水の鏡 新装

  • 白水社
3.75
  • (0)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 19
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560047286

作品紹介・あらすじ

愛すらも信じることができず、不安な日々を送る女たち。彼女たちの眼前に広がる水が映し出すものは…。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とても読みやすく、何に惹き付けられるのかよく解らないのについつい読み進めてしまった。
    訳が読みやすいのもあるのかな。

    訳者の解説も面白く、納得した。
    『彼の作品に救いを見出だすことはできない』 『ここにあるのはある種の〈共感〉もしくは〈代弁〉』 『ロジェ・グルニエの文学は青春の文学である』

    自分が惹かれたのは、作者の描く絶望的な人生観や作中の女性たちに〈共感〉したからだと思った。
    でも後味は悪くなく、すーっと気持ちを吐き出したような気分です。

  • 「船旅」「女像柱」の2編収録

    「船旅」

    主人公イレーヌは風邪をこじらせ、散々な冬を過ごし、
    その後も鬱々とした日々を過ごしている。

    仲の良い同僚、活発で行動力あふれるジュディットに誘われ、
    気分転換の船旅に出ることに…

    その船旅では
    その国(スペインか?)の
    グループ(実はある思想集団)と一緒になり…

    旅行って、楽しみにして行ってはみても
    なんだか面倒くさくなったり
    帰りたくなったり、と言うのが上手く表現されていて共感。

    イレーヌはその違うグループの男性と恋愛関係となるが、
    起こった「悲劇」と合わせて、
    忘れられない旅となった。

    大好きな人との温度差の表現が絶妙。

    あちらにそういう気持が無いと重々承知していても
    見捨てることが出来ず、役に立とうとしてしまう気持ち。

    「女像柱」
    心を病んだ女性モニック、優しい夫ジャック

    モニックは女像柱のある病院に入院する…。

    挿入される「アンナ・カレーニナ」の話がきいている。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

Roger Grenier(1919-2017)
フランスの小説家、ジャーナリスト、放送作家、編集者。
ノルマンディ地方のカーンに生まれ、フランス南西部のポーで育つ。大戦中はレジスタンス活動に関わり、戦後アルベール・カミュに誘われて「コンバ」紙の記者としてジャーナリストのキャリアをスタート。その後、ラジオの放送作家などを経て、1963年よりパリの老舗出版社ガリマールの編集委員を半世紀以上務めた。1972年、長篇『シネロマン』でフェミナ賞受賞。1985年にはそれまでの作品全体に対してアカデミー・フランセーズ文学大賞が授与された。刊行したタイトルは50以上あり、とりわけ短篇の名手として定評がある。邦訳は『編集室』『別離のとき』(ともに短篇集)、『黒いピエロ』(長篇)、『ユリシーズの涙』『写真の秘密』(ともにエッセイ)など。亡くなる直前までほぼ毎日ガリマール社内のオフィスで原稿に向かっていたが、2017年、98歳でこの世を去る。本書は生前最後の短篇集。

「2023年 『長い物語のためのいくつかの短いお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ロジェ・グルニエの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×