アントナン・アルトー著作集 2

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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560046050

感想・レビュー・書評

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  • シュルレアリスムの概念を知らない頃に読み、
    我々には不可視の、
    だが絶対的に存在するある一定の真実について刻々と描写してある本書に不可思議な感覚を覚えました。
    それは著者アルトーの視界、アルトーにとっての真実の記述でした。

    その記述は形而上のヘリオガバルスの姿を探るように旋回し、
    我々に可視の事実に近づくこともあれば、
    また彼にのみ見える事実へと、蛇行するように描写される。

    我々にとって本書では、ヘリオガバルスは不在です。
    しかしアルトーの思考の軌跡を追っていればおのずと、
    目の眩むような光に翳る彼の姿が、
    彼の衣の裾が、
    鮮烈な残像が視えるのです。

  • アルトーは作品よりも彼そのものの人生が面白いと思う。
    それにしてもヘリオガバルスは魅力的。これが唯一日本語訳のあるヘリオガバルス伝記。

  • ローマ帝国中期、退廃の限りを尽くした皇帝ヘリオガバルス(ヘラガバルス)の背徳行為を、詩情溢れる描写で謳いあげた作品。シアトリカル且つパセティックに繰り広げられる狂気の宴の数々は、グロを通り越し、良識や常識を無視した形而上的エネルギーの奔流として迫ってくる。バタイユの『眼球譚』、ロートレアモンの『マルドロールの歌』等と並び、19世紀末〜20世紀初頭のシュールリアリズム文学を代表する怪作といっても過言ではない。

  • 白状しよう、第2章は完全にお手上げでした

  • "Artaud le M&ocirc;mo" と "Supp&ocirc;ts et Suppliciations" といずれを取るかといえば、どうでもよい質問のごとくであろう。だが、わたしは無意味なことはいわないつもりである。この二篇を措いてアルトーにはもっと傑作があると思っているようなひとびとを、わたしは信用しない。『ヘリオガバルス』などは児戯に類する。『存在の新たなる啓示』に至っては俗臭芬芬たる駄作である。『神の裁きと訣別するため』の妙といえども、これを捨てて惜しまない。映画演劇の評判ならば、別席の閑談にゆだねよう。<br />
    ...なんぞと<a href="http://booklog.jp/4egos/asin/4003109414" title="ブクログ -WEB本棚サービス-">一昨日のエントリ</a>でとりあげた石川 淳の口吻をそっくり真似て書き出してみたけれど、うん、あながち間違ってもいないような気がするかもしないかも。<br />
    鈴木 創士氏はその著<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309010091/4egosnet-22" title="Amazon.co.jp: 本: アントナン・アルトーの帰還">『アントナン・アルトーの帰還』</a>の中に、「アントナン・アルトーの前作品中で、見方によってはこの本(『存在の新たなる啓示』のこと)が『ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト』と並んで一番の駄作ではないだろうか」(39 ページ)と記しているけれど、氏の言わんとするところはおおむね理解できるような気がするかもしないかも。

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著者プロフィール

1896-1948年。「思考の不可能性」を思考するフランスの詩人。「残酷劇」を提唱する演劇人。西洋からの脱却を必死に試みて、後年、精神病院へと監禁される。激烈な生涯と『演劇とその分身』『ヘリオガバルス』等の著書によって巨大な影響を与え続けている。

「2019年 『演劇とその分身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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