寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門

  • 白水社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560025819

作品紹介・あらすじ

知識人の教養書として不動の地位を占める世界的名著『エセー』。味わい深いモンテーニュの言葉を豊富に引きながら、その大著のエッセンスを見事に凝縮した40章。本格派の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 堀江敏幸『定形外郵便』からの。
    でも斜め読み。

  • 「エセー」を読みかけて挫折したことがあるが、ページ数ばかり多くてちっとも面白くないという印象しか残ってない。一見風変わりな気のきいた文章が随所に見られるものの、所詮は個人的な趣味趣向か平凡な常識論に過ぎない。こんなものがなぜパスカルから西田幾多郎に至るまで第一級の知性を魅了し続けたのか・・・こうした疑問をお持ちの読者も多いはず。そんなあなたにこそ本書を奨めたい。「エセー」は決してつまらぬ本ではない。いやむしろ噛めば噛むほど味わいを増す渋い本である。本書を読み進めば、自己韜晦と見紛うスタイルからも意外に人間モンテーニュが透けて見える。およそ改革というものを全否定してみせるところなどは、単なる書斎の人でなかったモンテーニュの面目躍如たるものがある。最も美しいのは、本書でも最後に取り上げている最終章の「経験について」だ。 ここでのいかにも日本人好みの達観を読めば、徒然草や方丈記と比較されるのもうなづける。こうした尽きせぬ魅力にもかかわらず、一見どうでもよいおしゃべりがいささか多いせいか、評者のような怠惰な読者は読了する気力がなかなかわいてこない。それではいかにももったいない。本書は一度挫折した読者にはもう一度「エセー」に向かう勇気を与えてくれるだろうし、原著のボリュームにたじろいでいる読者には「寝る前5分」で手っ取り早くその勘所を伝授してくれる。そんな得難い入門書だ。

  • 「寝る前5分のパスカル」が面白かったのでこちらも。歴史上の賢人が残した名作はそのままでは歯がたたないので(私の歯と顎が弱い、ていうか歯があるかどうかも怪しい)現代の賢い人がいいところを選りすぐって一口サイズに切り分け、さらに咀嚼してくれたもの。名作を「たとえ少しでも読んだ気」にさせてくれるお得本。
    ありがとう賢い人たち。私のような歯無しに食べる機会を与えてくれて。

  • 白水社 「 寝るまえ5分の モンテーニュ 」


    テーマを40に絞り、わかりやすく解説した「エセー」入門書。テーマが絞られた分、エセーの面白さが凝縮されている。名著は これくらいのボリューム感が丁度いい


    中公クラシック版「エセー」では印象に残らなかった 2巻12章「レーモンスボンの弁護」が 繰り返し考察されている。人によって目付けが違うのも 古典文学の奥深さだと思う


    名言「他者との交流が、自己を見つめるための方法となる〜他人の本を読み、引用するのは、自分をよりよく知るためなのだ〜そしてまた、自己に向き合うことは、他者を知る方策ともなる」

    名言「われわれはみな仮面をかぶった俳優にすぎないのだから、役柄を人格と取り違えてはならない〜演技を本来の自分と混同してはならない」








  • 哲学には詳しくないけれど、タイトルに惹かれて読んでみた。全部で40の引用が登場するが、1つ1つが短いし、解説もわかりやすく、気軽に読めた。

    また、モンテーニュのシニカルな性格や辛口な物言いが面白かった。1500年代と現代の世界観の違いに触れられたのも興味深かった。

    最後の章が特に好きだ。

    「われわれは、自分自身のありようをいかに使いこなすのかわからないから、他の存在を探し求めるのだし、自分の内側を知らないために、自分の外側に出ようとする。でも、そうした竹馬に乗ってもどうにもならない。竹馬に乗ったとて、どっちみち自分の足で歩かなければいけないではないか。」

    「『エセー』最後の言葉は、与えられたままの生を、それがいかなるものであっても、そのまま受け入れることを説いている。」

  • 「エセー」の入門書。オリジナルはフランスのラジオ番組だったそうで、5分番組40回分を出版したところ大ベストセラーになったらしい。フランスも日本と同じで出版不況であり、ましてや思想関係の本なんて見向きもされない。けど需要はあることが証明されたのではないかと著書は語っている。
    日本なら本居宣長か賀茂真淵ってところかな。本物なら企画次第でベストセラーも夢じゃないってことか。うーん。

  • 「エセー」がどんな書物であるか、のイメージがつかめたような気がする。モンテーニュは、それなりに思慮深い良識的な「保守」思想家と言えるだろう。自分も含めた現実に対する諦念を心の底に据えながら、何事についても極端に走ることを戒めている。

  • 2015年8月新着

  • 本書は、もともとフランス・アンテル局のラジオ番組「モンテーニュと過ごす夏」(平日毎日、5分放送)を40回分収録したもの。
    著者は、ベルギー生まれのフランス文学者で、毎回、モンテーニュのエセーからテーマ別に一部分を抜粋し、それに分かりやすい解説をつけている。
    1話読み切りとなっているのでどの章から読んでも良いので本当に寝る前の5分間にちょうど良い。

    味わい深いモンテーニュの言葉を豊富にひきながら、その大著のエッセンスを見事に凝縮した本格派の入門書。(帯文まま)

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著者プロフィール

1950年、ベルギー生まれ。コレージュ・ド・フランス教授、コロンビア大学教授。本書『アンチモダン』でフランス学士院賞を受賞。他の邦訳に、『第二の手、または引用の作業』(今井勉訳、水声社、2010年)、『近代芸術の五つのパラドックス』(中地義和訳、水声社、1999年)、『文学をめぐる理論と常識』(中地義和・吉川一義訳、岩波書店、2007年)がある。

「2012年 『アンチモダン 反近代の精神史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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