  • 子どもに性教育をしたいと思っている親にとっても、性教育を広く実施する人にとっても、とても有益な本だと思う。そしてとても読みやすい!性教育に興味のある全ての人におすすめしたい!
     タイトル通り、オランダの性教育について具体的に記載があり、その内容が思っていたよりもしっかり性交渉などにも踏み込んでいたので驚いた。例えば、オランダの性教育資料開発などを手がける研究所の授業マニュアルでは、4−6歳で妊娠出産等について事実を教えるとしていて、その中には「二人の男女がお互いに愛し合っていて、子どもが欲しいと思ったら・・・」という内容も含まれるらしい。他の年齢層での授業内容についても、どこまではっきり伝えるているのかというところが自分の中ではっきりした。他にもLGBT、障害児のニーズや教育上の工夫、教員の心得など、気になるところに幅広く触れられていて、勉強になった。
     また何を伝えるかという内容だけでなく、その理念として、自分も相手も尊重した人間関係の築き方や、他の価値観を認める態度の育成などが重視されていること、またなぜこういう教育がされるようになったかという歴史的背景が丁寧に説明されていて、面白く勉強になったし、理解が深まった。(オランダの中でも開放的な人がいる一方で、保守的なキリスト教信者、イスラム教国出身の移民などは性をタブーにしているとか、もともとカトリックの影響が強く、避妊が批判的、中絶は法律で禁じられていたけど1960年代に社会活動やカトリック教徒の変化があり、大きく変わったなど)

  • これは全員司書は読んどいたほうがいい本でしょう。
    オランダでなぜ性教育が始まったのか、どう教えているのか、具体的に説明してくれます。文章は明快でわかりやすく読みやすい。
    書いてくれてありがとう!
    の一冊です。

    2020/01/29 更新

  • 本書を読むと進歩的だと思えるオランダがほんの数十年前まではヨーロッパの中でも保守的なイメージの国だったとはまったく驚き。授業での性教育で発言をするときに、日本だったらプライバシーの関係上、無記名記入式とかの方が良いのではないかと思う。SNSも普及している現代日本で、外部に漏らさないという約束がどのくらい実現可能なのかが疑問に思うから。人として大事なことなのに、特に男の子が、正しい知識を正規の教育で教わる機会がなく、エロ産業の媒体からこっそり得るしかないという現状はよく考えてみるとおかしいことだと思う。

  •  オランダの性教育について。

     ただ性教育ということではなく、人権教育であったり、人生教育である。さらに様々な個別性にも配慮している。
     だから0歳からの性教育なのか。日本の教育が学ぶことは多い。

  • オランダを揶揄する意味で「自由な国」だと言う人たちがいる。大麻も、売春も合法な国。決して最初から規制をかけてひとを縛らず、教育を通して人々に自分をコントロールする力を備えようとさせる。法規制で人間を縛らなくて良いように人々を教育しようとする。その懐の深さに感動する。援助交際という言葉から始まり、日本は性に対する危機意識が薄く、子どもたちが性の犠牲になることが多い。それは大人が実はどういうつもりで近付いてきているのかが子どもたちの中で曖昧だからだ。「こういった関わり方を持つ人は間違った性認識を抱いている」そうやって子どもが判断できる土壌を作らないといけない。

  • オランダで行われている性教育について詳しく説明し、日本での性教育の在り方について提言している。オランダは、性教育を全人教育の一部として人権教育を重視していると感じた。また、教育方法も知識の注入ではなく、アクティブラーニングを重視し、一人一人のニーズに対応しているところが素晴らしい。

  • やはり、難しい、子供への性教育。

    オランダは、ちょっと前まで保守的だったのに、あっと言う間に先進国に、しかも国全体での対策に憧れを感じます。変えられることのできる社会に。

    でも、日本では、社会や行政に期待できないので、個人で親として、他の国の方法を学んで実践するしかないのかな?と。

    P46 子育て中の親に対する雑誌、そして、記事を基にしたアクセスできる情報。→https://www.jmouders.nl/ でも、オランダ語だった、そう言えば。

    P47 こどもが性交渉への関心が無い時から、タブー意識や気恥ずかしさを解消。絵本例→ https://www.bol.com/nl/p/in-je-blootje/1001004005829988/

    精子と卵子の授精からお腹で育つ様子などのビデオ→https://schooltv.nl/video/een-echografie-geluidsgolven-geven-een-beeld/#autoplay

    女医さんを中心とした、ビデオで分かりやすくコンドームやキス、ホルモンなどについて解説→https://www.schooltv.nl/programma/dokter-corrie/

    男女の体のつくりや、性的敏感な部位の解説まである秀逸な学びの世界。どうすれば、気持ちのいい性交渉ができるか?というアドバイスあり。 → https://www.sense.info/nl/

    P48 ノー!と言える大切さ。お医者さんごっこは、4-6歳では問題ないが、したくなければ断る、相手の嫌がることはしない、身体にある穴に無いも入れてはいけない、痛い思いはお互いしない、という考え方の実践。

    P74 メディアリテラシー…大切だけど、ハードル高い。

    PP86 してもよい性行動と、してはいけない性行動。

    P206 やはり、ノーと言う大切さを教え、相手を尊重し、すべての人々にとって幸福で生きやすい社会の構築に繋がるのが、性教育。

    P220 性教育学習ライン、コレ、秀逸。目安。

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著者プロフィール

リヒテルズ 直子 Naoko Richters
九州大学大学院修士課程(比較教育学)及び博士課程(社会学)単位取得修了。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国に歴住後、1996年よりオランダに在住。オランダの教育及び社会について自主研究し、成果を著作・論考で発表。2011年3月、JAS(イエナプラン・アドバイス&スクーリング社)よりイエナプランの普及に貢献した人に贈られるエイル賞を受賞。「一般社団法人日本イエナプラン教育協会」特別顧問。日本での講演やワークショップ、シンポジウムのほか、オランダでは、日本人向けのイエナプラン研修や視察を企画・コーディネートしている。著書に『手のひらの五円玉 私がイエナプランと出会うまで』『祖国よ、安心と幸せの国となれ』(以上ほんの木)、『公教育をイチから考えよう』(日本評論社)、『今こそ日本の学校に! イエナプラン実践ガイドブック』(教育開発研究所)、共著に、『親子が幸せになる 子どもの学び大革命』『いま「開国」の時、ニッポンの教育』(以上ほんの木)など著書多数。子どもたちの「対話力、考える力」を引き出す『てつがくおしゃべりカード』『てつがく絵カード』(以上ほんの木)日本語版翻訳者。

「2020年 『イエナプラン 共に生きることを学ぶ学校』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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